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3ー1:メダルハンターへの道
◇95 勝てませんよねー
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「ドラァ」
サーペンタイガーは私達を睨んでいる。
完全に竦んでしまう体が妙に強張って仕方が無い。
動けなくなってしまうと、ガチガチに固まっちゃった。
「Night、どうしよう」
「どうするもこうするも無いだろ。このまま少しずつ後退りだ」
「ってことは逃げるんだよね」
「でもさー、無理っぽくない?」
フェルノの言う通り、ただで逃げられるような状況じゃない。
私がゴクリと喉を鳴らすと、サーペンタイガーは右前脚を突き出した。
「ドラァ!」
バシュン!
風圧と共に小さな石の破片が地面の中から弾き出される。
勢いよく飛び出すと、土煙を巻き上げながら私達を襲う。
完全に殺しに来てる。逃げないとマズいと思って、一気に下がった。
「ヤバいヤバいヤバいヤバい! 絶対ヤバいって!?」
「あはは、あはは、すっごい、絶対強いじゃんかー」
「バカ。興奮している場合か」
「だよねー。んじゃ……おりゃぁ!」
フェルノは地面を蹴り上げた。
種族スキル【吸炎竜化】を解放し、両腕両脚を竜に変える。
<ファイアドレイク>の姿をその身にはっきりと宿すと、まさかの行動に出た。
逃げればいいのにサーペンタイガーに攻撃を仕掛けたんだ。
「うっ、ヤバい」
「ドララァ!」
フェルノは渾身のキックをお見舞いした。だけどサーペンタイガーには全く効いていない。
それどころか、眉間に皺を寄せたサーペンタイガーに反撃を喰らう。
吠えられただけで体が強張って、簡単に弾き飛ばされる。
「フェルノ!?」
「あはは、ヤッバ」
フェルノは宙に投げ出された体を、上手くコントロールした。
体勢を筋力と体幹で取り留めると、地面に着地する。
鋭い足の爪が地面を抉ると、反動で大きな穴を開けた。
「痛たたたぁ……結構やるじゃんかー」
「なにやってるの、フェルノ。危ないよ!」
「そうだぞ。余計なことをするな。それ以上すると、逆に興奮状態にするだけだぞ」
フェルノにしてはあまりにも単純だった。
もちろん日々パッションで行動するフェルノにとっては日常茶飯事かもしれない。
だけどそれを抜きにしても、やってくることがデタラメ。私はムッとした表情を浮かべるも、フェルノは堂々としている。
「いやぁー、ちょっとは効くと思ったんだけどねー」
「アホか。レベル差を覆せるとは言っても、何の策も無く行うのは限度がある」
「そうだよ。今は逃げよ」
「そうしたいんだけどさー、逃げられるー?」
「「……」」
まあ、逃げられる保証は何処にも無かった。
ゆっくり振り返らなくても分かるけど、凄い威圧感を感じる。
完全に虎に睨まれて……いや、蛇にも睨まれている。こんなの、どうやっても逃げられそうにない。
「いいか、チャンスは一度だぞ」
「どうする気?」
「考えがあるんだー。じゃあやってみよう!」
「お前が言うな」
Nightはこんな状況でも冷静だった。
それも全てサーペンタイガーが私達を侮ってくれているおかげ。
完全に舐めているから余裕な態度で、一発くらいの攻撃も水に流してくれる。そんな優秀なAIが搭載されていて、Nightはその隙を突く。
「一度目は見逃してくれる。その隙を突く」
「一度目って……さっきのが一度目なんじゃないの?」
「例えそうだとしても、懸けるしかないだろ。行くぞ」
そう言うと、Nightはインベントリから取り出す。
手には小判状の形をしたアイテムだ。
また変なもの作っていると思った私だけど、カチッとピンを抜いた瞬間、Nightは叫んだ。
「いいか、森の中に全力で走れ。それっ!」
ピンを外したアイテムを、サーペンタイガーに向かって放り投げる。
すると鼻先に触れ、強烈な光を放った。
プラスチックで覆われていた外側が破裂したせいか、一瞬にして世界を白に染める。
「ドラララララァァァァァァァァァァァァァァァ!」
サーペンタイガーの悲鳴が上がった。
全身をのたうち回し、体を地面に叩き付ける。
そんな音が背後から聞こえると、私達は真っ先に森を目指して走り出す。
「Night、もしかしてこれって!」
「ツベコベ言ってる暇があったら逃げるぞ」
「あはは、やっぱり勝てないよねー。でも、逃げるが勝ちってねー」
確かに私達は真っ向から戦っても勝てなかった。
だけど戦うだけが勝ちじゃない。命あってのものだって分かる。
ここは姿を隠して、何とかやり過ごすことが私達の得策だ。
幸い草原から森は近い。
目と鼻の先の距離で、百メートルくらいだ。
この眩い光もそれまでは持ってくれる筈。っていうより、この光には持って貰わないと困るんだ。
(これってアレだよね。閃光手榴弾って奴だよね。Night、そんなのまで作ってたんだ)
とは言え一番驚いたのは、Nightがこんな物騒なものを作っていたこと。
そのおかげでサーペンタイガーから逃げることはできた。
だけどこれを何も言わずに使われていたら……考えただけで恐怖心が湧く。
「よっと」
「えいっ」
「とりあえず森には逃げ込めたな」
そのまま何事もなく森の中に入ると、私達は一度立ち止まる。
まだ錯乱状態でいてくれたサーペンタイガーの姿がある。
目に留まったものの、にらまれれば一巻の終わり。私たちはもっと森の奥に逃げる。
「Night、もっと遠くに逃げよう」
「そうだな。この先は確か海岸沿いだったな」
「うーん。海岸かー、面白いかも?」
「そんなのどうでもいいでしょ? ほら、行こう」
私はフェルノの手を引いた。とりあえず今は姿を見られないようにする。
結局私達はこの三日目、たくさんのメダルを獲得した。
だけど最後の一時間は隠れるのが精いっぱい。サーペンタイガーから完全に消えると、森を抜け明日に備えて終了した。
サーペンタイガーは私達を睨んでいる。
完全に竦んでしまう体が妙に強張って仕方が無い。
動けなくなってしまうと、ガチガチに固まっちゃった。
「Night、どうしよう」
「どうするもこうするも無いだろ。このまま少しずつ後退りだ」
「ってことは逃げるんだよね」
「でもさー、無理っぽくない?」
フェルノの言う通り、ただで逃げられるような状況じゃない。
私がゴクリと喉を鳴らすと、サーペンタイガーは右前脚を突き出した。
「ドラァ!」
バシュン!
風圧と共に小さな石の破片が地面の中から弾き出される。
勢いよく飛び出すと、土煙を巻き上げながら私達を襲う。
完全に殺しに来てる。逃げないとマズいと思って、一気に下がった。
「ヤバいヤバいヤバいヤバい! 絶対ヤバいって!?」
「あはは、あはは、すっごい、絶対強いじゃんかー」
「バカ。興奮している場合か」
「だよねー。んじゃ……おりゃぁ!」
フェルノは地面を蹴り上げた。
種族スキル【吸炎竜化】を解放し、両腕両脚を竜に変える。
<ファイアドレイク>の姿をその身にはっきりと宿すと、まさかの行動に出た。
逃げればいいのにサーペンタイガーに攻撃を仕掛けたんだ。
「うっ、ヤバい」
「ドララァ!」
フェルノは渾身のキックをお見舞いした。だけどサーペンタイガーには全く効いていない。
それどころか、眉間に皺を寄せたサーペンタイガーに反撃を喰らう。
吠えられただけで体が強張って、簡単に弾き飛ばされる。
「フェルノ!?」
「あはは、ヤッバ」
フェルノは宙に投げ出された体を、上手くコントロールした。
体勢を筋力と体幹で取り留めると、地面に着地する。
鋭い足の爪が地面を抉ると、反動で大きな穴を開けた。
「痛たたたぁ……結構やるじゃんかー」
「なにやってるの、フェルノ。危ないよ!」
「そうだぞ。余計なことをするな。それ以上すると、逆に興奮状態にするだけだぞ」
フェルノにしてはあまりにも単純だった。
もちろん日々パッションで行動するフェルノにとっては日常茶飯事かもしれない。
だけどそれを抜きにしても、やってくることがデタラメ。私はムッとした表情を浮かべるも、フェルノは堂々としている。
「いやぁー、ちょっとは効くと思ったんだけどねー」
「アホか。レベル差を覆せるとは言っても、何の策も無く行うのは限度がある」
「そうだよ。今は逃げよ」
「そうしたいんだけどさー、逃げられるー?」
「「……」」
まあ、逃げられる保証は何処にも無かった。
ゆっくり振り返らなくても分かるけど、凄い威圧感を感じる。
完全に虎に睨まれて……いや、蛇にも睨まれている。こんなの、どうやっても逃げられそうにない。
「いいか、チャンスは一度だぞ」
「どうする気?」
「考えがあるんだー。じゃあやってみよう!」
「お前が言うな」
Nightはこんな状況でも冷静だった。
それも全てサーペンタイガーが私達を侮ってくれているおかげ。
完全に舐めているから余裕な態度で、一発くらいの攻撃も水に流してくれる。そんな優秀なAIが搭載されていて、Nightはその隙を突く。
「一度目は見逃してくれる。その隙を突く」
「一度目って……さっきのが一度目なんじゃないの?」
「例えそうだとしても、懸けるしかないだろ。行くぞ」
そう言うと、Nightはインベントリから取り出す。
手には小判状の形をしたアイテムだ。
また変なもの作っていると思った私だけど、カチッとピンを抜いた瞬間、Nightは叫んだ。
「いいか、森の中に全力で走れ。それっ!」
ピンを外したアイテムを、サーペンタイガーに向かって放り投げる。
すると鼻先に触れ、強烈な光を放った。
プラスチックで覆われていた外側が破裂したせいか、一瞬にして世界を白に染める。
「ドラララララァァァァァァァァァァァァァァァ!」
サーペンタイガーの悲鳴が上がった。
全身をのたうち回し、体を地面に叩き付ける。
そんな音が背後から聞こえると、私達は真っ先に森を目指して走り出す。
「Night、もしかしてこれって!」
「ツベコベ言ってる暇があったら逃げるぞ」
「あはは、やっぱり勝てないよねー。でも、逃げるが勝ちってねー」
確かに私達は真っ向から戦っても勝てなかった。
だけど戦うだけが勝ちじゃない。命あってのものだって分かる。
ここは姿を隠して、何とかやり過ごすことが私達の得策だ。
幸い草原から森は近い。
目と鼻の先の距離で、百メートルくらいだ。
この眩い光もそれまでは持ってくれる筈。っていうより、この光には持って貰わないと困るんだ。
(これってアレだよね。閃光手榴弾って奴だよね。Night、そんなのまで作ってたんだ)
とは言え一番驚いたのは、Nightがこんな物騒なものを作っていたこと。
そのおかげでサーペンタイガーから逃げることはできた。
だけどこれを何も言わずに使われていたら……考えただけで恐怖心が湧く。
「よっと」
「えいっ」
「とりあえず森には逃げ込めたな」
そのまま何事もなく森の中に入ると、私達は一度立ち止まる。
まだ錯乱状態でいてくれたサーペンタイガーの姿がある。
目に留まったものの、にらまれれば一巻の終わり。私たちはもっと森の奥に逃げる。
「Night、もっと遠くに逃げよう」
「そうだな。この先は確か海岸沿いだったな」
「うーん。海岸かー、面白いかも?」
「そんなのどうでもいいでしょ? ほら、行こう」
私はフェルノの手を引いた。とりあえず今は姿を見られないようにする。
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