上 下
15 / 24
魔法のお勉強

考察はお部屋で。

しおりを挟む


(ゲームなのかそうじゃないのか…、基本的な情報は同じなんだけど、細部が違うんだよねぇ)

「どうしたアリア」
「アイクお兄様とラズ殿下が上位属性持ちだったんだけど、何がどう作用したのか考えてた。もしかして上位属性になるような何かがあったのかなぁ?って」
「だろうな、お前達に触発されて魔力循環などの基礎をやっていたし、アリアの特性の菓子を口にしている」
「え?基礎は兎も角、私のお菓子?」

 私の守護聖獣になったギベオンは、人前に出るときは狼の姿で、屋敷に居るとき主に私と二人の時は人型をしている。
 話しやすいというのもあるんだけど、人型で屋敷をウロウロしていたらメイドさんや侍女達が騒ぐのだそう。そしてギベオンを見ようと私の部屋へと用事も無いのに押しかけてくるので、仕事にならないと侍女頭に言われてしまった。
 それ以来、屋敷の中でもうろうろする時は大体狼型だと聞いている。ラーヴァの相手をする時は人型の方がいいみたいだけど(毛を毟られるから)。メイドよりも自分の毛並みを取ったようです。

 確かにイケメンだけども。

 今の私にとったら、闇魔法や魔術の先生でもあるのです。まぁ、屋敷で桃色な空気はラーヴァの教育にもよろしくないですしね。ギベオンもメイドさんや侍女には興味が無いようで、鬱陶しいと狼の姿を貫いています。

(もしかしたら、学園でも狼の姿だったのってその所為?)

 ゲームでのギベオンスチルを思い出すと、ものの見事に狼姿。私はそれでも可愛いので悶えてましたが、確かにもう一人のヒロインの守護聖獣は人型だったもんね。ギベオンだけ狼姿なわけないか。
 というか、話の途中でした。

「どうして私のお菓子が、上位属性の切っ掛けになるの?」
「アレにはお前の魔力が籠められている。我から正しい魔力循環を学び、魔力が巡るだけでなく常に新しいものへと変化しているからな。上質な魔力を与えた事で、他の人間の魔力も変化したようだ」

 なにそれ!?もしかしての転生チートってやつ!?え、こんな所で発揮されてるの?
 ギベオンの言葉にジッと自分の掌を見つめていると、何が可笑しいのかギベオンが笑いながら私を膝に抱きかかえた。子供扱いするなといいたいが、今の私は子供なので『この方が教えやすい』と言われてしまっては文句も言えない。

「…普通の人は、魔力が巡るだけ?」
「術を使えば新しくはなるが、魔力を循環させ質を上げている努力をしている者は少ない。しかも、幼少から其れを出来るものはいないだろう」
「え、でもお菓子から摂取して増えた分の魔力はどこへ?」
「あの二人は純粋に魔力循環の練習をしていたからこその、測定不能だろう。同じように摂取していたもう一人は多少増えていただけだ」
「そういえば、ジャスパー様は変化してなかったわ。魔力量は増えていたけど」

 確かに、私はリモナイト王子と一緒に魔力循環をやり、ギベオンには契約の対価として魔力を渡している。其れを考えれば、魔力の消費量も回復量も全然違うだろう。知らずに質が上がっていたのは良い事なんですよね?

「安心しろ、アリアには風と水と闇の属性が備わっているくらいだ」
「まさかの多重属性!?しかも一つが稀少な上位属性、しかも、二年後の楽しみさらっと言ったな!?」
「魔力量は光の教会の水晶如きでは計り知れない位にはなるだろう、我の加護があるのだからな」

 開いた口が塞がらないとはこの事だった。
 闇の守護聖獣の力正直パネェ。
 膝の上に私を乗せて、手をむにむにと弄ぶギベオンですが、お腹が空いたのか手の甲を舐められた。最初こそ驚いて逃げ出したけど、それも一年経てば慣れたもので…。
 ギベオンは私の身体に触れていれば、額や頬や手から幾らでも魔力を取れるのだとか。中でも一番効率の良い方法もあるのだけど、私には早いからとこうして魔力を取っているらしい。

(少女の身体中にちゅっちゅしてくるイケメンって、なんだか残念じゃないですかね?変態ともいえる)

「じゃあ、私の作るお菓子からでも魔力は取れるってこと?」
「まぁ、そうだな」
「なら、食事を作りますから食べましょうよ」
「我はこの方がいい」
「なんて我が儘!?」
「アリアの魔力は心地良い」

 蕩けそうに嬉しそうな顔をされていても、ギベオンが手にしているのは私の手。八歳の少女の手なのです。前世じゃこれ犯罪ですよ。おまわりさん此処です、コイツです。
 だけどね?こっそりとギベオンの人型を見ようとしている侍女やメイドさんからすれば、こんな事をしていてもカッコイイのだそうですよ。キャーキャー言って、もっと見せて!だのもっと過剰に!だの聞こえてきます。イケメンが美少女に仕えている主従関係がいいそうな。倒錯的ってやつか。

(うん、侍女頭に告げ口しよう)

 お姉さん達目を覚ませ、これはモフモフな狼だ。仕事をして下さい。

「ギベオンが人型で屋敷を動ける日はくるのかな…」
「我はアリアの部屋だけでも構わないが?」
「う、うーーん?」

 なんだろう、ギベオンの言葉が一々甘く感じるのは、私の気のせいなのかな?ん?


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

捨てられ令嬢は屋台を使って町おこしをする。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,818pt お気に入り:616

転生したら捨てられたが、拾われて楽しく生きています。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:11,551pt お気に入り:24,900

転生不憫令嬢は自重しない~愛を知らない令嬢の異世界生活

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,317pt お気に入り:1,870

グラティールの公爵令嬢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14,494pt お気に入り:3,343

おかしくなったのは、彼女が我が家にやってきてからでした。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:11,368pt お気に入り:3,856

【完結】優雅に踊ってくださいまし

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:506

処理中です...