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第五章 変わりゆく世界、変わらない世界

第6話 結局、本人にしか分からない

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「ソルト! 聞いてよ!」
「うわっ! いきなりだなレイ。どうした?」
屋敷に戻ったソルトにレイがプリプリとしながら、ソルトに向かってきた。
「ソルト、帰ってきたのね。ギルマス達はどうだったの?」
「エリス、そうだね。ちょっとパーティー限定で話そうか」
「分かったわ。じゃあ、私はシーナと一緒に皆に声を掛けてからソルトの部屋に行くわね」
「うん、お願い」
エリスがソルトに笑って応えると、シーナを連れてパーティーメンバーを集めるためにソルト達から離れる。
「じゃあ、他の人達が来る前にレイの話を聞こうか」
「うん!」
プリプリしていた顔から一瞬で笑顔に変わったレイとソルト達は、一緒にソルトの部屋へと向かう。そして、部屋に入りソルトがソファに座るなり、その横に座るとソルトの腕を掴む。
「じゃあ、話すからソルトには男としての立場からの意見が欲しいの。いい?」
「まあ、いいも何も話してくれないとなんとも言えないけど、取り敢えずは話してみてよ」
「うん、分かった。あのね、あっちにいる竜也達のことなんだけど……」
そう言ってレイが話を切り出した瞬間、聞かなきゃよかったと思ったソルトだが、聞くと約束してしまった以上、話を聞かない訳にはいかない。まずは一通り話を聞くかと腰を据える。
「……って、ことなんだけど、ソルトはどう思う?」
「どう思うって……」
「だって、竜也は寝ている間にされたんじゃないかって言うんだけど、寝ている時って……男の人のアレって……あの……その……」
「アレがどうした?」
「もう、察してよね。まあ、そこがソルトらしいっちゃそうなんだけどさ……」
「レイ?」
「ああ、もう! だから、男の人のアレは寝ていてもそういうことが可能なのかってことよ! もう、言わせないでよ! バカソルト!」
「バカって……まあ、言いたいことは分かった。結論から言えば、出来るな」
「「「『え~! そうなの!』」」」
「な! エリスにシーナまで……それにルーまで」
いつの間にかソルトの部屋にはパーティーメンバーが揃っていて、レイの相談内容もしっかり聞かれていたみたいだ。
「ソルト、さっきの話は本当なの?」
「本当も何も本能だし……」
レイからの問い掛けについ、本音で応えてしまうソルトだが、そもそもなんでこんな話になったのかと考えてみる。
レイからの相談の内容は竜也が襲われたと言うが、それは本当に有り得るのかという話だった。まあ、ソルトからすれば、下半身は別人格と言われる様に本人の意識とは関係なく反応する物だから、寝ている本人からすれば、どうにもすることは出来ない。
「そういう訳だから、その友人の彼を責めるのは少し酷だと思うよ」
「でも……」
「レイが怒る理由も分かるけどさ、あっちは王国のテリトリーでしょ。だから、その友達の食事に何かを混ぜて眠らせることも難しくはないし。ましてや、その部屋に忍び込むなんてことも簡単でしょ。ここは、その友達を信じてやるのも大切なことだと思うよ」
「そうだけどさ、実際にもう子供は育っているんだし……」
いくらソルトが男の本能だと説明しようにもレイには納得出来ないみたいだ。実際には男ではなく女性の方に負担が掛かっているということもあるのだろうが寝込みを襲われたことを証明出来ない限りはどうしようもない。加えて、ここは遠く離れた場所で、その友達に対し直接的な手助けをしてやることも出来ない。そういうことを加味しても結局はどうすることも出来ないとしか言えない回答しか出来ないソルトは出来るだけ抑えてレイに説明するが、レイの表情は芳しくない。
「うん、複雑な気持ちも理解出来るつもりではいるけど、俺達はどう頑張っても傍観者で第三者でしかないんだよ。だから、その友達がどう決着を付けようが、俺達にはどうしようもないかな」
「だよね、分かってはいるんだけどね。納得は出来ないよね」
「はい! なら、この話はここまで! どうしても気になるのなら、そのお友達とちゃんと話してみることね。じゃあ、ソルト、本題のギルマスと話した内容を教えてくれるかな」
「分かった。レイはそれでいいね。じゃあ、話すよ。ギルマスと話したのは……」
エリスに促され、レイにはこの話はここまでということで了承してもらい、集まってくれた皆にギルマスと話した内容を説明する。

「と、いうことでギルマスにはほとんどのことを話した。もしかしたら、説明が必要とかで呼び出しをくらうかもしれないけど、その時はエリスとブランカに相席を頼んでもいいかな」
「私はいいわよ」
「そうね、私からも説明出来ることがあるかもね。まあ、面倒なら吹き飛ばしてしまえばいいだけだし」
「ブランカ……冗談でも止めてよね」
「な、何よ。ソルト、冗談じゃないの。何よ、目が笑ってないわよ」
「いいけど、本当に吹き飛ばしたら、どうなるか……分かってるよね?」
「わ、分かったわよ。しないから! 本当よ」
「なら、いいけど。ノア、ご両親の暴走を抑えるのも子供の役目だよ。大変だと思うけど、頼むね」
「ああ、分かった。いざとなれば、腕の一、二本折れば大人しくなるだろう」
「「ノア!」」
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