日は沈まず

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強襲

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空母 赤城

我々は順調に大洋を進む。

間もなく攻撃開始位置に到着する。

「間もなく攻撃開始か。」

「そうですね。」

艦内では攻撃隊の壮行会が行われている。

少し顔を出してみると酒の匂いが出ていた。

大量の戦いを経て士気が多少下がっていないか心配であったが、幸い士気は高そうだ
った。

彼らの中には二度と艦に戻ってこない者がいることを察している。

そんな中でも盛り上がっていた。

今ではそんな雰囲気は消え失せ、緊張感ある雰囲気が漂っている。

あと1時間で攻撃が開始される。

きっと敵に打撃を与えられるだろう。

走ってくる者がいる。

「何だ!どうした?」

「電探に感あり!!敵編隊です!!」

「は!?直ぐに蒼龍と龍驤の迎撃隊を発艦させろ!」

連絡担当に命令する。

「は!」

攻撃隊の発艦時刻を遅らせなければいけないか。

敵編隊は二段構えとなっている。

つまり一編隊は戦闘機隊である可能性がある。

そんなところに攻撃隊を突っ込ませる訳にはいかないだろう。

かなり先で探知出来た為多少は余裕がある。

それが不幸中の幸いである。

数分後には零戦が発艦する。

きっと我々に向かってくる物を一つ残らず墜とすだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回は出番なしかと思っていた我々に突然出撃命令が出て驚いたものだ。

敵編隊が接近しているという。

エンジンをかける。

機体が飛行甲板を進んでいく。

そして、飛行甲板を蹴って発艦する。

みるみるうちに母艦が離れていく。

「向かってくる敵機を全て撃ち落としてくれる!」

見敵必殺で墜とす。

それだけだ。

母艦には手出しさせない。

間もなく接敵するだろう。

時間的な余裕があるわけじゃない。

ここで食い止めなければいけないのだ。

点が見えてくる。

恐らく敵機だ。

細々と沢山ある。

これらと戦うのだ。

落下式増槽を切り離し、高度を取る。

恐らく敵も我々に気づき、上昇を始めるだろう。

その数分後闘いが始まるだろう。

上はどちらがとれるだろうか。

上を取られれば、かなり厳しい。

まあ、そうなった場合は格闘戦に持ち込めばいいだけだ。

しかし、上を取れるに越したことはない。

上を取れれば一撃離脱で攻撃するだけだ。

しかし、上を取ったのは敵機だった。

「糞!」

ペロ8だ。

ただしペロっと食うことは出来ない。

我々に急降下してくる。

双胴戦闘機の為運動性は低いだろう。

我々も降下し、速度を上げる。

近くまで2機の敵機が迫ってくる。

機体を切り返す。

格闘戦に誘う機動である。

それに気づかず、2機とも乗ってきた。

「ふん、馬鹿が。」

双胴戦闘機で格闘戦に勝てる訳がない。

お互いに機動で速度が落ちている。

そして、隙をついて後ろにつく。

「貰った!!」

発射レバーを引く。

弾が左のペロ8を襲う。

胴体の中央部に命中する。

燃料が噴き出している。

同じ方向に進み続けている。

恐らく油圧系統を失い、操縦不可能になっただろう。

「もう一機の機体は?」

[おい、2時方向上空に敵機だ!!]

「何!?」

敵機が上に見える。

急いで回避機動をとる。

「あぶねぇ・・・」

もう少し味方が気づくのが遅れたら墜とされるところであった。

敵機が近くを通り過ぎる。

そしてそれを味方機が追う。

そして敵機が墜落する。

周りでは味方機と敵機が両方墜落している。

「もう少しで自分もあの仲間入りだったか・・・」

奴らもかなり厄介になっている。

高度有利から一撃離脱してくるのだ。

上からの為気づきにくいのだ。

それでお互いに警戒しているのだが、全員戦闘中の時に襲ってくるとどうしようもな
い。

その為かなり厄介である。

相手を確実に撃墜出来ているが我々にも恐らくかなりの被害が出ているだろう。

墜ちている機は明らかに敵機の方が多いが、味方機の撃墜も無い訳ではない。

「おい!2時方向上空に敵機だ!」

そして味方の救援に向かい、戦闘が始まるのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

敵艦隊はすぐ近くだろう。

奴らは陸上からの攻撃で英海軍の新鋭戦艦を沈めている。

同じことをするだけだ。

それぞれの機体は魚雷を積んでいる。

この魚雷によって敵艦を沈める。

[1時の方向に敵機!]

無線で連絡が来る。

銃座が炎を吐き始める。

少し後ろで砲弾が炸裂する。

幸い搭乗員が乗っている部分ではない。

「あぶねぇなぁ。」

もはや戦闘機隊は半壊状態という情報が入っている。

ただし、敵戦闘機もかなりの数を墜としているようだが。

もはや自分の身は自分で守るしかない。

銃座はずっと撃ち続けている。

そのおかげか、寄ってくる敵機はそれほど多く無い。

横では味方機が次々と撃ち落とされている。

しかし、そんなことを気にしている暇はない。

「敵艦隊だ!」

もう少しの辛抱である。

もはや生還することが出来るとは思えない。

一矢だけでも報いたい。

銃座は何とかハエを追い払い続けている。

投下体制に入る。

高度を下げ、対空砲火に機体を焼かれそうになる

隣を飛んでいる味方は100機いたのが10機も飛んでいない。

もはや限界である。

煙の臭いが機内に充満している。

魚雷を落とす。

機体が魚雷を投下した反動で浮き上がる。

しかし、すぐに機体は下を向く。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

空母 蒼龍

「ぐぁぁぁ!?」

激しい揺れに襲われ、頭を壁にぶつける。

「うぐ・・・糞!どうなった!」

搭乗員が慌てて動き始める。

「直ぐに被害を確認しろ!」

痛みを堪えながら命令する。

恐らく被雷したのだろう。

勿論回避を試みたが、あの角度と距離では回避することが出来なかった。

どうやら機関部は無事だが浸水が発生したとのことだった。

今皆が応急処置を行っている。

艦が沈むことだけはあってはならない。

幸い我々以外に攻撃を食らった艦は無いようである。

我々はこのまま戦線を離脱するしかないだろう。

幸い機関部は無事。

護衛の駆逐艦を付けて帰投しろ。

それが旗艦からの命令だった。

実際その通りにするしかないだろう。

今も搭乗員の報告を聞き、それに対応するように命令を出す。

色々な部分が破壊された。

この艦に暫く乗ることは出来ないだろう。

「畜生・・・」

無意識にその言葉を零してしまうのだった。
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