VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
170 / 199
5ー2:太陽の遺跡と挑戦状

◇170 羅針が示す先

しおりを挟む
「ダメだな」

 Nightは変化が起きないので諦めた。
 流石に私達も同感で、げんなり肩を落とす。
 ここまでやったのにまだ足りないなんて、ヒントが少なすぎるよ。

「まだ足りないってことかな?」
「だがヒントらしき文献はもう読み問いだぞ」

 Night曰く、石碑に書かれていた言葉は全て試したらしい。
 いつの間にって思うけど、きっとNightが言うんだ。間違いない。
 私達は落胆したまま部屋の中を回ると、溜息が聞こえた。

「はぁ。結局時間泥棒だったわね」
「そうだな」
「そうだなって、諦め早くない?」

 ベルが溜息を吐息として漏らす。
 それに呼応してか、Nightも諦めムードだ。
 流石によくない流れ。そう思ったのか、ベル本人が訂正させる。

「なにを期待しているんだ?」
「別に期待はしてないわよ」
「足搔くのが見たいのか?」
「そうでもないわよ。ねぇ、この部屋にヒントとか他にないのかしら?」

 もはや諦めているNightに密かに期待をした。
 だけど期待も虚しくて、足搔く姿を見たくなった。
 なんてNightは思考放棄すると、ベルは周囲を見回す。

「他にですか?」
「そうよ。あんな碑文だけでお終いって、流石に無くない?」
「それはそうかもしれませんね。知識を必要としますので」
「でしょ? ってフェルノ、なにしてるのよ!」

 ベルと雷斬は石碑に書かれていた所謂碑文の内容を言及した。
 確かに専門的な知識が必要そうではあった。
 だけどそれが無いと絶対に解けないなんて意地悪過ぎる。
 きっとなにかあるのでは? と遺跡内部を疑うと、フェルノは早速探し回る。

「うーん、なんにもないよ?」
「そんな筈ないでしょ? きっと何処かに……」

 フェルノの集中力が切れた。
 三十秒で終わってしまうとベルは叱る。
 もっと隅々まで探すよう言い付けると、自分も探し始めた。
 もちろん私達も手分けをして遺跡内部を、唯一入れた部屋の中を見回す。

「本当に無いわね」
「そうですね。ですが仕掛けが隠されていれば面白いですよね」
「うん。ダンジョンって感じがするよね」
「ここはダンジョンだがな」

 それからしばらく探したけれど、なかなか見つからない。
 隠してあるとすれば遺跡の中だとは思うけど、見つからないと流石に焦る。
 私達はそれでも楽しんで仕掛けの在処を探るが、マジレスしてしまうNightにツッコミを入れるのはベルだった。

「もう、そんなんじゃ面白くないでしょ?」
「それはそうだが」
「はぁ。大体家の照明みたいなんだから、何処かにスイッチでも(カチッ!)」

 ベルの指……いや、肘が壁を押した。
 何処を押したとかは分からない。
 それでも変な甲高い音が聞こえ、私達は立ち止まる。

「「「ん?」」」
「今の音は……」

 明らかに何かを押したのは確実。
 作動するものがあるのか、まさか罠が発動でもしたのか。
 私達は警戒して周りを見回すと、突然ピカーンと水晶が点滅を始め、青白い光が眩しく放たれた。

「うわぁ!」
「ま、眩しい……」
「突然光り始めただと?」

 水晶は突然光り始めた。
 さっきカチッ! の音が聞こえたけれど、それに合わせたのかな?
 私達は目元を覆うと、突然の眩しい光から目を守る。

「ううっ、一体なにが起きて……えっ?」

 マヌケな声を私は出した。
 突然床の溝に光が流れた。
 如何やら水晶から放たれた光が、ウネウネロードを通って、部屋全体を明るく照らす。
 もちろん、コレになんの意味があるのかは分からないけれど、その答えはすぐに導き出された。

「一体なにがどうなっているんだ」
「見てよみんな。壁の方!」

 私は全員の視線を集める。
 溝を通る光を追うと、そのさきには扉の対面の壁。
 そこに向けて光が集まって行く。

「なにが起こるのでしょうか?」
「分からないよ。でも、なんだかいい感じがする」

 私の直感が冴え渡った。
 ドクンドクンと胸が強く打たれる。
 意識を切り替えなくても、集まった光には意味がある筈だ。

 すると突然のことだった。溝を進んだ光が壁に照射。
 奥へと透過してしまうと、突然埃が舞う。
 壁全体が軋み始めると、ガタガタガタガタとけたたましい騒音を立てた。

「な、なんだ!?」
「ちょっと、壁が軋んでるわよ」
「そうですね。皆さん、少し離れましょう」
「あはは、なんだかワクワクするねー」

 みんなそれぞれ別角度から見守った。
 Nightとベルは表情を顰め、雷斬は心配し、フェルノは楽しんでいる。
 かくいう私も楽しんでいて、自然と期待する。

(なにがあるのかな? それに、なんで突然……)

 私は立ち止まって考えてしまった。
 そんな私の腕を雷斬が引くと、一度後ろに下がる。
 安全圏、すぐさま太陽の古代遺跡から外に出られそうな位置まで下がると、壁が軋みを上げ乍らゆっくり下がって行く。

「見て、壁が下がって行くわよ」
「アレは……隠し扉かなにかか?」
「扉って言うより、隠し壁?」
「隠しては無いですが、確かにその可能性はありますね」

 壁が完全に下がり終えると、対面の壁が完全に消える。
 代わりにこの先へ行けるようになっていた。
 目がチカチカするくらい眩しいけれど、謎は一つ解いたっぽい?

「止まった?」
「そうらしいな……にしても」

 壁の軋みは止まった。ガタガタと震えていた歪な音もない。
 私達は一応無事で、少しだけ足を前に出す。
 目の前にあった壁が消え、代わりに先へ行くための道が切り開かれる。

「まさかとは思うが、壁にスイッチが隠されていたのか?」
「そうっぽいわね」
「ぽいって……でもよかったね。謎が解けて」

 如何やら壁にスイッチが隠してあったらしい。
 何だか私達のギルドホームと仕組みが同じだ。
 本当はツッコむ所なんだろうけど、二回目はちょっとね。
 淡白になってしまった私達は、家電みたいなシステムにクスッと笑った。

「まあそんなことはさておき……」

 Nightが空気を切り替える。
 シンとした茶化す空気が変わり、私は壁の奥を見つめた。
 突然軋み始めた時はビックリしたけど、まだビックリは止まらない。

「ねぇ、壁の奥が光ってるよ?」
「うんうん。光ってるねー」

 視界の先が眩しい。白亜色に輝いている。
 その原因は床に彫られた溝を光が通っているせい。
 如何やら羅針の効果で、そのおかげか壁の奥が光り出した。

「全然見えないけど、大丈夫かしら?」
「分かりませんが。少なくとも羅針はこの先を示しているようですね」

 ベルと雷斬の言う通り、視界の先は全く見えない。
 壁の奥が光り過ぎていて、目を凝らすこともできない。
 額に皺を寄せてしまうも、羅針がこの先を示しているのは確かだ。

「どうするの、Night?」
「決まっているだろ。行くしか道はない」
「だよね」

 私は一応Nightに訊ねる。決めるのは多分私だけど思うけど、Nightは周囲を確認。
 チラチラZを描いて視線を動かすと、「ふん」と鼻息を上げる。
 答えはもう決まっている。否、こたなんて存在しない。やることは一つだ。
 私達は確認だけでもと思って、壁の奥へと進むことを選んだ。

「よし、行くぞ」

 Nightは先を進む。警戒しても仕方が無い。
 きっと全て見えているに決まっている。
 私達もNightの背中を追い掛ける。

「待ってよ、Night」

 私達も開いた壁の向こうへ向かった。
 眩い輝きによって、先は全く見えない。
 それでもこの先に新しい謎が待っていると期待して、私達は進んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...