VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
29 / 199
1ー2:幽幻の居城の冒険

◇29 シャンベリーを探索したけど?

しおりを挟む
「ふぅ、とりあえずゾンビの群れは去ったな」
「そうだね。えっと、これからどうするの?」
「決まっているだろ、残りの時間を使って城の中を調べる。クソッ、弾数がもう無いか……」

 私達はなんとかゾンビの群れをやり過ごした。
 門の向こう側が静かになるのを確認してから胸を撫でると、今度はいよいよお城の中を探索だ。

 と意気込むものの、Nightの顔色はあまり芳しくない。
 と言うよりも渋い顔をしている。
 さっき使った拳銃(回転式拳銃リボルバー)の弾倉を確認すると、残った弾数を確認していた。

「もしかして、武器それしかないの?」
「こっちは後五発だな。こっちの自動拳銃オートピストルは九発だな」
「そうじゃなくて、他の武器は無いの? もっとファンタジーっぽい奴」
「あるにはあるが……使いたくないな」
「えー、そっちの方がぽいよね?」
「CUは自由度の高いゲームなんだ。私だって非常時には使う。それより、さっさと行くぞ、休憩は終わりだ」

 一番疲れているのはそういうNightだった。
 だけど私に茶化されたせいか、少しムキになっている。
 そんなに怒らなくてもいいのにと思ったが、とりあえずお城の中に入ってみることにした。

 ギシィ―!

 私とNightは一生懸命引いて、お城の扉を開いた。
 すると中は真っ暗で、たくさんの豪華な装飾品が飾られている。
 イメージの中にある西洋のお城。
 私は目を奪われるが、Nightは興味無さそうに、むしろ間取りを把握し始める。

「エントランスがあって、階段が二つ、高さを考えて三階建て……しかもあちこちの壁に突起物が出ている。意図的な造り……おまけに目の前の壁には謎の文様……明らかに迷宮だな」
「迷宮? ここはお城でしょ?」
「仕掛けが施された城ってことだ。勝手に触るなよ、死にたくなかったらな」

 Nightは怖くなるようなことを、平然と口走る。
 私は一瞬ビビるけど、すぐに慣れちゃった。
 Nightはそんな私を放り出し、警戒しながら壁に近付く。
 優しく触ると、明らかに警戒しているのが伝わった。

「そこになにかあるの?」
「ここにスイッチがあるな。多分押すと仕掛けが作動するんだろう……おそらく頭上だな」
「頭上? うーん、なにも無いように見える?」
「いいや、真上に奇妙に取り付けられた照明。しかも消えている……と言うことは、アキラ少し下がれ」

 私はNightに体を使って押された。
 だけど全く動かない。だから私はゆっくり後ろに下がると、Nightはインベントリの中から石ころを取り出す。

「それっ!」

 Nightは石ころと投げた。
 すると的確に突起の部分に当たると、カチッ! と音がする。
本当にスイッチみたいだったけど、一体なにが起こるのかな?
期待してしまうと、突然軋む音を立てて何かが落ちる。

ズサーン!

「うわぁ!?」
「やっぱり槍だったか」

 本当に頭上の小さな照明。蝋燭の炎のような形をしていた。
 それが急に長い棒と一緒に落ちて来ると、さっきまでNightが立っていた辺りに落ちてくる。
 その形状は完全に槍その物で、蝋燭の炎の形をしていた部分は、金属製の鋭いものだった。
 つまり、当たっていたら即死。全く、恐ろしい罠が仕掛けられているダンジョンだと思い、私の体が一瞬硬直する。

「こ、怖いね。こんなのまともに喰らったら、ひとたまりもないよ」
「間違いなく即死だろうな」
「そ、即!? ……怖い」

 私は身震いして、たじたじになる。
 一歩足が竦んで、後ろに下がった。
 その瞬間、Nightは怖いことを言う。

「そこのタイルは踏むなよ。罠だからな」
「ええっ!?」

 私は丁度真後ろにあったタイルを踏みかけた。
 だけど何とか踵で耐え抜くと、私はホッと胸を撫でる。

「Night、もう少し早く言ってよ!」
「ふん、踏む前に止めてやったんだ。ありがたいと思え」

 Nightはサバサバしていた。
 私が怒っても知らないといった具合で、むしろ感謝を要求される。
 本当上から目線で敵を作りそうだなと思ったけど、Nightは全く気にしない。
 むしろ丁寧に罠を避けながら、調べ物を進めて行く。

「例えばそこにある螺旋階段。三段目だけが妙に膨らんでいる。恐らく、避けて上った証拠だろうな」
「つまり罠ってこと?」
「そう言うことだ。後、反対側の壁。丁度もたれかかれる高さにある凹凸部分。それもスイッチだ。きっと目の前から鋭い槍が伸びて、串刺しになるんだろう」
「串刺し!?」
「まぁ、見極めながら適宜避ければ怖くは無いが……」

 そう言うと、Nightは的確にステップを踏みながら、目の前の壁に辿り着く。
 そこには奇妙な紋様が描かれている。

「それにしてもこの紋様の絵柄……明らかになにかあるな」

 Nightの見ている壁には何か書いてある。
 ヤギの化物みたいな絵が描かれ、その周りを三つの黒い丸が三角形で囲っている。
 おまけに凹凸になっていて、何か嵌め込めそう。
 分かりやすい謎が広がるが、Nightは真相を暴こうとするが、唸り声を上げる。

「う~ん。これは……」
「どうしたの、Night?」
「いや、なんでもない。とは言え、この壁は仕掛け扉になっているのは確かだ」
「うん、それはなんとなく想像できるよ」

 明らかに何かできそうで、一番ベタなのが“壁が開く”だった。
 だけど仕掛けを解くためのアイテムを何も持っていない。
 これは探索が必要かも。そう思った瞬間、私とNightは奇妙な声を聞く。

「それじゃあ、もう少し探索してみる?
『ダメ』
「そうだな。とりあえず上の階を見て……」
『行っちゃダメ』
「「……なにか言った?」か?」

 お互いに顔を見合わせる。
 ポツポツと口走った問答に誰かが勝手に答えたんだ。
 もちろんそれは私でもNightでもない。
 一体誰? もしかして他に誰か居る? 警戒しながら周囲を見回した。

「もしかして、誰かいるの?」
「その可能性は高いな。警戒しろ」
「警戒って……そんな感じしなかったけど……」
『このお城は危険だから、早く帰って』
「「また!?」」

 今度ははっきりと聞こえた。
 しかも私とNightの丁度間。
 お互いの視線が交差し合うも、そこには当然なにも無い。
 虚空から聞こえた謎の声に動揺するも、Nightはズケズケと踏み込んだ。

「誰だ、お前は。正体を現せ!」

 そう言うと、拳銃を構えた。
 その射線には私も居るのにと思うが、そんなことは見ていない。
 見ているんじゃない、見られている。そんな漠然とした気配だけが漂う中、それは姿を現す。

『ここは危険。だから早く帰って、お願い……』

 再び声で警告する。同時に私とNightの間を青白い何かが揺らめいた。
 まるで炎のようなそれは、揺ら揺らと震えている。
 形は最初は塊だった。だけど徐々に人の形を模していくと、次第に少女に化けるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...