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番外編 3
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──ま、まあ、アレがなくてもなんとかなるさ。これだけ同性婚が一般的な世の中なんだ。
オレは知らなくてもギヴが色々知っているはずだ、ハハ・・・。
落ち着こう、オレ。うん。
だけど・・・、下半身に当たったギヴのギヴ、すごく逞しくなかったか?
あらぬところから大量出血する自分の未来が見えて、くらりと目まいがした。
男同士の結合は命がけか!?
オレはベッドを離れ、倒れ込むようにリビングスペースに置かれているソファに座った。
ど、どうしたら・・・。
そうだ、トール先生はなんて言ってた?色々と人族のアレを赤裸々に語られた気がするが、焦っているせいかまるっと思い出せない。ただ、そう、俺が掘られる側だと確信してたな。
それはオレも納得している。で、確か、──ギヴに任せておけと、そんなことを言っていた。
任せていてこんな事態に陥っているのだが!?
ああ、トール先生に色々教わったのに!肝心のアレを脱衣所に置き忘れるだなんて。いや、わかっていてもギヴの前で出すことなんて恥ずかしくてできなかったけど。
「お待たせ、ラド。・・・ラド?顔色が悪い・・・、震えてる?」
上機嫌で浴室から出てきたギヴが、オレの様子を見て焦った声を出した。
「ギヴ・・・」
「ラド、・・・もしかして、私たちが一つになる、愛の行為が怖いんですか?」
「愛の行為・・・?」
「はい」
「・・・でも、オレ、全部初めてで」
自分が情けなくて涙が滲んだ。
「っ、・・くぅっ!」
ギヴから堪えきれないというように変な声が聞こえたがなんだろう。
「ラド、大丈夫です!百戦錬磨の私に任せて下さい」
・・・百戦、錬磨だと?
「愛しています、ラド。さあ、こちらへ」
「・・・・・」
・・・百戦、錬磨・・・。
思考停止のまま、薔薇の花びらが敷きつめられた魅惑のベッドへ誘われた。
仰向けに横たわるオレに沿うように片手で自分の頭を支えながらギヴが寝そべった。もう片方のギヴの手はオレの髪や頬を気まぐれに撫でたり突付いたりしている。
すぐ襲われるものだと目をギュッと瞑り、両手を胸の上で祈りの形に組んだオレは少し拍子抜けした。
「・・・貴方の御学友の多さに驚きました」
あ、ソレね。オレもびっくりした。学園時代、オレが少しでも関わったのはスピネル殿下とその取り巻きたち、つまり生徒会の面々位だったんだが。それに友達じゃないし、なんならスピネル殿下の誘いを断ってばかりのオレを敵対視していたけど。来てたね、生徒会の面々。あと、知らない奴らが数名。
「貴方の御学友枠を狙ってあまりに参加申し込みが殺到して、お義父様は抽選で決めたらしいですよ」
ふふ、とおかしそうにギヴが微笑う。
父が家のしがらみや損得関係なしに抽選で決めたのが可笑しかったんだと思う。
「父様には、友達はいないから呼ぶ人はいない、って言ったんだけどなあ」
「貴方は人気者でしたから」
「ははは」
そんな事実はない。
「もう殿下と二人きりで会ってはいけませんよ」
「二人で会うようなこと、この先ないと思うよ」
あちらは王族で騎士様、オレはしがない引きこもりだ。ギヴのお願いで結婚後はパン屋のバイトを辞めることにしたので、父の領地経営を手伝うだけの、本当の引きこもりだ。
愛人契約を持ちかけられた後の顔合わせだったが、スピネルは終始淡々としていた。──ああ、そういえば、ひどく眩しそうにオレを見てたっけ。ギヴがあれもこれもと全身に宝石を散りばめるから。
「殿下は全然諦める気が無さそうに見えましたよ。・・・ああっ、貴方を閉じ込めておきたいっ!」
「もう既に閉じこもっているようなもんだけどな」
「今後、貴方のその瞳に映るのが私だけなら良いのに」
「・・・」
甘いセリフに、お前はどこぞの役者か、と突っ込みたかったが、ギヴのイッちゃってる眼差しに口をつぐんだ。
「──なんて美しいんでしょう・・・」
「・・・・・」
オレは置物か。
時々、外見(主に瞳だが)を褒められると、まるで自分がこの家の古美術品の一つになったような気がしてイラッとする。
「オレを閉じ込めて、ギヴは外に遊びに行くの?」
「──え?」
「んで、百戦錬磨の記録を更新しちゃうの?オレ、オレ、そゆこと平気なタイプじゃないからっ。釣った魚にエサやらないどころか閉じ込めちゃうとか、そういうの良くないと思う!釣った魚には毎日ちゃんとエサをあげないと!」
何を言いたいんだ、オレ。
なんでこんなに苛々しているのか自分でもよくわからない。
「・・・ラド。可愛過ぎです」
オレの嫌な態度になぜか嬉しそうにギヴが笑顔になった。
ちゅ、と目元に口づけが降りてくる。
「わ!オレ、百戦錬磨なんて好きじゃないんだから。嫌い、なんだからっ!」
「百戦錬磨の私は、現実にはいません」
クスクスとおかしそうに笑いながらギヴが言う。
「さっき、ちゃんと聞いたし!」
「ラド、それでそんなに怒っているの?──幸せです」
ギヴの体が倒れ込んできて、ぎゅうっ、と抱きしめられた。
オレは知らなくてもギヴが色々知っているはずだ、ハハ・・・。
落ち着こう、オレ。うん。
だけど・・・、下半身に当たったギヴのギヴ、すごく逞しくなかったか?
あらぬところから大量出血する自分の未来が見えて、くらりと目まいがした。
男同士の結合は命がけか!?
オレはベッドを離れ、倒れ込むようにリビングスペースに置かれているソファに座った。
ど、どうしたら・・・。
そうだ、トール先生はなんて言ってた?色々と人族のアレを赤裸々に語られた気がするが、焦っているせいかまるっと思い出せない。ただ、そう、俺が掘られる側だと確信してたな。
それはオレも納得している。で、確か、──ギヴに任せておけと、そんなことを言っていた。
任せていてこんな事態に陥っているのだが!?
ああ、トール先生に色々教わったのに!肝心のアレを脱衣所に置き忘れるだなんて。いや、わかっていてもギヴの前で出すことなんて恥ずかしくてできなかったけど。
「お待たせ、ラド。・・・ラド?顔色が悪い・・・、震えてる?」
上機嫌で浴室から出てきたギヴが、オレの様子を見て焦った声を出した。
「ギヴ・・・」
「ラド、・・・もしかして、私たちが一つになる、愛の行為が怖いんですか?」
「愛の行為・・・?」
「はい」
「・・・でも、オレ、全部初めてで」
自分が情けなくて涙が滲んだ。
「っ、・・くぅっ!」
ギヴから堪えきれないというように変な声が聞こえたがなんだろう。
「ラド、大丈夫です!百戦錬磨の私に任せて下さい」
・・・百戦、錬磨だと?
「愛しています、ラド。さあ、こちらへ」
「・・・・・」
・・・百戦、錬磨・・・。
思考停止のまま、薔薇の花びらが敷きつめられた魅惑のベッドへ誘われた。
仰向けに横たわるオレに沿うように片手で自分の頭を支えながらギヴが寝そべった。もう片方のギヴの手はオレの髪や頬を気まぐれに撫でたり突付いたりしている。
すぐ襲われるものだと目をギュッと瞑り、両手を胸の上で祈りの形に組んだオレは少し拍子抜けした。
「・・・貴方の御学友の多さに驚きました」
あ、ソレね。オレもびっくりした。学園時代、オレが少しでも関わったのはスピネル殿下とその取り巻きたち、つまり生徒会の面々位だったんだが。それに友達じゃないし、なんならスピネル殿下の誘いを断ってばかりのオレを敵対視していたけど。来てたね、生徒会の面々。あと、知らない奴らが数名。
「貴方の御学友枠を狙ってあまりに参加申し込みが殺到して、お義父様は抽選で決めたらしいですよ」
ふふ、とおかしそうにギヴが微笑う。
父が家のしがらみや損得関係なしに抽選で決めたのが可笑しかったんだと思う。
「父様には、友達はいないから呼ぶ人はいない、って言ったんだけどなあ」
「貴方は人気者でしたから」
「ははは」
そんな事実はない。
「もう殿下と二人きりで会ってはいけませんよ」
「二人で会うようなこと、この先ないと思うよ」
あちらは王族で騎士様、オレはしがない引きこもりだ。ギヴのお願いで結婚後はパン屋のバイトを辞めることにしたので、父の領地経営を手伝うだけの、本当の引きこもりだ。
愛人契約を持ちかけられた後の顔合わせだったが、スピネルは終始淡々としていた。──ああ、そういえば、ひどく眩しそうにオレを見てたっけ。ギヴがあれもこれもと全身に宝石を散りばめるから。
「殿下は全然諦める気が無さそうに見えましたよ。・・・ああっ、貴方を閉じ込めておきたいっ!」
「もう既に閉じこもっているようなもんだけどな」
「今後、貴方のその瞳に映るのが私だけなら良いのに」
「・・・」
甘いセリフに、お前はどこぞの役者か、と突っ込みたかったが、ギヴのイッちゃってる眼差しに口をつぐんだ。
「──なんて美しいんでしょう・・・」
「・・・・・」
オレは置物か。
時々、外見(主に瞳だが)を褒められると、まるで自分がこの家の古美術品の一つになったような気がしてイラッとする。
「オレを閉じ込めて、ギヴは外に遊びに行くの?」
「──え?」
「んで、百戦錬磨の記録を更新しちゃうの?オレ、オレ、そゆこと平気なタイプじゃないからっ。釣った魚にエサやらないどころか閉じ込めちゃうとか、そういうの良くないと思う!釣った魚には毎日ちゃんとエサをあげないと!」
何を言いたいんだ、オレ。
なんでこんなに苛々しているのか自分でもよくわからない。
「・・・ラド。可愛過ぎです」
オレの嫌な態度になぜか嬉しそうにギヴが笑顔になった。
ちゅ、と目元に口づけが降りてくる。
「わ!オレ、百戦錬磨なんて好きじゃないんだから。嫌い、なんだからっ!」
「百戦錬磨の私は、現実にはいません」
クスクスとおかしそうに笑いながらギヴが言う。
「さっき、ちゃんと聞いたし!」
「ラド、それでそんなに怒っているの?──幸せです」
ギヴの体が倒れ込んできて、ぎゅうっ、と抱きしめられた。
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