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「信じらんね……お前……」

 全てを飲み干した弟の口からようやく解放され、俺は手の甲で額をおさえて肩で息をする。

 弟にイカされた敗北感と、弟に奉仕させて口内射精してしまった罪悪感。

 二つないまぜの心地で弟を見上げる。

 弟は、口の端から垂れる白いものをぬぐいながら、いたずらが成功したみたいな顔で、

「えへへ、兄貴の飲んじゃった」

 にこっと笑う。

「ふざ……」

 ふざけるな、と罵倒しようとした俺は、弟の目を見てはっと口をつぐむ。

 お前なに、幸せそうに目を潤ませてるんだ。
 なんでそんな、嬉し泣きみたいな顔してるんだ。

 やっぱりアホだ、こいつはアホだ。

 そんなアホ顔されたら、俺の敗北感も罪悪感も、行きどころがないじゃないか。

 俺の長年のコンプレックスが、いつも行きどころがなかったように。

 陽翔はると
 何もかも、俺を追い越して行くハイスペック弟。

 越されるたびに、俺は傷ついてきた。
 俺の方が先に入ったはずのサッカークラブチームなのに、コーチ達はいつの間にか俺のことを「陽翔の兄」と呼ぶようになっていた。
 俺にはいつきって名前があるんだよ。

――ねえ兄貴、サッカー教えて
――もうお前の方がうまいだろ、教えることなんてねえよ
――うまくないよ、教えてよ!
――うるせえ、あっち行け!
――やだ!兄貴が一緒にサッカーしてくれるまでずっとついてく!

 どれだけ邪険にしても、陽翔はしつこく俺にまとわりついてきた。
 俺は根負けして、結局いつも、突き放しきれなかった。
 毎日毎日、全力で俺のことを好きってアピールしてくる陽翔のことを。

 そうだ俺、知ってた。
 こいつが俺のことアホみたいに好きなんだってこと、ずっと知ってた。

 陽翔は荒く息をつきながら、おずおずと聞いてきた。

「ごめん、俺も続きしていい?」

 いいもなにも、爆発寸前じゃないかお前は。ここでダメと言われたらどうするつもりなんだ。

 俺は、ぐったりと体を横たえて、うんとうなずく。

 陽翔はさっき履いたパンツの中から、大きく張り詰めたものを取り出すと、自分でしごき始めた。
 しどけなく横たわる俺を熱い目で見つめながら、必死に手を上下させる。
 濡れた瞳で、切なげな顔をして、俺だけを見て。

 こいつはいつも、俺のこと想像して、こんな必死にオナニーしてたのか?

 俺は目の前で陽翔にオナニーされながら、陽翔に犯されピストンされてるような妙な妄想にとらわれた。

 なぜかその妄想が俺の腹をうずかせ、今果てたばかりものがまたむくりと膨らんでくる。

 ……俺ばっかお前にイカされて、てめえは自己処理かよ。
 ……それって、勝手なんじゃねえの。

 俺は体を持ち上げ、うつ伏せになる。陽翔にケツを向ける形で四つ這いになって、言った。

「……使えよ、俺の体」

 必死にシコっていた陽翔の手がぴたと止まる。

「え……?」

「あ、穴は使うなよ!その、素股、くらいなら……」

 俺は赤くなって、自分は何を口走っているんだろうと思う。

「兄貴……!」

 陽翔は感極まったように言うと、後ろから俺の体を抱きすくめた。

「いいの?本当に?」

 俺の玉袋の下、股の間に陽翔の固くて長いものが差し込まれる。

「兄貴の、もう元気になってる……」

「黙れ」

 陽翔の手が腹から前に回され、二本の肉棒を握りこむ。互いの先走りを俺の太腿と肉棒にぬるぬる塗り込み、陽翔が腰を動かしはじめる。

 股の間を陽翔の巨根が前後する。
 ももで感じる陽翔の大きさ、熱さに脳天が痺れた。

 陽翔が腰を振るたびに、でかい亀頭が俺の股下から顔を出す。
 それが俺のちんこにも擦れて俺も感じてしまう。

「兄貴、すごい……っ、やばい、これ、もうイっちゃいそう……!」

 陽翔の巨根に激しくこすられ、俺はベッドにしがみついて喘いだ。

「うっ……、くっ……。さっさと、イけ……!」

「好き、好き、兄貴、好きっ……!」

 陽翔がひときわ強く腰を突きだすと同時に、俺の太腿の間で白い液体が大量にはじけた。俺もまた同時に達する。

 俺はドロドロに汚れたシーツの上にうつぶせに崩れ落ちる。
 その背中に陽翔がのしかかる。

「気持ち……よかった……。兄貴の素股、最高……」

 満足そうにそう言って、俺の首筋に顔をうずめる。

 ったく……。

 俺は重みに耐えながら、やれやれと笑った。

「……一緒に風呂、入るか?」

 陽翔は一瞬の間を置いてから、元気よく返事した。

「うんっ!」

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