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第39話 お宝収集と気配

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「サラさん、こっちに小さい宝箱ありましたよ」

「本当かい? どれ中には何が入っているんだろ?」

 ダンジョンのボスを倒してから数日、俺たちはダンジョンの中を少し散策していた。

『魔力探知』で宝箱に化けた魔物かどうか分かるので、ミミックのような魔物と宝箱を間違えるようなことはなかった。

 そして、何個目かの宝箱を前にして、俺たちはテンションを上げながら宝箱を開ける。

「……これは、短剣ですかね。価値とかあるやつでしょうか?」

 宝箱の中にあったのは何の変哲もない短剣だった。

 鞘から引き抜いて見てみたところ、特に錆びている様子もないけど、何か高価な装飾がされているようにも思えない。

「どれ、見せてくれるかい?」

 俺が短剣を手渡すと、サラさんは短剣を見定めるように見たあと、ふむと小さく頷いた。

 それから俺を見て、残念そうに首を振る。

「下の中って感じの短剣だね。まぁ、古くはないから武器屋に売りにいけば、多少は値が付くかな」

「そうでしたか。まぁ、お金になるなら嬉しいです」

 俺はサラさんから受け取った短剣を鞘にしまって、背負っていた荷物の中に入れる。

 荷物の中には、ダンジョンで獲得した他のお宝も一緒に入れていた。

 と言っても、さっき見つけた短剣と同じような物や、価値がそこまで高くない魔法具のような物ばかりだった。

 俺がそれらの荷物をじっと見ていると、サラさんが隣に来て同じように荷物を覗き込む。

「うん、C級ダンジョンのお宝としては少し劣るけど、魔導書の他にこれだけあれば十分じゃないかな?」

「そうですね。二人で分ければお金もけっこう入ってくるかもしれません」

 オリバのパーティにいたときは、ダンジョンに行っても俺のもとには少ししかお金が入ってこなかった。

でも、今回はこのお宝たちを売った額の半分が俺にもとに入ってくることになる。

 ……うん、ボロ屋じゃない宿に泊まることもできるはずだ。

 そう考えると、早くも心がウキウキとしてくる。

 欲を言えば、もう少し宝がないか散策したいところだけど、もう結構上まで上がってきてしまったし、今からまたダンジョンに潜り直すのも面倒だ。

 まぁ、これだけ収穫があれば十分かな?

「あれ? 何かいる……ん?」

『魔力探知』に反応があってそちらに意識を向けてから、俺は思わずまさかと呟いてしまった。

 だって、ここってダンジョンの上層の方だよね?

 そう思いながらも、行きに会って以降、あの人たちに会っていなかったことを思い出した。

「なるほど。意外だな、ちゃんと息があるみたいではないか」

 ケルはそう言うと、嬉しそうに尻尾を振りながらその気配の方に向かって行った。

 ケルがキラキラして向かって行くということは、そういうことなのだろう。

 多分、道的にも回避をするのは無理だよね。

 そう考えた俺は、渋々ケルの後を追うのだった。
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