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第一章 ボーイ・ミーツ・ツーディーガールズ
セクハラ、ダメ。ゼッタイ。
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人は皆、何かしら願望を持っている。普遍的なもので言えばお金持ちになりたいとか、モテたいとかそんなものだろう。
これは少し特殊な例だが、美少女になりたいとか思ったことは無いだろうか?
ただ、大抵は願望のままで終わる。叶う方が珍しい。
叶えたとしてもそれで幸せになるとは限らない。そう言うのは奇跡的に美少女になって、無事願いを叶えた俺、神林慎一郎だ。
美少女になってやることといえば、女湯に入ったり、合法的にセクハラしたりと、そんなとこだ。
それが許されるのは、見てくれ以前に女だということ。女が女湯に入るのは当たり前だし、セクハラもスキンシップと捉えられる。女であるゆえに許されるのだ。
ただそいつが美少女の皮を被った男だと知られたらどうなるだろうか?
セクハラなんてした日には無事逮捕され、しばらくは日の光を浴びずに過ごすことになるだろう。
まさに今、俺はそんな危機に直面していた!
「君は本当は男なんじゃないか?」
「……。」
「まあ、分かっているんだけどね。君の事も、君の“野望”の事もね。」
“野望”何て大それた物じゃないが、あえてそこは突っ込まないでおく。
「所でカナ様はこの事を知っているのかい?」
「いや、言ってないし、多分知らないと思う。」
カナは自分で気付くほど察しの良い方ではないし、言ってもすぐには理解できないように思う。
「…やはり君は男なのか。」
くそっ!釜かけやがったこの野郎!!
「まあ、その事はカナ様に言わない方がいいだろう。そしてもう一つ…」
ナオの雰囲気が変わり、思わず息を飲む。
「…エドにはこの事は絶対に話すな。」
その言葉に俺は困惑した。
「エド!?いるのか!?この世界に!!」
「おや?君達は東の国を訪れたと聞いていたが、エドには会わなかったのかい?そうだとしたら君はエドを知らないだろう?だったら正しい反応はエドとは誰だ?となるわけで……」
「いや、それよりちょっと待て、アズはエドの事を知らなかったぞ?それは何でだ?」
「…何だと?それは本当の事なのか?」
「ああ、間違えない」
エドの事をアズに尋ねたとき、エドとは誰だと間違えなく言った。アズはエドの事を知らないはずだ。
「まあ、その話は後で確認するとして、エドの問題は杞憂に終わった訳だ。これでひとまずこの場はお開きと…」
「待ってくれ!アンタ俺が何なのか知ってるならどうやって元の世界に戻るかも知ってるんじゃないか?」
確かにそうだ、俺は外の世界の知識があるため何となくならこの世界の事も分かる、が、この世界は実際のガガガ戦記のゲームとは若干の違いがある。この世界が何なのかもよく分からないがナオはそのすべてを知っているような口ぶりだ。
「待ったが多いな君は。残念ながらそれは知らない。それに私は君の正体を確かめるよう頼まれただけだからね。」
「頼まれたって、誰に?」
「……南の国の代表、ミミ様だ。」
その答えに困惑した。そもそも南の国の代表、ミミとは一切の面識がない為、向こうが俺を知るわけが無いのだ。
もしや俺の悪名が国を越えて広まっているのか?チロならずエロとして…。
「まさかな、一体何で…。」
「それは私にも分からないが、ただミミ様には会わない方がいいだろう。」
「?、何でだ?」
「ミミ様は君を始末するつもりでいる。私も元々、その計画に参加していて君を始末するつもりだったが。」
「どうして、見逃してくれるんだ?」
「見逃すなんて一言もいってないよ?私は。ただ一旦君の命は私が預かると言ったところだ。今はまだ君の事を良い友人だと思っているしね。」
“今はまだ”という部分を強調して言うナオに次は無いと言われてる気がして俺は己の行いを省みる。
「今日の所はこれで終わるが、君が動き出したら容赦はしないからね。首を洗って待ってるといい。」
そう言うと、ナオは部屋を後にした。
俺は思った。自らの行いを省みて。
セクハラ、ダメ。ゼッタイ。
※
私、アズは死を覚悟しました。
目の前には大剣を持った、全身鎧の大男。いや、中の人は女性のようです。
その方が持ってる大剣を私の首に伸ばして……。ああ、これは死にますね。短い人生でしたが楽しかったです。今までありがとうございました。
「私を貴方の側近にしていただきたい。」
「はえ?」
思わず変な声が出てしまいましたが、鎧さんはそんなことを私に言いました。どうやら私を殺す気はないどころか、仲間になってくれるようです。
「所でこれは?」
私は鎧さんに質問します。何故に私の首を狩ろうとしているのでしょう?冷や汗が止まりません。
「?これは貴方に忠誠を誓うという騎士の儀式だが。」
「それ逆ですよ。」
本当は主人が従者の首に剣を置き、貴方の命は私の物ですよ~みたいな感じだったと記憶しています。
「!?、すまなかった!本当に申し訳ない。」
そう言ってあわてて剣を戻す鎧さん。間違えても私の首切らないで下さいね?
「そういえば、貴方の名前は?」
いつまでも鎧さんでは締まらないし、今では主従の関係ですし、名前を知っておくことは大事だと思います。
「!?、これまた失敬しました!申し訳ございません。」
またも慌てふためく鎧さん、天然さんだなあ、何て人の事言えないですけど。
「私はエドと言うものだ。よろしく頼む。」
エド?どこかで聞いたことがあるような、うーん思い出せない。まあ、いいか。
「こちらこそ、よろしくお願いします。エドさん。」
世界対戦を前にしてこれで不安が無くなりました。
これは少し特殊な例だが、美少女になりたいとか思ったことは無いだろうか?
ただ、大抵は願望のままで終わる。叶う方が珍しい。
叶えたとしてもそれで幸せになるとは限らない。そう言うのは奇跡的に美少女になって、無事願いを叶えた俺、神林慎一郎だ。
美少女になってやることといえば、女湯に入ったり、合法的にセクハラしたりと、そんなとこだ。
それが許されるのは、見てくれ以前に女だということ。女が女湯に入るのは当たり前だし、セクハラもスキンシップと捉えられる。女であるゆえに許されるのだ。
ただそいつが美少女の皮を被った男だと知られたらどうなるだろうか?
セクハラなんてした日には無事逮捕され、しばらくは日の光を浴びずに過ごすことになるだろう。
まさに今、俺はそんな危機に直面していた!
「君は本当は男なんじゃないか?」
「……。」
「まあ、分かっているんだけどね。君の事も、君の“野望”の事もね。」
“野望”何て大それた物じゃないが、あえてそこは突っ込まないでおく。
「所でカナ様はこの事を知っているのかい?」
「いや、言ってないし、多分知らないと思う。」
カナは自分で気付くほど察しの良い方ではないし、言ってもすぐには理解できないように思う。
「…やはり君は男なのか。」
くそっ!釜かけやがったこの野郎!!
「まあ、その事はカナ様に言わない方がいいだろう。そしてもう一つ…」
ナオの雰囲気が変わり、思わず息を飲む。
「…エドにはこの事は絶対に話すな。」
その言葉に俺は困惑した。
「エド!?いるのか!?この世界に!!」
「おや?君達は東の国を訪れたと聞いていたが、エドには会わなかったのかい?そうだとしたら君はエドを知らないだろう?だったら正しい反応はエドとは誰だ?となるわけで……」
「いや、それよりちょっと待て、アズはエドの事を知らなかったぞ?それは何でだ?」
「…何だと?それは本当の事なのか?」
「ああ、間違えない」
エドの事をアズに尋ねたとき、エドとは誰だと間違えなく言った。アズはエドの事を知らないはずだ。
「まあ、その話は後で確認するとして、エドの問題は杞憂に終わった訳だ。これでひとまずこの場はお開きと…」
「待ってくれ!アンタ俺が何なのか知ってるならどうやって元の世界に戻るかも知ってるんじゃないか?」
確かにそうだ、俺は外の世界の知識があるため何となくならこの世界の事も分かる、が、この世界は実際のガガガ戦記のゲームとは若干の違いがある。この世界が何なのかもよく分からないがナオはそのすべてを知っているような口ぶりだ。
「待ったが多いな君は。残念ながらそれは知らない。それに私は君の正体を確かめるよう頼まれただけだからね。」
「頼まれたって、誰に?」
「……南の国の代表、ミミ様だ。」
その答えに困惑した。そもそも南の国の代表、ミミとは一切の面識がない為、向こうが俺を知るわけが無いのだ。
もしや俺の悪名が国を越えて広まっているのか?チロならずエロとして…。
「まさかな、一体何で…。」
「それは私にも分からないが、ただミミ様には会わない方がいいだろう。」
「?、何でだ?」
「ミミ様は君を始末するつもりでいる。私も元々、その計画に参加していて君を始末するつもりだったが。」
「どうして、見逃してくれるんだ?」
「見逃すなんて一言もいってないよ?私は。ただ一旦君の命は私が預かると言ったところだ。今はまだ君の事を良い友人だと思っているしね。」
“今はまだ”という部分を強調して言うナオに次は無いと言われてる気がして俺は己の行いを省みる。
「今日の所はこれで終わるが、君が動き出したら容赦はしないからね。首を洗って待ってるといい。」
そう言うと、ナオは部屋を後にした。
俺は思った。自らの行いを省みて。
セクハラ、ダメ。ゼッタイ。
※
私、アズは死を覚悟しました。
目の前には大剣を持った、全身鎧の大男。いや、中の人は女性のようです。
その方が持ってる大剣を私の首に伸ばして……。ああ、これは死にますね。短い人生でしたが楽しかったです。今までありがとうございました。
「私を貴方の側近にしていただきたい。」
「はえ?」
思わず変な声が出てしまいましたが、鎧さんはそんなことを私に言いました。どうやら私を殺す気はないどころか、仲間になってくれるようです。
「所でこれは?」
私は鎧さんに質問します。何故に私の首を狩ろうとしているのでしょう?冷や汗が止まりません。
「?これは貴方に忠誠を誓うという騎士の儀式だが。」
「それ逆ですよ。」
本当は主人が従者の首に剣を置き、貴方の命は私の物ですよ~みたいな感じだったと記憶しています。
「!?、すまなかった!本当に申し訳ない。」
そう言ってあわてて剣を戻す鎧さん。間違えても私の首切らないで下さいね?
「そういえば、貴方の名前は?」
いつまでも鎧さんでは締まらないし、今では主従の関係ですし、名前を知っておくことは大事だと思います。
「!?、これまた失敬しました!申し訳ございません。」
またも慌てふためく鎧さん、天然さんだなあ、何て人の事言えないですけど。
「私はエドと言うものだ。よろしく頼む。」
エド?どこかで聞いたことがあるような、うーん思い出せない。まあ、いいか。
「こちらこそ、よろしくお願いします。エドさん。」
世界対戦を前にしてこれで不安が無くなりました。
応援ありがとうございます!
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