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しおりを挟む過去を客観的に見ている、と頭の片隅で悟っている由良は暗闇の中を裸足で歩いていた。
視線の先には幼い自分の足。
薄い皮の小さな足のうらで地面を踏むのは痛くてつらい。
歩く度に傷ついて赤く腫れていた。
目の前で唯一の肉親である兄を殺されて魂の奥までひびが入り、粉々に砕け散っていた。再生を望まず知り合いに声をかけられても無視して、当て所もなく歩いていた。
「よう、俺を殺しやがった糞生意気な人間のガキ。しょぼくれたつらして親兄弟でも殺されたか……いい気味だぜ」
からかいの声が聞こえる。耳に届くがそれに反応する心が由良にはない。
その様子に声の主は舌打ちすると真っ赤な肌をした大柄の鬼が姿を現した。
「お前それでも、あいつの子孫かよ。今、お前を喰っても不味いだろうな」
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