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第一章

せーの、でね

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「……救う?」

 首をかしげるエレナに、シルクハットの少年は視線をまっすぐに向けて頷く。

「このまま何もせず開放してしまっては、“彼”はずっと自分のミスに気付かずに、また同じ過ちを繰り返してしまうかもしれない。だからぼくは、彼”の目を覚ますために――きみたちの力をかりたいんだよ」

 黙りこむ一同へ、彼は視線を滑らせながら言葉を続ける。

「たかが生理現状だけど、使い方しだいで、これがなかなか良い気付けにもなるんだ」

「……まあ、なんだろうと、わたしは別にかまわないわ。暇つぶし程度になら付き合ってあげるわよ」

「ありがとう、ロゼリア」

 シルクハットの少年が言うと、ロゼリアは、ふん、と鼻を鳴らし、そっぽを向いてしまう。

「――で、だ。少し早いけど、今日のところは、そろそろようかとおもう。“彼”、ぼくとの勝負の後ということもあって、精神的にそろそろ限界みたいだからね」

「……なら、しかたがない……エレナも恥ずかしいみたいだし……わたしも一緒にしてあげる……」

 そんな提案をするポーラに、エレナが驚いたように視線を向けた。

「……え? いや、そう言ってくれるのは嬉しいんだけど――」

「やれやれ。エレナ、運がいいわね」

 エレナの肩にメリッサが手を置く。

「……え?」

 首をかしげるエレナ。
 疑問の表情を向ける彼女に、メリッサは笑み浮べて言った。

「わたしも――いけるわよ」

「……は?」

 呆然とするエレナに、メリッサは少しショックを受けように彼女から手をはなし、身を仰け反らせる。

「あらあら、人数が多いほうが恥ずかしさが薄れると思ったのに。わたしの助け舟は必要ないって言いたいの? ……薄情ね」

「そっ、そうじゃなくって。なんていうか……」

 エレナは首を横に振り、言葉を続けようとするが、

「そういうことなら、わたしも乗っかろうかしら」

「べランカも?」

「ええ。けど気を使わなくてもいいわ。なんだかまた溜まってきちゃったみたいで、今のうちに、それを全部出し切ってしまいたいだけの」

 驚きの表情を向けるエレナに、べランカは微笑んだ。
 と、そこに

「良かったじゃない、わたしは加わらないけど。これならエレナも、恥ずかしくないんじゃないかしら?」

「…………」

 穏やかな表情を向けるロゼリアを、エレナは呆然と見返す。
 そんな彼女達の会話を聞いて、シルクハットの少年は愉快そうに微笑んだ。

「よかった。みんながいっせいにいけるんなら――ひと思いに終わらせてあげられそうだね」

「……みんな? わたしは加わらないわよ?」

 ロゼリアの視線を受け、シルクハットの少年はやれやれといったふうに答える。

「まあ、そういうことにしておいてあげるよ」

 その言葉に、ロゼリアがむっとするが、そんな彼女の反応をいっさい気に留めることなく、シルクハットの少年は言葉を続けた。

「……それじゃあ、準備ができたらぼくがみっつ数えるから――タイミングを合わせてくれ。エレナも無理せずに、いけそうだったらでいいからね。今回はそれで――幕を閉じることにしよう」
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