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第六章 いざ、王都へ
第1話 出発!
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なんだかんだとありながら、漸く領主代行のアランと一緒に街を出る。ゴルドが御者を務める馬車の後ろに領主代行の馬車が続く。ソルトはゴルドの横で馬車の操り方を習いながらこれからのことを考える。
「ソルト、まだ街を出たばかりだぞ。警戒するにはちと早いな。今からそんなんじゃ気疲れしてしまうぞ」
「いや、そんなんじゃなくてさ。これから王都まで行くのはいいんだけどね。それまで何もなく行けるのかなとか考えてさ」
「ほぉ~ソルトでもそんなことを考えるのか」
「そりゃ、ちょっとは考えるよ。ただでさえ、問題起こしそうなメンバーだってのに……」
「そりゃ、お前も含めてのことか?」
「え? なんで俺が含まれるの?」
「は? いつも騒動の中心はお前だろうが。お前こそ何言ってんだ?」
「え? そうなの?」
「ああ、そうだ。よ~く思い出してみるんだな。山に入るまでは何もないだろうからな。今の内によく考えてみるんだな。ふふっ」
「え~」
ゴルドとソルトが乗る馬車は小さく全員が乗れる訳ではなかった。なので、留守番組と同行者を分けることになったのだが、すんなり決まる訳もなくもう少しで肉体言語での話し合いになりそうだったところで、ソルトから案を提示されると皆は不承不承に納得する。
「しかし、よく説得出来たもんだな」
「まあね。こんなことで出発が遅れるのもイヤだしね。それに付いてくるって言っているのも今だけだと思うよ」
「ほぉ~そりゃまたどうしてだ?」
「だって、考えてもみなよ。レイが馬車の中でジッとしていることなんて出来ると思う? もうそろそろ『暇だぁ~』って騒ぎ出す頃じゃないかな」
「ねえ、なんの話? ってか暇なんだけど?」
「「ぷっ……ははは……」」
ゴルドとソルトが話しているところにレイが後ろから顔を出す。やはり、ただ馬車に揺られるだけじゃ退屈だったようだ。そんなレイの様子に後ろからエリスがレイを引っ張り馬車の中へと戻す。
「もう、レイさん。暇なら寝ていればいいでしょ。どうせ、警戒することも出来ないんだし」
「あ~シーナまでそんなこと言うのヒドくない?」
「いいから、大人しくしてなさい。これは護衛任務なのよ」
「でも、ヒマだし……」
「だからって、ソルトさんの邪魔しないで下さい。ですよね、ソルトさん」
「まあ、適当に休憩するから、それまでは我慢してよ」
「ぶぅ~」
予想通りにレイが不満を漏らし、それをエリスとシーナが横から抑えるいつものパターンだ。馬車に随行するメンバーを決めるときに真っ先に手を挙げたのはレイとエリスとシーナだったからってのはあるが、夜になれば転移で戻ることも出来るし途中でメンバーを交代することも出来るからとエリス主導で日程が組まれたようだ。
「しかし、確かにヒマだよね」
「まあな。平道だし、まだ街に近いから襲ってくる連中も魔物もいないしな。だからって、襲われるのも簡便だけどな」
ソルトのぼやきにゴルドがそう説明するが、ヒマなのはゴルドも一緒だ。
「山に入る前に一度、休憩するか。領主代行の馬車にそう伝えてもらえるか」
「いいけど、なんでゴルドさんが自分でしないの?」
「……だってよ。いくら念話でもあんなむさい男と繋がるってのがな」
「……それをゴルドさんが言うの?」
「ん? そりゃ、どういう意味だ?」
「どういう意味って……まあ、いいけどさ。じゃあ、伝えとくね」
「ああ、頼む」
ゴルドに言われた通りに後ろの領主代行の御者をしている中年男性に念話でさっきの会話の内容を伝える。出発前に念話が出来る様にと領主代行の一行にも念話を付与したブレスレットを渡している。最初はおっかなびっくりといった様子だったが、念話が使えることが分かると領主代行達からソルトに礼を告げられる。
「山っていうとアレのこと?」
「ああ、そうだ。王都に行くにはあの峠を越えるのが第一の関門だ。まあ、何事もなければいいがな」
「それってフラグ立つんじゃないの?」
「フラグ?」
「ああ、気にしないで。ふぅ~ってことは十分警戒しないとな」
ゴルドの言葉にソルトは一抹の不安が拭えないでいる。やはり峠道となれば山賊や魔物が手ぐすね引いて待っていることだろうと。
「ソルト、まだ街を出たばかりだぞ。警戒するにはちと早いな。今からそんなんじゃ気疲れしてしまうぞ」
「いや、そんなんじゃなくてさ。これから王都まで行くのはいいんだけどね。それまで何もなく行けるのかなとか考えてさ」
「ほぉ~ソルトでもそんなことを考えるのか」
「そりゃ、ちょっとは考えるよ。ただでさえ、問題起こしそうなメンバーだってのに……」
「そりゃ、お前も含めてのことか?」
「え? なんで俺が含まれるの?」
「は? いつも騒動の中心はお前だろうが。お前こそ何言ってんだ?」
「え? そうなの?」
「ああ、そうだ。よ~く思い出してみるんだな。山に入るまでは何もないだろうからな。今の内によく考えてみるんだな。ふふっ」
「え~」
ゴルドとソルトが乗る馬車は小さく全員が乗れる訳ではなかった。なので、留守番組と同行者を分けることになったのだが、すんなり決まる訳もなくもう少しで肉体言語での話し合いになりそうだったところで、ソルトから案を提示されると皆は不承不承に納得する。
「しかし、よく説得出来たもんだな」
「まあね。こんなことで出発が遅れるのもイヤだしね。それに付いてくるって言っているのも今だけだと思うよ」
「ほぉ~そりゃまたどうしてだ?」
「だって、考えてもみなよ。レイが馬車の中でジッとしていることなんて出来ると思う? もうそろそろ『暇だぁ~』って騒ぎ出す頃じゃないかな」
「ねえ、なんの話? ってか暇なんだけど?」
「「ぷっ……ははは……」」
ゴルドとソルトが話しているところにレイが後ろから顔を出す。やはり、ただ馬車に揺られるだけじゃ退屈だったようだ。そんなレイの様子に後ろからエリスがレイを引っ張り馬車の中へと戻す。
「もう、レイさん。暇なら寝ていればいいでしょ。どうせ、警戒することも出来ないんだし」
「あ~シーナまでそんなこと言うのヒドくない?」
「いいから、大人しくしてなさい。これは護衛任務なのよ」
「でも、ヒマだし……」
「だからって、ソルトさんの邪魔しないで下さい。ですよね、ソルトさん」
「まあ、適当に休憩するから、それまでは我慢してよ」
「ぶぅ~」
予想通りにレイが不満を漏らし、それをエリスとシーナが横から抑えるいつものパターンだ。馬車に随行するメンバーを決めるときに真っ先に手を挙げたのはレイとエリスとシーナだったからってのはあるが、夜になれば転移で戻ることも出来るし途中でメンバーを交代することも出来るからとエリス主導で日程が組まれたようだ。
「しかし、確かにヒマだよね」
「まあな。平道だし、まだ街に近いから襲ってくる連中も魔物もいないしな。だからって、襲われるのも簡便だけどな」
ソルトのぼやきにゴルドがそう説明するが、ヒマなのはゴルドも一緒だ。
「山に入る前に一度、休憩するか。領主代行の馬車にそう伝えてもらえるか」
「いいけど、なんでゴルドさんが自分でしないの?」
「……だってよ。いくら念話でもあんなむさい男と繋がるってのがな」
「……それをゴルドさんが言うの?」
「ん? そりゃ、どういう意味だ?」
「どういう意味って……まあ、いいけどさ。じゃあ、伝えとくね」
「ああ、頼む」
ゴルドに言われた通りに後ろの領主代行の御者をしている中年男性に念話でさっきの会話の内容を伝える。出発前に念話が出来る様にと領主代行の一行にも念話を付与したブレスレットを渡している。最初はおっかなびっくりといった様子だったが、念話が使えることが分かると領主代行達からソルトに礼を告げられる。
「山っていうとアレのこと?」
「ああ、そうだ。王都に行くにはあの峠を越えるのが第一の関門だ。まあ、何事もなければいいがな」
「それってフラグ立つんじゃないの?」
「フラグ?」
「ああ、気にしないで。ふぅ~ってことは十分警戒しないとな」
ゴルドの言葉にソルトは一抹の不安が拭えないでいる。やはり峠道となれば山賊や魔物が手ぐすね引いて待っていることだろうと。
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