VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
18 / 199
1ー2:幽幻の居城の冒険

◇18 烈火より先に遊んでしまった(てへっ)

しおりを挟む
「えー! 明輝もCU遊び始めたのー!?」
「うん。烈火の家から帰った後、色々あって……」
「色々ー?」
「うん、色々」

 私と烈火は一緒にお昼ご飯を食べていた。
 私は自分で作って来たお弁当。
 中身は作り置きしていた総菜の残りがほとんど。

 烈火は購買で買って来たパン。後は近くのコンビニで売っていたお弁当。
 割引シールが張ってあって、賞味期限は昨日になっている。
 多分、夜中に買って来たものだと思う。

「いいなー、私が予約購入した分、まだ届かなくてー」
「私も偶然だったから」
「偶然かー。明輝って、そう言うの連続するよねー」
「そ、そうかな?」
「一回当たりに入ったら、しばらくの間ずーっとそうでしょ? ハズレなんて引いたことが無いって顔してるー」
「そ、そんなこと無いよ?」

 私はいつも良いことがあると、烈火にこう言われる。
 「明輝は運がいいからなー」って。
 だけどそれって偶々な気がする。だから私はなんとかして訂正した。

「ほら、烈火も運良いでしょ?」
「まあ、そこそこはー? でも明輝って異常でしょ」
「異常者扱い?」
「宝くじ、外れたことある?」
「……無いけど。絶対五等は貰えるから」
「副引き、ポケットティッシュ以外は?」
「ポケットティッシュが当たった後は、その色々あって……」
「はぁ、リアルラックの神?」

 何故だろう。烈火に呆れられてしまった。
 しかも溜息まで付かれてしまった。
 視線が徐々に外れて行くと、烈火は目の前のパンをガブリと頬張る。

「明輝って、いつもそうなんだよねー」
「ううっ、ごめん」
「まあ、いいんだけどねー。あむっ」
「本当にごめんね」

 私は必死に謝っていた。
 もちろん謝る必要なんて無いのに、癖で謝ってしまっていた。
 だけど烈火も分かってくれていた。背中をポンと叩くと、ニコッと笑みを浮かべる。

「それでそれで、CUってどんなとこ? やっぱり楽しい?」
「うん、楽しいよ。逸れに凄くリアル」
「やっぱそうなんだー。流石はエルエスタ・コーポレーション。アジア最大の企業だねー」

 烈火は勉強嫌いな筈なのに、こういうことには詳しかった。
 きっと調べたに違いない。
 よく見ると、烈火が食べているパンの袋やお弁当のパッケージにもエルエスタ・コーポレーションのマークが入っている。これだけ色んな所に付いていれば、嫌でも目に留まってしまうんだ。

「烈火はCUに来たらなにしたい?」
「ん、私? 私はねー。バトりたい!」
「ば、バトルなの? やっぱり戦いたいんだ」

 烈火は戦闘好きだった。戦闘狂って訳じゃないけど、ゲームは大抵アクション。
 しかも対人格闘ゲームがほとんどで、一人でNPC相手に戦っている。
 部活もテニス部で、シングルス専門。中学の時は全中三連覇しちゃうくらいだもん、体を動かすのがとにかく好きな親友だった。

「あっ、烈火。大会はどうするの?」
「大会? はっ!?」
「そうだよ、なんで忘れてたんだろう。もう少しで大会だよ?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! せっかく遊べると思ったのにー。まあ、こっちも楽しいんだけどさー、はぁ、再来週かな」

 烈火がCUに来るのがまた遠のいた。
 落ち込む烈火の肩を私はソッと撫でる。
 「ドンマイ」。今はそれしか言葉が出なかった。

「烈火、CUに来たら、一緒に遊ぼ」
「ん? もっちろん。そのつもりだよー」
「よかった。私、ずっと一人で戦ってるから……」
「えっ!? 明輝って凄いね、本当に凄い」
「ん? なに言ってるのか分からないけど……」

 烈火はキョトンとした顔をした。
 何だか私、変なことしちゃったみたい。
 だけど何をしたのか私には分からないから、何にもピンと来なかった。

「それじゃあ楽しみに待ってるね」
「うん! 優勝トロフィー獲ったらすぐ行くよー。っと、明輝さー、ちょーっと面白い噂があるんだー」
「噂?」

 烈火は思い出したようにスマホを取り出す。
 何か調べ始めると私の前に検索した掲示板を見せた。

「なにこれ、掲示板?」
「そうそう。CUのスレが立ってるんだけどー、たまーに見ると面白いよ。っと、会ったあった、これ!」


77:ピンクグラス
—みんなさ、シャンベリーって知ってる?

78:匿名希望
>シャンベリー?

79:見習い剣士77人目
>なにそれ?

80:ぷでぃんしゅ
>新しいベリー?

81:特許昨日
>それな

82:ピンクグラス
—謎のダンジョンだって

83:ピンクグラス
—平日の真夜中にしか出ないらしい

84:ピンクグラス
—しかも行ける奴はランダムだとさ

85:ピンクグラス
—攻略勢もパスしたらしいぜ

86:見習い剣士77人目
>www

87:ぷでぃんしゅ
>意味ねぇ

88:特許昨日
>無駄情報

89:福岡に研修行ってましたw
>どのみち行けないっての


「だってさ」
「だってさって言われても……これがどうかしたの?」
「明輝、興味無いんだー。シャンベリーなんて面白そうじゃない?」
「そうかな?」

 正直、心は全く踊らなかった。
 “シャンベリー”なんて言われても、全くピンと来ない。
 今日二度目なので、私は首を捻ると、烈火はスマホを突き付ける。

「行ってみたら?」
「えっ、行くの、私が? 深夜だよ」
「明輝、深夜も強いでしょ?」
「意味が分からないんだけど」

 一体何を持って言ってるのか、私には理解ができない。
 眉根を寄せ、眉毛をピクピクさせてしまう。
 困惑している私一人置いて、烈火は凄く楽しそう。
 ニヤニヤと笑みを浮かべると、「ドヤッ!」と言いたげな顔をしているので、私は本気で困ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...