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353、息の音 奏side

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斗真さんはまだ寝てるけど僕だけ目が覚めてしまった。
しんどいわけじゃないけどなんとなく体が重たい。
どうしてだろう…さっきまでどうもなかったのにな…

いつもより息の音が大き息がする。
静かにしなきゃ斗真さんが起きちゃう…

「っ………ふぅー…っ…」

口元に手を当ててできるだけ音を小さくする。
小さくしてるつもりなのにどんどん大きく聞こえる。
息ってどうやってしてたっけ…考えれば考えるほど分からなくなってきて苦しさだけが増していく。

「っ…はっ…はっはっはっ…っ…っっは…」

「奏くん?どうした?」

起こしちゃった…どうしよう…どうしよう…静かにしなきゃ…でも…でも苦しくてどうしたらいいか分からないっ

「おいで、ゆっくーり、ゆっくり息したらいいからね。大丈夫、大丈夫、」

ゆっくり背中を撫でられ、それに合わせて息をする。
少しずつ深く息を吸うことができるようになって苦しさがなくなっていく。

「落ち着いた?、どうした?怖い夢でも見た?」

フルフル

「違うの?」

「……息が……煩かったから……静かにしようとして……そしたら苦しくなって…」

「息が煩かったの?苦しかったから大きく息してたんじゃなくて?静かにしようとしたら苦しくなったの?」

「静かにしようとしたら苦しくなったの……ごめんなさい…」

「謝らなくていいよ。何も悪いことしてない時は謝らなくていいんだよ。」

「……起こしちゃったから……煩くしたら起こしちゃうと思って静かにしてたのに……起こしちゃった…ごめんなさい…」

「あぁ、俺のために静かにしようとしてくれてたんだ。ありがと。
でも、息が煩いなんて思わないよ。それより苦しくなった方が俺は心配だな。」

「…心配?…怒ってない?」

「怒ってないよ。だから息が煩いなんて思わなくていいからね。」

「…ありがとう…」

「うん、体の調子はどう?あんまり眠れなかったかな、もう一度熱測ろうか。」

「…熱ない……」

「熱あっても怒らないよ。」

フルフル
「…熱ない…熱測らない…」

「測りたくない?」

「……熱ない…」

ホントに熱はないと思う…けど、もしあったら…慣れない場所で熱があるってなったらどうなるんだろう。
不安で熱を測りたくなかった。

「熱ないかぁ、分かった。じゃあ首だけ触らせてね。」

っ!!

「うーん、もう少し横になってようか。」

「…熱ない…熱ない…」

「分かった、分かってるよ。俺もちょっと疲れたから一緒にゴロゴロしよ。」

「疲れてるの?」

「うん、疲れてるよ。一緒にいてくれる?」

コクリ
「分かった。」

斗真さんの腕に頭を置き横向きでお腹を引っ付けたまま体の力を抜いた。
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