スノウ・ホワイトは家出中

㊼

「スノウ様、指は何本お挿れになっていたのです？」
「にっ、二本だっ、それ以上は怖くて……はぁっ、ソコっ」
　長い指は、スノウがいつも快感を得ている場所になんなくたどり着く。くにくにと指先で刺激され、スノウは悶えた。両手でシーツを掴むが、腰が自然と浮き上がる。
「あ、あ、ああっ」
　他人に弄られるのはこれほどに違うものなのかと驚愕した。しかも、今スノウの中を犯しているのは、ずっと恋焦がれていた男の指なのだ。
「はぁっ、グリンバルドっ、だめ、そんなにしたら、僕は……っ」
「ああ……お可愛らしいスノウ様！　どうかもっと乱れて」
　一旦引かれた指が、更に幅を増して戻ってくる。何度も往復するそれは丁寧に、しかし確実にスノウの中を開いていった。
　空気を孕む粘った音に、止まらなくなった喘ぎ声が被さる。スノウは手を伸ばし、淫らに広がった自らの太ももを掴んだ。先ほど口淫で果てた陰茎が再び芯を取り戻し、勃ち上がっているのがわかる。グリンバルドが与える振動にふるふると揺れていた。
　しかし、絶頂が近くなったところで唐突に指が引き抜かれる。スノウは思わず恨めしそうにグリンバルドを睨んだ。
「ふふ、そんなお顔をなさらなくてもいいのですよ。これからは私のコレで気持ちよくしてさしあげます」
　グリンバルドは身体を起こし、いきり立つ股間を掴む。その先端は染み出した先走りの汁でうっすらと濡れている。
　荒い息に胸を上下しながら、スノウはそれをうっとりと見つめた。グリンバルドもまた興奮しているのだと分かり、歓喜が押し寄せた。初見では恐怖すら感じた雄々しいそれが、今は堪らなく欲しい。太くて硬い刺激を求める秘口がひくひくと蠢いた。
「ああ……グリンバルド、本当にそれを挿れてくれるの？　僕の中に？」
「私の方こそ待ち望んでいたのですよ、スノウ様」
　グリンバルドはスノウの腰を引き上げ膝を入れると、待ちわびる蕾に昂りを押し当てる。逞しい身体から立ち上る熱で、周りの景色がまるで陽炎のように滲んで見えた。
「今から私の飢えた竿が貴方の花を開き、甘い蜜をたっぷりと味わうのです。どうか淫らに咲き乱れ、私の名を呼んでください」
「はぁっ、早く来て、グリンバルド！」
「かしこまりました」
　ぐぐっと挿入されたモノは、予想以上に大きく硬い。
　それでも奥まで来てほしい。
　未知の領域を犯し、激しく責めてほしい。
　スノウの真の姿を暴き、受け入れてほしい。
　スノウは指を咥え、舌足らずな声で強請る。
「ああ、しゅごい……グリンバルドのおっきい。早く奥まで挿れてぇ」
「くっ、苦しくはありませんか？」
「ううん、気持ちいいの。ねぇ、ゴリゴリしてよぅ。もっと僕を虐めて」
「スノウ様、なんという愛らしさ。果てる前に心の臓が止まりそうです」
　グリンバルドはスノウの細い腰を掴み、背中を反らした。一気に奥まで押し込まれ、スノウはその衝撃にのけ反る。目の前をチカチカと火花が散った。
「スノウ様、スノウ様……ああっ、なんという素晴らしい心地でしょう！」
　グリンバルドは陰茎を出し入れしながら、悦びの声を上げる。
「まさか貴方を抱けるなんて！　この天使のごとき身体を賞味できる日が来るとは！」
　スノウは徐々に激しくなっていく律動に揺れ、甘えた声で鳴いた。与えられる快感に意識が朦朧とし、視界が霞んでいく。感じるところを何度も擦られ、大きく膨らみ決壊した欲が、陰茎に向かって走り出した。
「ああっ、グリンバルドッ、イクッ、イっちゃうよぉぉぉっ！」
「スノウ様っ、私も、もうっ」
　スノウは脳天を突くような快感と開放感に恍惚とする。そして、自分中で膨張したものから熱い飛沫を注がれるのを感じた。