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そのじゅうよん
そのじゅうよん-13
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「みのりさん。リンゴ」
「はいはい」
紙皿の上に綺麗に剥かれたリンゴ。
ウサギさん。
剥いたのはあたし。
やなくて、尊。
あたしにこんな芸当出来るワケありませんよ。
「はい。あーんして」
いつかどこかであったな。こんな事。
「いや、自分で食べれるし」
「いいから。あーんして」
仕方なしにあーん。
口の中でリンゴがしゃりしゃり。
ベッドに並んで腰掛けて。
甲斐甲斐しくあたしの世話焼く尊。
点滴されながら。
見舞いに来たあたしの。
逆やないの。
「みのりさん…」
あたしを見る。
ちょっとほっぺた赤くして。笑い出しそうに。
「可愛いっ!!」
「ぐっ」
首に抱きついて。
リンゴ喉詰まりそうなった。
「みのりさん」
尊があたしのほっぺた触って。
唇が近付いて。
もう昨日から何度したかわからない。
キス。
「リンゴの味する」
リンゴ食べたからな。
「みのりさん、大好き」
そう言いながらあたしを抱き締めて。
ベッドに。
「尊っ!点滴倒れるっ」
「あ…もう、邪魔。これ」
忌々しそうに点滴の管触る。
何回押し倒されそうになった事か。
しかし。
点滴のおかげで尊の稼働範囲は狭い。
こんなとこで。
病院なんかでヤられてたまるかっ。
「入院中くらい大人しく寝てなさいよっ」
逃げるあたし。
「だって…」
だってじゃないっ。
寝てろっ。
「みのりさん、こっち来て」
ベッドに座りなおしてあたしを呼ぶ。
拡げた足の間におさまると。
後ろからあたしを抱き締めてあたしの肩に顎乗せて。
「みのりさん、大好き」
いつもこうしてたね。
全然。
変わらないね。
「泣かないでよ…みのりさん」
うん。でもなんかな。
なんでかな。
涙、出る。
「もうこれからずっと一緒だから…離れないから…」
耳にキスしながら。
尊が言った。
尊の首には細い金の細工のアルファベット。
ずっと外さなかったんだな。
あたしの。
T。
どこいった!?
捨てたか?
いや、捨てた記憶ない。
どこにやったっけ!?
家帰って探しまくった。
机の引き出し。
散らかったその中に。
あった。良かった、捨ててなくて。
久しぶりにアルファベット首につける。
そしてふと。
右手のリング。
冬馬くんに言わないとな。
ちゃんと会って。
自分の気持ち。
ちゃんと話そう。
ごめんなさい。
そんな事言ったら怒りそうやな。
でも。
ちゃんと言おう。
金のリング外してケースにしまった。
瞳子さんとも久しぶりに会った。
「みのりちゃんっ!!」
尊ばりに抱き締められた。
「そんなにぎゅうぎゅうしたらみのりさん、潰れちゃうよ」
尊が笑う。
お昼時だから、と。
病院のカフェで瞳子さんとランチ。
「尊、瞳子さんのお仕事手伝ってるんですか?」
なぜ。
「一日何時間かだけど」
くすっと瞳子さんが笑った。
「尊がみのりちゃんと別れて、また尊とはあんまり連絡とらなくなってたんだけど…」
そうだったのか。
「俺が会社ついでやるから仕事教えろって、いきなり来て」
ついでやるからって。何様や。
「尊なりに…何か考えたのね。ホストの方も簡単に辞められないから両方の仕事で無理しちゃって」
なんでまた。
「そんな事するのかな」
「どうしてもみのりちゃんに会いたかったんだと思うわ」
「え?」
「会社つぐって言い出したの、みのりちゃんの記事が週刊誌出てからだもの」
冬馬くんとあたしの?
「水商売を辞めてちゃんと仕事して。ちゃんと、みのりちゃんの前で恥ずかしくないようになって、いつか。みのりちゃんに会いに行きたかったのよ、あの子」
瞳子さんがそう言って。
微笑んだ。
「はいはい」
紙皿の上に綺麗に剥かれたリンゴ。
ウサギさん。
剥いたのはあたし。
やなくて、尊。
あたしにこんな芸当出来るワケありませんよ。
「はい。あーんして」
いつかどこかであったな。こんな事。
「いや、自分で食べれるし」
「いいから。あーんして」
仕方なしにあーん。
口の中でリンゴがしゃりしゃり。
ベッドに並んで腰掛けて。
甲斐甲斐しくあたしの世話焼く尊。
点滴されながら。
見舞いに来たあたしの。
逆やないの。
「みのりさん…」
あたしを見る。
ちょっとほっぺた赤くして。笑い出しそうに。
「可愛いっ!!」
「ぐっ」
首に抱きついて。
リンゴ喉詰まりそうなった。
「みのりさん」
尊があたしのほっぺた触って。
唇が近付いて。
もう昨日から何度したかわからない。
キス。
「リンゴの味する」
リンゴ食べたからな。
「みのりさん、大好き」
そう言いながらあたしを抱き締めて。
ベッドに。
「尊っ!点滴倒れるっ」
「あ…もう、邪魔。これ」
忌々しそうに点滴の管触る。
何回押し倒されそうになった事か。
しかし。
点滴のおかげで尊の稼働範囲は狭い。
こんなとこで。
病院なんかでヤられてたまるかっ。
「入院中くらい大人しく寝てなさいよっ」
逃げるあたし。
「だって…」
だってじゃないっ。
寝てろっ。
「みのりさん、こっち来て」
ベッドに座りなおしてあたしを呼ぶ。
拡げた足の間におさまると。
後ろからあたしを抱き締めてあたしの肩に顎乗せて。
「みのりさん、大好き」
いつもこうしてたね。
全然。
変わらないね。
「泣かないでよ…みのりさん」
うん。でもなんかな。
なんでかな。
涙、出る。
「もうこれからずっと一緒だから…離れないから…」
耳にキスしながら。
尊が言った。
尊の首には細い金の細工のアルファベット。
ずっと外さなかったんだな。
あたしの。
T。
どこいった!?
捨てたか?
いや、捨てた記憶ない。
どこにやったっけ!?
家帰って探しまくった。
机の引き出し。
散らかったその中に。
あった。良かった、捨ててなくて。
久しぶりにアルファベット首につける。
そしてふと。
右手のリング。
冬馬くんに言わないとな。
ちゃんと会って。
自分の気持ち。
ちゃんと話そう。
ごめんなさい。
そんな事言ったら怒りそうやな。
でも。
ちゃんと言おう。
金のリング外してケースにしまった。
瞳子さんとも久しぶりに会った。
「みのりちゃんっ!!」
尊ばりに抱き締められた。
「そんなにぎゅうぎゅうしたらみのりさん、潰れちゃうよ」
尊が笑う。
お昼時だから、と。
病院のカフェで瞳子さんとランチ。
「尊、瞳子さんのお仕事手伝ってるんですか?」
なぜ。
「一日何時間かだけど」
くすっと瞳子さんが笑った。
「尊がみのりちゃんと別れて、また尊とはあんまり連絡とらなくなってたんだけど…」
そうだったのか。
「俺が会社ついでやるから仕事教えろって、いきなり来て」
ついでやるからって。何様や。
「尊なりに…何か考えたのね。ホストの方も簡単に辞められないから両方の仕事で無理しちゃって」
なんでまた。
「そんな事するのかな」
「どうしてもみのりちゃんに会いたかったんだと思うわ」
「え?」
「会社つぐって言い出したの、みのりちゃんの記事が週刊誌出てからだもの」
冬馬くんとあたしの?
「水商売を辞めてちゃんと仕事して。ちゃんと、みのりちゃんの前で恥ずかしくないようになって、いつか。みのりちゃんに会いに行きたかったのよ、あの子」
瞳子さんがそう言って。
微笑んだ。
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