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248、心臓が壊れちゃうから 奏side

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っ…

ゆっくり振り向くと斗真さんと目が合って思わず目線を逸らしてしまった…

どうしよう…
目が合っただけなのにまた心臓がドキドキしてきた…
どうしたら治るの?
頭の中はどんどん斗真さんのことでいっぱいになっていく…

どうしよう…どうしよう…

「胸苦しいの?」

「ぇ…?」

「胸押さえてどうした?苦しい?それとも痛い?」

無意識に握りしめていた胸元から手を離した。

「しんどい?」

「違うっ…」
ベッドを降りて近付いてくる斗真さんから離れたくて床を蹴って距離をとる。
これ以上近づいたら本当に心臓が壊れちゃう…

「どうした?怖くないよ?おいで、」

フルフル
「っ…違う……違う…はぁ…はぁ…はぁはぁ…」

どうしたらいいか分からなくなって頭が真っ白になっていく。

「大丈夫、落ち着いて、ゆっくりでいいよ。ゆっくーり深呼吸しよう。」

「はぁ…はぁはぁはぁはぁはぁ」

「ゆっくーり吐いてー、」

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ、」

「大丈夫、大丈夫、ゆっくりでいいよ。」

「はぁはぁはぁっ…っ……はぁ、っ…っ」

荒い呼吸を繰り返し、次第に思い通りに吸うこともできなくなって恐怖が襲ってきた。

「大丈夫、大丈夫、ゆっくりでいいよ、ゆっくり、ゆっくり、」

「っゃ…っ…ゃ……」

無理やり体を抱きしめられて離れようとしても捕まえられて動けない。

「大丈夫、大丈夫だよ。」

体に力が入ったまま、息を吸うことも吐くこともできなくて手足が痺れてきた。

「大丈夫、大丈夫、絶対治るからね。大丈夫、大丈夫、」



ゆっくり背中をさすってもらって少しずつ吸えるようになってきた。

「っ…はぁっ…はぁ…はぁはぁっ…はぁはぁ…」


斗真さんの匂い…

さっきまで苦しかったのが嘘みたい。
斗真さんの匂いを嗅いだ途端呼吸が楽になっていく。


「はぁ…はぁ……」

「落ち着いたね。良かった、」

優しく包み込んでもらって何故かチクリと胸が痛くなった。

「ごめんなさい…」

「大丈夫だよ。」

フルフル
斗真さんに迷惑かけた…

「大丈夫、大丈夫、苦しかったね。」

フルフル
僕…僕…
斗真さんから勝手に逃げて…しかも苦しくなって斗真さんに迷惑かけて…

「もー、また自分のこと責めてるでしょー、」

ぇ…
言ってないのに…

「おっ、図星かー、顔見てたら分かるよ。奏くんは何も悪くない、大丈夫。」

フルフル

「うーん、じゃあ何が悪かった?」

「…迷惑……斗真さんに迷惑かけた…」

「迷惑なんて思ってないよ。大丈夫、苦しくなって怖かったでしょ。頑張ったね。」

斗真さんの大きな手で頭を優しく撫でられ、ぽろっと大粒の涙が零れた。
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