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22.星詠み2
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馬車が止まった。
どうやら目的地に着いたようだ。
アルフレッドに手を預けて馬車を降りたカリーナは、辺りを見回した。
すっかり陽は落ち闇に包まれている中で、馬車のランプに照らされてかろうじて見えるのは、鬱蒼とした木々のみ、聞こえるのは虫の音のみだ。
アルフレッドは、ランプを右手に掲げている、その左腕に掴まりながら、カリーナは目を凝らす。
やがて道は石畳の階段に差し掛かった。
アルフレッドがカリーナの足元に気を配りながらゆっくりと登ってくれる。
登りきった場所からも石畳は前方に続いている。
その突き当たりにうっすら建物が見えた。
アルフレッドがランプを下に置き、指を鳴らすと建物の中に灯が点った。
オレンジ色の光で内側から照らされ、その全貌が明らかになる。
円筒の白いレンガ造りの胴体には、小さな小窓が幾つか並んでいる。
奇妙なのはその屋根だ。
半球形の帽子のような形をしている。光を反射しているところをみると、どうやら素材は金属のようだ。
「変わった形ね。何のためのものなの?」
興味津々で尋ねるカリーナに微笑んでアルフレッドが説明をする。
「もともとは、‘’星読み‘’に使われていた教会施設の1つだったんだけど、改造して天文台になってるんだ」
「星を観測できるの?!」
「始祖と共に空から降ってきたと言われる石があってね、それに波長を合わせて魔術と魔道石を組み立てて観測機を完成させたんだよ」
何だか良くわからないけど凄い。
カリーナは暗闇に柔らかい光を放つ天文台を見上げながら近く。
アルフレッドが白い壁に手を翳すと壁が四角くくり貫かれて入口が現れた。
オレンジ色に照らされた丸い部屋の真ん中には、銀色の巨大な筒状の物体があり、周りを魔方陣と魔道石が其々の軌道を描いて回っている。
そして、その先は空に向かっていた。
外から見た時は気付かなかったが、屋根の中央が丸く切り取られて夜空が見える。
カリーナは初めて見る不思議な空間に見惚れた。
「望遠鏡だよ。ずっと未完成のままだったんだけどね。何とか仕上げた」
カリーナは後ろに立つアルフレッドを振り返った。
「もしかしてあの3日間はこのために?」
アルフレッドは、照れ臭そうに人差し指を鼻の下に当てた。
「まあね…。本当は、これで一緒に星を観測しようと思ってたんだけど…」
アルフレッドが再び指を鳴らすと、天文台の灯りが消えた。アルフレッドは、持ってきたランプを足元に置いた。
「どうやら今夜はその必要は無さそうなんだ」
アルフレッドがカリーナの傍に来て上を向くように促した。
望遠鏡越しに満天の星空が見える。
木々で鬱蒼としていた道中では気付かなかったが、星明かりが明るく降り注いでいる。
その時、光が斜めに横切った。
「流れ星!」
カリーナが声を上げると、それが合図になったかのように、2つ3つ星が光って流れた。隣で短く息を吸い込む音が聞こえたかと思うと、カリーナはいきなり手を握られて引っ張っぱられた。
「おいで!」
アルフレッドは入ってきた方向の対角にある壁に手をかざし、出口を出現させると外へ飛び出した。
カリーナも必死でそれについていく。
どうやら茨のトンネルの中を進んでいるようだが、ぐいぐい引っ張られるので、詳しく周りを見る余裕もない。
ひたすらアルフレッドの背中を見て走った。
やがて、トンネルの出口らしきものが見えた次の瞬間、前を走るアルフレッドをとりまく光景に息を飲んだ。
どうやら目的地に着いたようだ。
アルフレッドに手を預けて馬車を降りたカリーナは、辺りを見回した。
すっかり陽は落ち闇に包まれている中で、馬車のランプに照らされてかろうじて見えるのは、鬱蒼とした木々のみ、聞こえるのは虫の音のみだ。
アルフレッドは、ランプを右手に掲げている、その左腕に掴まりながら、カリーナは目を凝らす。
やがて道は石畳の階段に差し掛かった。
アルフレッドがカリーナの足元に気を配りながらゆっくりと登ってくれる。
登りきった場所からも石畳は前方に続いている。
その突き当たりにうっすら建物が見えた。
アルフレッドがランプを下に置き、指を鳴らすと建物の中に灯が点った。
オレンジ色の光で内側から照らされ、その全貌が明らかになる。
円筒の白いレンガ造りの胴体には、小さな小窓が幾つか並んでいる。
奇妙なのはその屋根だ。
半球形の帽子のような形をしている。光を反射しているところをみると、どうやら素材は金属のようだ。
「変わった形ね。何のためのものなの?」
興味津々で尋ねるカリーナに微笑んでアルフレッドが説明をする。
「もともとは、‘’星読み‘’に使われていた教会施設の1つだったんだけど、改造して天文台になってるんだ」
「星を観測できるの?!」
「始祖と共に空から降ってきたと言われる石があってね、それに波長を合わせて魔術と魔道石を組み立てて観測機を完成させたんだよ」
何だか良くわからないけど凄い。
カリーナは暗闇に柔らかい光を放つ天文台を見上げながら近く。
アルフレッドが白い壁に手を翳すと壁が四角くくり貫かれて入口が現れた。
オレンジ色に照らされた丸い部屋の真ん中には、銀色の巨大な筒状の物体があり、周りを魔方陣と魔道石が其々の軌道を描いて回っている。
そして、その先は空に向かっていた。
外から見た時は気付かなかったが、屋根の中央が丸く切り取られて夜空が見える。
カリーナは初めて見る不思議な空間に見惚れた。
「望遠鏡だよ。ずっと未完成のままだったんだけどね。何とか仕上げた」
カリーナは後ろに立つアルフレッドを振り返った。
「もしかしてあの3日間はこのために?」
アルフレッドは、照れ臭そうに人差し指を鼻の下に当てた。
「まあね…。本当は、これで一緒に星を観測しようと思ってたんだけど…」
アルフレッドが再び指を鳴らすと、天文台の灯りが消えた。アルフレッドは、持ってきたランプを足元に置いた。
「どうやら今夜はその必要は無さそうなんだ」
アルフレッドがカリーナの傍に来て上を向くように促した。
望遠鏡越しに満天の星空が見える。
木々で鬱蒼としていた道中では気付かなかったが、星明かりが明るく降り注いでいる。
その時、光が斜めに横切った。
「流れ星!」
カリーナが声を上げると、それが合図になったかのように、2つ3つ星が光って流れた。隣で短く息を吸い込む音が聞こえたかと思うと、カリーナはいきなり手を握られて引っ張っぱられた。
「おいで!」
アルフレッドは入ってきた方向の対角にある壁に手をかざし、出口を出現させると外へ飛び出した。
カリーナも必死でそれについていく。
どうやら茨のトンネルの中を進んでいるようだが、ぐいぐい引っ張られるので、詳しく周りを見る余裕もない。
ひたすらアルフレッドの背中を見て走った。
やがて、トンネルの出口らしきものが見えた次の瞬間、前を走るアルフレッドをとりまく光景に息を飲んだ。
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