モブのモブ!? 気付いたら、大好きなアニメの世界だった!?

SORA

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どれくらい沈黙が続いたのだろうか、取り敢えず座ろうと椅子に腰掛けて気持ちを落ち着けていると、エリオットが私をジッと見ている。

「ブラン嬢大丈夫かい?すまない。やはり君に言うのは辞めておくんだったかな。」

「そうよ!マーガレットちゃんがショックで倒れちゃったらどうするの!」

「…いえ、大丈夫です。」

何も言わない私にエリオットとグレース様は気遣う様に話しかけてくれる。

そう…大丈夫。ストーリー通りなだけだ。
ケヴィンとユーリが居なくなったタイミングも、今何が起きているのかも全部。

ストーリー通りなら大丈夫。二人は大丈夫。

それなら私が今出来る事をしなくては。


〝未来は自分の手で切り開くものよ。〟

グレース様の言葉が私の気持ちを後押しする様に、私に勇気をくれる。
私は強張って思う様に動かない口をどうにか動かす。

「…エリオット様大丈夫です。私が〝知っている〟通りなら、ケヴィン様もユーリ様も無事です。」

「「「!!」」」

「ただ…急がないと〝彼女〟はまた別の場所へ連れて行かれてしまいます。」

私が発した言葉にグレース様もエリオットもビアンカも目を大きく見開いて驚きを隠せないでいる。

「ブラン嬢、この地図の中にその場所はありますか?」

愕然とする中で先に動いたのはビアンカだった。ビアンカは持って来ていた地図を広げると私の前に置いた。

目の前に置かれた地図のある部分を指し示すと、エリオットとビアンカは顔を見合わせて頷いた。

ビアンカは地図を持って部屋を後にした。

「…ありがとう、ブラン嬢。君のおかげでユーリ達を見つけられるよ。」

エリオットが私にお礼を言って微笑んだ。

本当はまだ色々聞きたそうだったけれど、私の意思を尊重しているのか無理矢理聞こうとはしなかった。

彼、エリオットもこの世界で生きている一人の人間なのだ。
アニメの中の人に間違いは無いのだけれど、画面越しとは違う…確かに意思を持っている。

私も……彼らも……。
信じていいのかもしれない…。

打ち明けても〝自分の手で切り開ける未来〟を信じてみても…。

それに何よりまず〝彼女〟を助けなければ…。
その為に今私が出来る最大の助言をー。

「エリオット様お願いがあります。ヘクターとクラウス様をユーリ様達の元へ向かわせて下さい。」

「…訳を聞いても?」

私にそう言われたエリオットが真っ直ぐに私を見つめる。

「ユーリ様やケヴィン様よりもヘクターとクラウス様は強いです。不慣れな二人には今回の〝依頼〟は難しい。」

「何故依頼の事を……。」

私が〝依頼〟と口にすると、不信感を表す様にエリオットの眉が寄る。
気づかない振りをして私は話を進める事にした。

「それに…エリオット様達が探している〝彼女〟がヘクターにとって大切な人だからです。」

「……。」

私がそう告げると、グレース様とエリオットは驚きを隠そうともせず目を見開いて私を見ていた。

それもその筈。私が知っている事は当たっているのだ。

〝彼女〟はその特殊な能力を持っていた為に、三歳の時孤児院から拐われたヘクターの妹だ。

ヘクターは彼女を探す為に強くなり、その時グレース様に出会った。
そのグレース様の元に居たヘクターをスカウトしたのがエリオットだ。

エリオットは彼女を探す事を協力すると約束してヘクターを仲間に迎えたのだ。

「…そして、クラウス様が探しているのも〝彼女〟だから。」

「!!」

私が続けてそう告げるとエリオットが息を飲む。

それもそうだろう。この二つの事はエリオットがヘクターとクラウスと個々の間でやり取りされていた約束なのだから。ビアンカさえも知らない約束だったのだ。

クラウスの母親は元々身体が弱く治す方法が無かった。治す方法を探しているクラウスにエリオットはヘクターの時と同様に声を掛けたのだった。

ヘクターの妹は〝治癒〟、病を治す力を持って生まれた。それが彼女の特殊能力だった。

つまり、〝彼女〟が居ればクラウスの母親も助ける事が出来る。

じゃあ始めからヘクターとクラウスに探す依頼を出せば良かった?

エリオットが二人を探しに行かせずユーリとケヴィンを行かせたのは、ヘクターが暴走する恐れがあったからだった。
いくらエリオットでも、大量虐殺なんてされたら庇う事は出来ないだろう。と言うのが二人を行かせなかった理由だった。

「…ブラン嬢、君は…。」

「…未来が見える訳ではありません。」

「……。」

「ただ…〝知っている〟だけです。」

「それはー…。」

「それに…〝未来は自分の手で切り開くもの〟だから…。」

愕然としながら呟いたエリオットにそう言うと、横で話を聞いていたグレース様がその言葉を聞いて私に微笑みかけてくれた。

その様子を見ていたエリオットは何か言いたげな表情をしていたが、少し間を置いて溜息を吐くと眉を下げて微笑んでくれた。

未来を変えてしまうのは、〝彼〟クラウスの幸せを奪ってしまうのかもしれない。

けれどこの事が、今グレース様やエリオットに話した事がクラウスの幸せに繋がるなら後悔はしない。

未来を変えるのは自分自身。
それをグレース様は私に教えてくれた。

そしてそれを可能に出来るエリオットもいるのだ。必ずいい方に向かってくれると信じたい。

「…ブラン嬢、貴重な話をありがとう。必ず彼女を無事連れて帰ると約束しよう。」

「…お願いします。」

エリオットを真っ直ぐ見つめてそう言うと、エリオットは一瞬動きを止めて私を見つめた。
どうしたのだろう?と不思議に思っていると、眩しいものを見るように目を細めて私の右手の甲に唇を落とした。

「!?」

「まあ!」

驚いて固まる私の隣で、グレース様がその仕草に嬉しそうな声をあげた。
見つめるエリオットの瞳に戸惑う顔をした私が映る。

私がエリオットから手を離そうとすると、その手をギュッと握り返された。
まるで〝離さない〟と言われる様に。

「ブラン嬢、この件が片付いたら…。」

手を握られて逃げられない私に、エリオットは近距離まで近づいて何かを言いかけたーーその瞬間、部屋の扉が開いた。


入って来たのはヘクターだった。



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