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第二章 凰雅side 24
しおりを挟む姿が見えない。連絡がつかない。
嫌な予感に手が震える。
俺の全ての結がいない。すぐにGPSで結の居所をたどると海岸沿いのホテル街だった。
結が行くはずのないそんな所で何をされるかなんて明白で。
嫌な汗が背中を伝う。
「竜一!結が拐われた!海外い沿いの〇〇ホテルだ!篤史と何人か連れて向かってくれ!俺も行くから!頼む...!」
スマホに向かって泣き叫ぶようにいい募る俺に運転手も緊張を高める。
頼む!間に合ってくれ!結 結!
両手を組み合わせ額の前で握りしめる。
力の入れすぎか恐怖からか その手がブルブル震えて止まらない。
身代金をせしめればいいじゃねえか!
連絡してこい!
結を傷つけるな 結を返してくれ...!
時間の流れがいつもと比べられない程長く感じて苛々が募る。今この瞬間にも結が酷い目にあって泣き叫んでいるかもと思うと生きた心地などしない。
それでもどうにかホテルに着き大急ぎで目ぼしい車の中を覗く。
薬ビンや紐を見つけた俺は一気に頭に血がのぼり殺意を覚えながら大声で結の名前を呼んだ。
間に合ってくれ...!結!
後ろから部屋の鍵を持ったスタッフと竜一達が俺を呼びながら大きな足音を鳴らして駆け寄ってくる。
..微かに聞こえる。結が俺を呼んでいる...。結が...!
俺は力一杯そのホテルのドアを叩いた。
「結!結!」
解錠されたドアは力任せに開けられ勢い余って壁に当たって跳ね返る。
一人の男が結に跨がり服を切り裂き 顔には叩いた跡があった。
胸も下着が露になり膨らみまで見え隠れし スカートは太股まで捲れ上がっていた。
ーーーその瞬間からその男を殺やると思った事しかしか覚えていない。
そいつを殺したかった。
それだけの事をこいつはやりやがった...!
未遂なのはベルトをしたままのそいつを見て分かっていたが許せるもんじゃない!
気がつけば竜一に止められ我に返った俺は 結の肌を隠しながら放心している結をかき抱く。
かわいそうに余りの恐怖から解き放たれて俺の腕の中で気を失ってしまった。
ーーーーー
最悪の事態は回避出来たが 当たり前の事 心の傷は出来てしまった。
かわいそうで辛い。代わってやれるものなら代わってやりたい。
元はと言えば俺のせいだ。俺に気のある勘違い女が結を狙った。なぜ俺を狙わない?なぜ結を狙う?煮えたぎる怒りは吐き出す所がなくてどんどん煮詰まっていく。
こんなにも大切な結を傷つけた奴は殺してやりたかったけど 少し冷静になれば法がある以上そうするわけにいかない。その辺は弁護士にしっかりカタをつけてもらう。
病院で目覚めた結は涙でぐしゃぐしゃになりながら俺にすがり付いて離れない。
ただひたすら結を辛い気持ちから救ってやりたい一心だった。
なのに 心は痛むのに幼子のように俺だけを頼る結が愛しくて幸せを感じる。
....ひでぇ男だな。俺は。
それでも一生お前だけを大事にするから。
だから 許してくれ。
今 俺から離れたがらない震える結を誰が引き離せる。
そうだろう?
今結には俺が必要なんだ。
うち震えるほどの喜びをひた隠しにして不安げな結の手を握りしめた。
煮えたぎる怒りとともに愛しさと切ないさと。
....喉から手が出るほど欲しかった役割がこんな形で手に入るとは皮肉なもんだな。
おぼろ気に思い出す 子供だった無力な俺の前から連れ去られて行く結の姿。
複雑ではあるが 今度こそ他の奴でなく俺が結に求められ結の傍らに居れる事実は心の底から歓喜するほどの嬉しさだった。
翌日 拓也と結の両親は生みの両親が亡くなった時の結の様子が思い出されたようで結が望むなら俺の傍においてやってくれと言ってくれた。
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