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第26話 都合の良い勘違い

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「ちょっと、なんで? 今さっきすごい体調戻ったのに!」

「一体、何が起きてるんでしょうか……」

 俺が支援魔法を解除すると、ロードだけでなくリリスもナナも不安げにあわあわとし始めた。

 これ以上引っ張っても仕方がないし、答えを教えてあげよう。

「体が軽くなったのは俺が支援魔法をかけたから、体が重くなったのは俺が支援魔法を解いたからだよ」

「「「え?」」」

 俺がそう告げると、ロードとリリスとナナは声を揃えて間抜けな声を漏らした。

「調子が悪い? ふふっ、笑わせるでない。おまえら人間の元の力がその『調子が悪い』状態なのだろう?」

 そこまで言われてようやく理解したのか、三人は顔をサーッと青くさせた。

 ただ一人、オリバだけ顔を俯かせているので表情は見えないが、おそらく怒っているか悔しがっているかの二択だろう。

 ここで変に突いても、面倒だしこのまま顔を伏せておいて欲しいなぁ。

「ソータ、そろそろ行こうか」

「あっ、はい。そうですね」

 そう考えていたタイミングでサラさんが声をかけてくれたので、俺たちはその場にオリバたちを残して歩き出した。

「ま、待って! ……えっと、た、助けに来てくれたんじゃないの?」

「え、違うけど?」

 リリスに検討違い過ぎることを言われたので、俺は振り返りながら反射的にそう答えた。

 一体、何をどうしたらそんなふうに勘違いをされるのだろうか?

「前をトロトロと歩いていたら邪魔だと言っていただろう? つまり、そういうことさ。他意はないよ」

 サラさんが笑顔でそう言うと、リリスは何かを言い返そうとしたみたいだったが、ぐっと言葉を呑み込んだ。

 まさか、馬鹿にしていた俺たちにそんな言葉を返されるとは思っていなかったのだろう。

 リリスが俺たちを睨んでいたので睨み返すと、リリスは根気負けしたようにふいっと視線を逸らした。

「それじゃあ、先に行くから」

 俺はそう言って、オリバたちに背を向けて歩き出した。

 後ろで地面に座り込むような音が聞こえたが、俺は振り返ることもしなかった。

 ……少しくらい、このダンジョンで頭を冷やして欲しい。

 オリバたちにこれまでされたこと思い出して、俺は少しだけ急ぎ足でダンジョンの奥へと進んでいった。

「ソータのおかげで、少しだけすっきりしたよ。ありがとう」

 俺の隣で歩いていたサラさんはそう言うと、優しい笑みを浮かべた。そんなサラさんの笑みを見て、俺も釣られるように笑う。

「こっちのセリフですよ。このままダンジョンを先にクリアして、サラさんがいるパーティも見返しましょう」

 俺が小さくガッツポーズしてそう言うと、サラさんはふふっと笑いながら頷いてくれた。

 そんな話をサラさんとしていると、オリバたちを後ろに置いてきたことも忘れそうになるな。

 そう考えながら、俺たちはダンジョン攻略のために歩いていくのだった。

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