復讐なんて意味がない? そんなのやってみないと分からないよね

ももがぶ

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第1章 始まり

第8話 初遭遇

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「だよね……まあ、確かに人が少ない場所をリクエストしたけどさ……」
『ガウゥ……』
『ギャギャギャ……』
『ゴファ!』

 優太は転移した先でいきなり魔物らしき生命体に襲われたが慌てることなく、その牙が届く前に障壁バリアを展開し魔物からの襲撃から逃れるが、まだ障壁バリアの外では中にいる優太を諦めきれずにたくさんの魔物が爪を起てたり噛みついたりと忙しそうにしている。

「アイツ、まさか僕を殺そうとはしてないよね。一応、ゲームの主人公だと思っていたけど……何が幸多からんことを願うだよ。いきなり殺りにきているじゃないか。先にスキルを得てなかったら死んでたよね」

 優太はあの白い空間で自分のスキル「スキル創造」を得たことを確認すると、直ぐに鑑定、スキル複製、障壁バリアなど、取り敢えず必要なスキルを得てから、転移門を潜る前の同級生達にマーカーを付与し、鑑定して有用なスキルを見付けた場合には複製して自分にも付与していた。

「ちょっと、回りが騒がしいけど……」と優太は『世界地図ワールドマップ』を展開し他の生徒達の様子を確認する。

「あぁ~やっぱり担任はアイツが言ってた様に既に殺られたみたいだね。で、こっちは謙君のグループだけど……」

 優太は既にマーカーが外れている人物を確認すると、クズ担任とジョーと一緒に潜っていった三人が既に亡くなっていることが分かった。

「クズ担任はあの二人だろうけど、こっちの三人は……坂井誠アイツなんだろうな」

 優太はジョーに着いていった猛者と言われるそれぞれの部活動では上位に数えられる三人が簡単に殺られている事実に対し、ジョーではなく自分が復讐したい相手……坂井誠だろうと目星を付ける。

「アイツだけは絶対に許さない! 父さんが何も言えないのを利用して謙君を利用して僕をイジメてきたアイツだけは絶対に許さない!」

 優太は坂井誠がしたであろう同級生三人の殺害を疑うこともなく坂井誠の仕業であると決めつけ、自分の決意が揺るがないように改めて坂井誠への憎悪を確認する。

「大体さ、謙君も理恵ちゃんも自分達の父親が同じ会社だからって、父親達の上下関係を僕達にまで当てはめることもないと思うんだけどね」

 優太が思っている様にジョーこと、平謙は自分の父親が優太達の父親の上司へと昇級し、負け犬小屋と言われていた社宅を出て行ってからは、露骨に優太を自分より下にと見るようになった。

 そして佐々木理恵も次の職制異動で優太の父親より上に行けそうだと父親から聞かされ、それまでは一緒に登下校していた優太からジョーへと鞍替えした。

「ま、いいけどさ。理恵ちゃんも大変そうだけど……謙君も大変だね」

 優太は自分の目の前に展開した世界地図ワールドマップを眺めながら「これってほぼ地球の世界地図だよね……まあ気にするのもバカらしいか。で、僕がいるところがオーストラリア大陸っぽいところで、オタク君達のグループがアフリカ大陸で、太田さん達が日本? っぽいところで、片桐君達が北米大陸か。で、謙君達はユーラシア大陸のほぼ真ん中だね。見事にばらけたね」と皆の位置情報を確認した後に腕を組んで、今後どうするかを考える。

「先ずは坂井誠あいつと会うのは出来るだけ先延ばしにしたい。でも、片桐君やオタク君には出来るだけ迷惑は掛けたくないし……ん~」

 優太は坂井誠とは直ぐに会うのは避けたいと考えるが、だからと言って坂井誠を放置すれば、アイツのことだから自分は最後で、少しでも強くなるためにスキル目当てに優太以外の他の同級生を狩っていくだろうなと考える。

「そうだよなぁ~いくら僕の願いとは言え、片桐君達まで巻き込んだのは予定外だったけど、だから片桐君達にはせめて天寿を全うして欲しいと思うのは僕のエゴだろうけど、今の状況だと坂井誠が手を出しそうなんだよなぁ~ん~」

 優太は同級生達の位置関係をもう一度見直し、坂井誠が移動するにしても他の大陸に行くまでには時間はあるだろうと考えた。そして「坂井誠が大陸を移動する前に僕が有名になればいいのかな?」と考えてみる。

 優太はもし、この世界がラノベで読んでいた様な剣と魔法の世界であるならば、冒険者ギルドもあるだろうと考える。そして、その冒険者ギルドで高ランクになれば、他の大陸にも名を馳せて坂井誠向こうの方から自分のいる大陸へと渡って来るだろうとも考える。

「でも、アイツのことだから俺と殺り合う前に念には念を入れて他の同級生達を刈り取ろうとするかもしれない。そうなれば本末転倒だよ。なら、どうすれば……うん、僕がエサになればいいのか」

 優太は冒険者ギルドで有名になることも考えたが、有名になればなるほど坂井誠は用心深くなるだろうし、優太に大勝したいという思いから他の同級生を刈り取りスキルを奪取しようと考えに難くない。

「あ~もう、ホントメンドクサイ。僕だって異世界を堪能したいのにさ。でも、やっぱりほぼ無関係の同級生が坂井誠に殺られるのはイヤだし……うん、決めた!」

 優太はこれ以上坂井誠に対し考えても「かもしれない」ばかりで明確な対応策は取れないと思い考えを改める。

「幸いにもある程度の時間的余裕はあるみたいだし、今の僕に出来ることは強くなるだけだよね。じゃあ、頑張りますか」

 優太は坂井誠のことをあれこれ考えても結論は出ないだろうと諦めるが、結果的には自分が坂井誠が無視出来ないほどに強くなるしかないと結論付ける。

「先ずは目の前のコイツらを倒してスキルレベルを上げていくしかないか。……って、訳で僕の明日の糧になってね。えいっ!」

 優太は未だに優太が張った障壁バリアをなんとかしようと足掻いている魔物達を見据え「僕の糧になれ!」と障壁バリアを向こう側にいる魔物達に向かって風魔法である「風刃ウィンドスラッシュ」を唱えれば、何頭かの魔物は断末魔と青い血を噴き出しながら倒れていくのが見えた。

「ん。少しは有効みたいだね。じゃあ、可食かどうかは後回しにして先ずは殲滅するしかないよね」と優太は自分の魔力がある内にと魔法を連発し襲ってくる魔物の数を減らしていく。
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