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第33話 ケルの真の姿
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「ケルの本気?」
俺は思ってもみなかった事態に生唾を呑み込んでいた。
地獄の門番と言われているケルベロス。
その強さの一端を今ここで見れるということだろうか?
ケルは俺たちとワイバーンの中間地点くらいの距離で立ち止まると、漂わせていた禍々しい魔力の量を一気に跳ね上げる。
「もしかして、真の姿になるのかな?」
「真の姿、ですか?」
「ケルベロスって本来は首が三つあるものだろう? だから、ケルも本気を出したらそうなるんじゃないかな?」
「首が三つ……」
サラさんに言われて、俺は本来のケルベロスの姿を想像した。
フェンリルにも劣らない大きな体から生える三つの首に、噛みついた者をそのまま切り裂けそうな牙。
そして、太い脚には鋭くて地面をえぐるような爪がある。
そんな罪人たちを軽く蹴散らせるような恐怖の対象。
ケルはこれからそれになろうとしているのだろうか?
俺たちがそんなふうに考えていると、ケルはぐいっと胸を張った。
「ワイバーンよ、貴様ごときがわれの本気を見れることなど、本来はないのだぞ」
ケルはそう言ってから、地面を強く踏んだ。
すると、バンッという音と共にケルを囲むように紫色の魔法陣が形成された。
「さぁ、刮目せよ!!」
ケルがそう言うと、カッと魔法陣が光って、ボフッと白い煙がケルを覆った。
……まるで、初めてケルにあったときと同じような状況。
もしかして、本当に地獄にいるような恐ろしい姿になるんじゃないか?
そう思っていると、煙の中からヌッと三つの頭が姿を現した。
「これが我の真の姿! さぁ、震えるがいい!!」
そこにいたのは…………三匹の可愛らしい黒色の子犬たちだった。
え? あれ?
確かに頭は三つあるけど、頭が三つあると言うか、ただ三匹の子犬が並んで尻尾をフリフリっと振っているだけだった。
「行くぞ! 我が兄弟たちよ!!」
ケルはそう言うと、三匹でちょこちょこちょこっとワイバーンに向かって走っていた。
そして、その勢いのままワイバーンに体当たりをした。
「ギャアアアアア!!」
すると、ケルに体当たりされたワイバーンは大袈裟に後ろに吹っ飛んで、そのまま壁に体を激突させた。
「「え?」」
可愛らしい黒いモフモフの体当たり。
そんな見た目と威力があっていないケルの攻撃を前に、俺とサラさんは間の抜けたような声を漏らした。
「兄弟! 翼を狙え、翼を!」
そんなケルの呼びかけを受けて、ケルそっくりな魔物たちがワイバーンの翼にガジガジッと噛みつき始めた。
「ぎ、ギィヤアア!!!」
ケルたちは小さい口で噛んでちぎってを繰り返してワイバーンの翼に穴をあけて、徐々にワイバーンの翼を穴だらけにしていく。
そして、あっという間にワイバーンの翼はすでに翼で飛ぶことができないくらい、多くの穴が開けられていた。
「ソータ! 早く魔法の準備をするのだ!」
「あっ……うん!」
色々と気になることがあるけど、後で聞いてみよう。
そんなことを考えながら、俺は慌てるように五重に『火球』を重ねる魔法を打つための準備に入ることにした。
俺は思ってもみなかった事態に生唾を呑み込んでいた。
地獄の門番と言われているケルベロス。
その強さの一端を今ここで見れるということだろうか?
ケルは俺たちとワイバーンの中間地点くらいの距離で立ち止まると、漂わせていた禍々しい魔力の量を一気に跳ね上げる。
「もしかして、真の姿になるのかな?」
「真の姿、ですか?」
「ケルベロスって本来は首が三つあるものだろう? だから、ケルも本気を出したらそうなるんじゃないかな?」
「首が三つ……」
サラさんに言われて、俺は本来のケルベロスの姿を想像した。
フェンリルにも劣らない大きな体から生える三つの首に、噛みついた者をそのまま切り裂けそうな牙。
そして、太い脚には鋭くて地面をえぐるような爪がある。
そんな罪人たちを軽く蹴散らせるような恐怖の対象。
ケルはこれからそれになろうとしているのだろうか?
俺たちがそんなふうに考えていると、ケルはぐいっと胸を張った。
「ワイバーンよ、貴様ごときがわれの本気を見れることなど、本来はないのだぞ」
ケルはそう言ってから、地面を強く踏んだ。
すると、バンッという音と共にケルを囲むように紫色の魔法陣が形成された。
「さぁ、刮目せよ!!」
ケルがそう言うと、カッと魔法陣が光って、ボフッと白い煙がケルを覆った。
……まるで、初めてケルにあったときと同じような状況。
もしかして、本当に地獄にいるような恐ろしい姿になるんじゃないか?
そう思っていると、煙の中からヌッと三つの頭が姿を現した。
「これが我の真の姿! さぁ、震えるがいい!!」
そこにいたのは…………三匹の可愛らしい黒色の子犬たちだった。
え? あれ?
確かに頭は三つあるけど、頭が三つあると言うか、ただ三匹の子犬が並んで尻尾をフリフリっと振っているだけだった。
「行くぞ! 我が兄弟たちよ!!」
ケルはそう言うと、三匹でちょこちょこちょこっとワイバーンに向かって走っていた。
そして、その勢いのままワイバーンに体当たりをした。
「ギャアアアアア!!」
すると、ケルに体当たりされたワイバーンは大袈裟に後ろに吹っ飛んで、そのまま壁に体を激突させた。
「「え?」」
可愛らしい黒いモフモフの体当たり。
そんな見た目と威力があっていないケルの攻撃を前に、俺とサラさんは間の抜けたような声を漏らした。
「兄弟! 翼を狙え、翼を!」
そんなケルの呼びかけを受けて、ケルそっくりな魔物たちがワイバーンの翼にガジガジッと噛みつき始めた。
「ぎ、ギィヤアア!!!」
ケルたちは小さい口で噛んでちぎってを繰り返してワイバーンの翼に穴をあけて、徐々にワイバーンの翼を穴だらけにしていく。
そして、あっという間にワイバーンの翼はすでに翼で飛ぶことができないくらい、多くの穴が開けられていた。
「ソータ! 早く魔法の準備をするのだ!」
「あっ……うん!」
色々と気になることがあるけど、後で聞いてみよう。
そんなことを考えながら、俺は慌てるように五重に『火球』を重ねる魔法を打つための準備に入ることにした。
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