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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる
37.ルカの告白
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レニーの仕事を終え、シロが帰ろうと病院の外に出ると後ろから声を掛けられた。
「よう。…仕事終わったのか?」
「ルカ!こんな所でどうしたの?」
いつも元気なルカの表情は、少し緊張しているように強張っていて、気まずそうにシロの方をチラチラと見ている。明らかにいつもと様子が違う。
「シロと話したくて待ってたんだ。…少しいいか?」
「うん、もちろん」
2人は行きつけのカフェに入った。
この5年間、シロ、ルカ、アリスは相変わらず仲良しで、このカフェにはよく3人で訪れてた。
学園祭や収穫祭の準備で話し合いに使ったり、テストが終わった日には、甘いスイーツを食べに来るコースが定番だった。
そういえば、シロとルカが大人ぶって苦いブラックコーヒーを無理して「美味しい」と言って飲んだ時は、アリスに笑われたっけ。
出会った頃、ルカはシロよりも身長が高かったが、今はシロの方が高くなった。人間のルカと竜人のシロじゃそもそも体の造りが違うから当たり前のことなのに、ルカが「俺も竜人か魔族に生まれたかった」と拗ねてしまってアリスと一緒に慰めた事もあった。
今では美味しいと思うようになったブラックコーヒーを飲みながら、シロはその時のことを思い出し、ふっと笑みが溢れた。
「なに?思い出し笑い?」
そんなシロの様子に気付いたルカは、面白そうに聞いてきた。
「へへっ。昔、ルカと無理してブラックコーヒー飲んだなぁ、と思って。アリスにすごい笑われたよね」
「あー、あははっ!あったな。無駄にカッコつけたい時期だったよな、俺たち。甘いスイーツももう食べないとか言ってさ。結局、帰りにすげぇ甘いアイス買って食ったよな」
緊張気味だったルカの表情が緩み、いつものように明るく笑った。
(良かった。いつものルカだ)
シロは少し安心したが、わざわざ訪ねてきたルカの話をちゃんと聞きたくて、ルカの顔を見た。
「で、話って?何かあったの?」
「あー…、まあ、うん。何かあったとかじゃないんだけどさ…。うーん…」
ルカの表情はまた強張り、頭や鼻を掻いて落ち着かない様子だ。言葉に詰まってなかなか話し出さないルカを、シロは急かさずに待った。
親友のルカが悩んでいるなら力になりたいと思った。
ルカはコーヒーを飲んで、両手で自分の顔を隠した。なぜかルカは耳まで真っ赤になっている。
「いやー…、あのさ。…シロにはちゃんと伝えとこうというか、知っててもらいたいって思ってたんだけど…」
ルカは指の間からシロを見た。
「うん」
「俺さ…」
「うん」
「アリスの事が…好きなんだ」
「うん」
シロが普通に返事をすると、ルカは両手を外し目を見開いた。
「え?」
「うん?」
「いや、だから俺、アリスが好きなんだよ。その恋愛的な意味で。友達じゃなくてさ」
「うん。知ってるよ」
「え?えっ!?うそだろっ!?なんで!?」
「なんでって…。昔からルカはアリスの事好きだったじゃん。ルカ、基本的に誰にでも優しいけど、アリスには特別優しいし、すぐに守ってあげようとするし。好きなんだなぁ、って見てて分かったよ」
あまりに今更すぎる話だったのでシロは淡々と答えた。
「うっわー…まじかよ。じゃあ俺の気持ちバレバレだったって事?すげぇ恥ずかしいんだけど…」
ルカは頭を抱えて、テーブルに突っ伏した。
「え、全然恥ずかしくないよ。すごくアリスの事が大事なんだろうなぁと思ったし、見てて初々しいっていうか、俺の心まで洗われるっていうか、ほっこりするっていうか…」
「わーっ!ストップ!もういい!やめてくれ!あー…そっか俺、そんなに分かりやすかったんだ」
「俺はルカのそういう真っ直ぐで純粋な性格好きだよ」
シロはニコニコしながら答えた。
「純粋はシロの方だよ。はあ、そっか。バレてたんだ。…もしかしてアリスも気付いてるかな?」
「たぶんね。俺がルーフのこと好きなのも言い当てたぐらいだし」
「いや、お前は分かりやすかったぜ。って、もう俺もシロの事言えないよな」
「あはは、そうだね」
2人は照れながら笑い合った。
しばらく笑った後、ルカはため息をついて話し始めた。
「俺、シロと親友になれて本当に良かったよ。お前と出会う前は、竜人なんて生まれた時からスペック高くて人生イージーモードじゃん、人間の俺はどんなに努力したって無駄なんだ、って思って諦めてた。
でも勉強も魔法も、日々の生活さえ努力してるシロ見てたらさ、種族を言い訳にして腐ったらダメだろって、俺だって頑張んなきゃって思えたんだ。
シロは知らないだろうけど、俺、お前と友達になる前は成績すごく悪かったんだ。でもさ、お前の影響でめちゃめちゃ勉強頑張ってたんだ。おかげで今じゃそこそこ良い成績なんだぜ」
ルカはニカッと笑った。
ルカの成績が良いのは知っていたが、まさかシロの影響で勉強してた事には気付かなかった。
「よう。…仕事終わったのか?」
「ルカ!こんな所でどうしたの?」
いつも元気なルカの表情は、少し緊張しているように強張っていて、気まずそうにシロの方をチラチラと見ている。明らかにいつもと様子が違う。
「シロと話したくて待ってたんだ。…少しいいか?」
「うん、もちろん」
2人は行きつけのカフェに入った。
この5年間、シロ、ルカ、アリスは相変わらず仲良しで、このカフェにはよく3人で訪れてた。
学園祭や収穫祭の準備で話し合いに使ったり、テストが終わった日には、甘いスイーツを食べに来るコースが定番だった。
そういえば、シロとルカが大人ぶって苦いブラックコーヒーを無理して「美味しい」と言って飲んだ時は、アリスに笑われたっけ。
出会った頃、ルカはシロよりも身長が高かったが、今はシロの方が高くなった。人間のルカと竜人のシロじゃそもそも体の造りが違うから当たり前のことなのに、ルカが「俺も竜人か魔族に生まれたかった」と拗ねてしまってアリスと一緒に慰めた事もあった。
今では美味しいと思うようになったブラックコーヒーを飲みながら、シロはその時のことを思い出し、ふっと笑みが溢れた。
「なに?思い出し笑い?」
そんなシロの様子に気付いたルカは、面白そうに聞いてきた。
「へへっ。昔、ルカと無理してブラックコーヒー飲んだなぁ、と思って。アリスにすごい笑われたよね」
「あー、あははっ!あったな。無駄にカッコつけたい時期だったよな、俺たち。甘いスイーツももう食べないとか言ってさ。結局、帰りにすげぇ甘いアイス買って食ったよな」
緊張気味だったルカの表情が緩み、いつものように明るく笑った。
(良かった。いつものルカだ)
シロは少し安心したが、わざわざ訪ねてきたルカの話をちゃんと聞きたくて、ルカの顔を見た。
「で、話って?何かあったの?」
「あー…、まあ、うん。何かあったとかじゃないんだけどさ…。うーん…」
ルカの表情はまた強張り、頭や鼻を掻いて落ち着かない様子だ。言葉に詰まってなかなか話し出さないルカを、シロは急かさずに待った。
親友のルカが悩んでいるなら力になりたいと思った。
ルカはコーヒーを飲んで、両手で自分の顔を隠した。なぜかルカは耳まで真っ赤になっている。
「いやー…、あのさ。…シロにはちゃんと伝えとこうというか、知っててもらいたいって思ってたんだけど…」
ルカは指の間からシロを見た。
「うん」
「俺さ…」
「うん」
「アリスの事が…好きなんだ」
「うん」
シロが普通に返事をすると、ルカは両手を外し目を見開いた。
「え?」
「うん?」
「いや、だから俺、アリスが好きなんだよ。その恋愛的な意味で。友達じゃなくてさ」
「うん。知ってるよ」
「え?えっ!?うそだろっ!?なんで!?」
「なんでって…。昔からルカはアリスの事好きだったじゃん。ルカ、基本的に誰にでも優しいけど、アリスには特別優しいし、すぐに守ってあげようとするし。好きなんだなぁ、って見てて分かったよ」
あまりに今更すぎる話だったのでシロは淡々と答えた。
「うっわー…まじかよ。じゃあ俺の気持ちバレバレだったって事?すげぇ恥ずかしいんだけど…」
ルカは頭を抱えて、テーブルに突っ伏した。
「え、全然恥ずかしくないよ。すごくアリスの事が大事なんだろうなぁと思ったし、見てて初々しいっていうか、俺の心まで洗われるっていうか、ほっこりするっていうか…」
「わーっ!ストップ!もういい!やめてくれ!あー…そっか俺、そんなに分かりやすかったんだ」
「俺はルカのそういう真っ直ぐで純粋な性格好きだよ」
シロはニコニコしながら答えた。
「純粋はシロの方だよ。はあ、そっか。バレてたんだ。…もしかしてアリスも気付いてるかな?」
「たぶんね。俺がルーフのこと好きなのも言い当てたぐらいだし」
「いや、お前は分かりやすかったぜ。って、もう俺もシロの事言えないよな」
「あはは、そうだね」
2人は照れながら笑い合った。
しばらく笑った後、ルカはため息をついて話し始めた。
「俺、シロと親友になれて本当に良かったよ。お前と出会う前は、竜人なんて生まれた時からスペック高くて人生イージーモードじゃん、人間の俺はどんなに努力したって無駄なんだ、って思って諦めてた。
でも勉強も魔法も、日々の生活さえ努力してるシロ見てたらさ、種族を言い訳にして腐ったらダメだろって、俺だって頑張んなきゃって思えたんだ。
シロは知らないだろうけど、俺、お前と友達になる前は成績すごく悪かったんだ。でもさ、お前の影響でめちゃめちゃ勉強頑張ってたんだ。おかげで今じゃそこそこ良い成績なんだぜ」
ルカはニカッと笑った。
ルカの成績が良いのは知っていたが、まさかシロの影響で勉強してた事には気付かなかった。
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