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第二章 メモリー&レイルート
人外と、超能力者と、関西人。
しおりを挟むどうも、おはようございます。アズです。
何かとても楽しい夢を見ていた気がするのですが、思い出せません。
つい先程にニシさんに叩き起こされ、事情は後で説明するから早く来い。と強引に連れていかれ今に至ります。
重い瞼を擦りながら、ニシさんに問いかけます。
「あの、これから何処へ行くのですか?」
「ああ、そうやった。…ヤバイ怪人が現れたんや。ウチらだけじゃ敵いそうに無い。ウチらくらいの奴が後5人は必要や。」
とてつもなく強い怪人の襲来。自分達では全く敵わない程の。
それが今現在、この城に居て、私達もいつ襲われるか分からない状況だと。
「つまり、避難、ですか。」
「そや、だから急いで…。」
「その必要は無い。」
と、割り込んでくる声。その声の主は…。
「アズ様、ニシ様。私、エド、怪人を討伐して参りました。」
そう言うエドの手には、巨大なオークの首が握られている。
「な、なんや…。自分、それを一人で…。」
「はい、この馬鹿力だけが私の取り柄なので。」
ニシは大きく溜め息をつく。
これ程の圧倒的な強さは見たこと無い。他の国の代表者、最強と言われるミミや、その次点のユキ等とも、一切比べ物にならない。それほどだ、彼女の強さは。
「この先の世界大会、アンタ一人でどうにかなりそうやな。」
「……それはどういう意味でしょうか?」
「ん?そのまんまや。アンタ一人で東の国を優勝に導けるっちゅーことや。」
「そうですか…。」
そんな言葉に私、アズは釈然としません。
「……一応、代表は私なのですが。」
「それは分かっています、アズ様。私は少しでもアズ様のお力になれるように頑張ります。」
「ふふ、ありがとうございます。本当に貴女がいれば百人力ですよ。」
「単純やなぁ。」
エドのお陰で、怪人の襲来という危機は正に一瞬で過ぎ去った。だがニシには思うところがあった。
巨大オークが現れた場所、その場所はまさしく非常階段のある場所であった。そしてそこから正門までの距離は遠い。
あの怪人は全てを計算してあの場所に現れたのだろうか?
「ニシ様、少し話がしたいのですが。」
「奇遇やな。ウチもそう思ってた所や。」
そう言い、ニシとエドはこの場を後にしようとする。と、そこでエドが何か思い出したように。
「それと、ナオさんを呼んできてもらえますか?彼女にも話すことがあるので。」
「ナオ?ああ、分かったわ。」
ニシはナオを呼びに行く。ナオは二つ返事で承諾し、そして三人揃って別室に迎い、会議室にたどり着く。会議室の机を挟んでエドとニシ達はお互い向き合い座る。そこでエドが開口一番…。
「これに、見覚えはありますか?」
そう言って、懐から取り出したのは盗聴機だった。それを見てナオはあちゃー、というように頭を押さえる。ニシもポーカーフェイスを装っているが、体中から冷や汗が流れ出ている。
「その反応はやはり、これは貴女方の物ですか?」
ナオがニシの方をじっと見つめる。正に貴女が説明してくださいと言わんばかりに。それにニシは観念して話始める。
「そや、これはウチ等のや。アイツと、…七海と自分の会話も聞いとったし、世界大会の事も聞いた。正直全部聞いた。」
ニシは包み隠さず、全てをエドに告げる。するとエドは…。
「そうですか、まあこれは私の不手際でもあるので特に罰することはしません。」
ニシがほっとした表情を見せるが、エドはさらにそれに被せるように……、
「ですが貴女達は全てを知ってしまった以上、私達の作戦に加担してもらいます。それについては他言無用です。……よろしいですか。」
「…それについて拒否権は?」
「ありません。」
「まあ、せやろな……。」
ニシの表情が一転、一気に青ざめていく。強引に参加を表明させられた二人はガックリと肩を落とす。
「ですが私達としても貴女達が加わってくれるのは非常に心強い。ナオさん貴女は南の国と裏で繋がっているとか?」
そんなエドの問いかけにナオはピクリと肩を震わす。
「それ、ニシ様に言ってないから、言わないでほしかったんだけどね。」
ニシが焦がすほどの視線でナオを睨みつけている。ナオは罰が悪そうな視線を返して、
「すみません、ニシ様。ですが協定を結んでいる等のことではなく、ミミ様とはある共通点があってそれで仲良くさせてもらっているだけです。」
「共通点?なんやそれは?」
ニシがすっとんきょうな声でそうナオに問う。そして……。
「超能力ですよ。……ちょっとした。」
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