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288、ここは斗真さんのお家 奏side

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見渡すとそこには入ってきたドアと長い廊下、あと3つドアがある。
あっちには何があるんだろう…
怖いけど気になる。

来た時より視界が広くなった気がする。
頭の中が重たかった感覚もなくなった。


斗真さんのお家…
玄関にある靴は僕のと斗真さんのだけ、
音もしない。
僕たち以外の人の気配もしない。

クイクイ
「…っ…、…っ…あっち…あっち行きたい…ぁ…出た」

「声出たね。良かったぁ、あっち行きたいの?行こうか、」

…コクリ
自分から行きたいと言ったのに怖くて身を寄せると抱っこしてくれた。
斗真さんに抱っこしてもらってると守られてるみたいで安心する。

斗真さんの首に右腕を回して顔だけ前を見る。
ドアが開くのをじっと見つめる。
入るとキッチンと広い部屋があった。

「換気したいから窓開けてもいい?」

…コクリ

「ごめんね、数日帰ってないから埃っぽいかな?大丈夫?」

フルフル

ちゃんと整理整頓されていて綺麗なお部屋、

斗真さんに抱っこされたまま窓を開けに行く。
「…広い…」

「ん?ベランダ?広いか?」

コクリ

思わず声に出ていた。
ベランダが長くてびっくりした。

「隣の部屋も行ってみる?」

…コクリ

リビングの隣にもお部屋があるんだ、


…ベッド…
斗真さんはここで寝てるんだ、
パソコンの机もある。
ここでお仕事もしてるのかな?

ベッドのお部屋は必要以上に色んなところを見てしまう。
ここで何されるんだろう。
色んなことを考えてまた頭が重たくなる。

「好きなとこ見てもいいよ。クローゼットとか見る?」

っ…

僕をおろして、クローゼットを開けてくれた。

服が沢山かかってあった。
そこに縛る紐や痛いおもちゃは見当たらなかった。

ベッド横の小さな棚の引き出しの中も見せてもらったけどお客さんの家にあったようなものは無くて少し安心した。

「怖いものは何も無いよ。これからはここは奏くんのお家でもあるから好きに開けて見ていいからね。」

僕の…お家??
僕のお家…僕のお家は……

ここじゃない…

「そんな急に言われても難しいよね。ごめんね。」

斗真さんは優しい顔をしながら抱きしめてくれた。けど、その奥に寂しい気持ちが見えた。
どうして寂しそうなんだろう。でも分からなくて僕も斗真さんと同じように手を背中に回して背中を撫でた。
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