愛する旦那様へ、この家を出ていきます。もう二度と会うことはないでしょう。
名家の血を引く娘でありながら、月姫子(つきこ)は顔にある痣のせいで醜女と呼ばれ、結婚できずにいた。お見合いはいつも散々な結果に終わり、その度に継母から「役立たず」だの「穀潰し」だのと罵られ、折檻されてしまう。全てを諦めていた月姫子だったが、「可哀想なお姉様に譲ってあげる。優しい私に感謝してよね」と妹に縁談を押し付けられ、元軍人で暴力的な盲目男の元へ嫁ぐことに。けれど彼は伯爵家当主でありながら優しく、大変な美貌の持ち主だった。ただし「顔も分からない相手を愛することはできない」と言われ、偽装結婚を申し込まれる。なんとしてでも家を出たかった月姫子は、渡りに船とばかりにその条件を受けるのだが……。
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