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バルコニーに出て風に当てると、火照っていた顔が冷めて来た。その熱が引いて来た私はやっと冷静さを取り戻した。
『貴女が好きだ。昔からずっと。』
ふとさっきケヴィンに言われた事を思い出して、やっと治った熱が戻る。
弟の様に思っていたケヴィンが私を好き?
ストーリーではホリーに一目で恋に落ちる筈だったのに…。
私という出る事のなかった存在が邪魔をしているのだろうか?
ケヴィンの気持ちは嬉しい。けれどクラウスの顔がチラついてしまう。好意を寄せられる度に、やっぱり私はクラウスが好きなのだと改めて思い知る。
クラウスには好きな人がいるのに…。
ケヴィンもヘクターも同じ様に思ってくれているのかと思うと胸が苦しくなる。
はっきり告げよう。気持ちに応えられない。と…。
そう決意してバルコニーから会場へ戻ろうと振り向くと、知らない人が千鳥足でやって来た。
この人、相当酔ってるっ!
その男は身体中からアルコールの匂いがして、フラフラと此方へやって来る。
距離を置いて通り過ぎようとした瞬間、その男の手が伸びて来た。
「お嬢さん、こんな所で一人で何してるのかな?」
「…今、会場へ戻る所です。手を離して下さいっ!」
「どうせ男を誘おうとでもしていたんだろう?さあ、こっちで一緒に過ごそうじゃないか!」
無理矢理掴まれた手は逃げ出そうと踠いて抵抗する程にギリギリと強くなり、アルコールの匂いをさせながら男は私を自分の方へ引き寄せ様としていた。
「チッ、さあ来るんだ!」
「…っ…離してっ!!」
誰か!!
助けて!
そう思って目を瞑った瞬間、強い力で引かれたと思うと、誰かがその男と私の間に割って入って私は背中で庇われた。
「だ、誰だ!邪魔をするなっ!!」
「俺の知り合いに何か用か?」
「!?」
私を背に庇う様に立っていたのはさっき別れたばかりのヴァルだった。
「こ、此奴は俺とー。」
「俺と?何だ?」
尚も私を連れ去ろうとするその男の腕をヴァルが掴み、力を込めながら射抜く様な目でその男を見る。
ヴァルからの殺気でガタガタと震えだす男は、ヒッ…!と情けない声を上げるとフラフラと走り去って行った。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます…ヴァル様助かりました。」
私を気遣う様に見るヴァルは、私が名前を呼んだ事に驚いて目を軽く見開いた。
「…俺、お嬢さんに名乗ったか?」
「いいえ。先程ハンカチを貸してくれた方がヴァル様とお呼びしていたので…。勝手にすみません。」
「ああ、そうか。けどお嬢さん、バルコニーは暗いから危険だぞ。」
「気を付けます。ヴァル様はどうして此処へ?」
「…賑やかな場所は苦手なんだ。」
「そうなんですね。おかげで助かりました。」
「まあ、怖がらせた詫びが少しは出来たか?」
「ふふ、もう怖くないです。…っ!!」
ヴァルの目がほんの少し柔らかな物になった優しい雰囲気になった時、私は腕に痛みを覚えて眉を寄せた。
「どうした?…見せてみろ。」
「…っ!」
「…腫れてるな。彼奴…捕まえたておけば良かった。」
あの男に強く掴まれていた腕は赤く腫れ上がっていた。その腕の赤くなった場所にそっと触れたヴァルは逃した事に静かな怒りを覚えていた。
「マーガレットから離れろ。」
「「!!」」
声のした方を振り向くと、肩で息をしながら殺気を隠そうともしないクラウスが私とヴァルの方へやって来た。
「クラウス…。」
「あんたは…。(エリオット派の奴か…。)」
「…マーガレットから手を離せ。」
突然現れたクラウスに驚く私の前まで来ると、低く唸る様な声でそう言って腕に触れていたヴァルの手を引き離した。
「…っ!」
「マーガレット?」
「お嬢さん!大丈夫か?」
引き離された衝撃に晴れていた場所から痛みが走って顔を顰めると、心配するヴァルに驚くクラウス。
「マーガレット怪我を…?」
「大丈夫ですよ。」
私の腕が腫れているのに気付いたクラウスは、壊れ物を扱う様にそっとその腕を取った。
クラウスは眉を寄せて私の腫れている腕を見ている。
「連れが来たならもう大丈夫だな。俺は行くぞ。」
「あ…ありがとうございました!」
私とクラウスを交互に見たヴァルは、小さく息を吐くと会場の方へと体を向けた。
「…貴族の坊ちゃん。お嬢さんが大事なら目を離さない事だな。」
「っ!」
「お嬢さん、早く手当してもらうんだぞ?」
横目でクラウスに告げたヴァルに、更に眉を寄せたクラウス。
ヴァルは私にお大事に、そう言って今度こそ会場へと消えて行った。
何とも言えない空気の中、先に動いたのはクラウスだった。
「…痛むか?」
「…いえ、大丈夫よ。」
「…すまない。俺が無理矢理引き離したから…。」
クラウスは気遣う様に私の腕に手を添えると、眉を下げた。
ヴァルの先程の様子から私を助けたのだと察してくれたのだろう。
勘違いして、慌てて腕を引き離した事に酷く申し訳なさそうだ。
けれど、掴まれていたのは肘から上の方だ。
ヴァルが腫れた所から離れた手首の方を掴んでくれていたから、クラウスが引いても直接の腫れとは関係ない。多少の振動はあるけれど…。
「ふふ…。」
「マーガレット?」
いつも冷静なクラウスの意外な一面を見て、くすぐった様なムズムズと胸の奥が疼く様な感覚に笑みが零れた。
そんな私を不思議そうな目で見るクラウスに、
ああ…。愛しい。
素直にそんな気持ちが柔らかく自分の中に押し寄せて来た。
そんな気持ちを誤魔化す様に、私は一呼吸置いてクラウスに向き合う。
「大丈夫ですよ。それよりも、お帰りなさい。」
「…ああ、ただいま。」
クラウスが私の所へ急いで来てくれたのを思い出してそう告げると、クラウスは眩しい物を見る様に目を細めて微笑んだ。
『貴女が好きだ。昔からずっと。』
ふとさっきケヴィンに言われた事を思い出して、やっと治った熱が戻る。
弟の様に思っていたケヴィンが私を好き?
ストーリーではホリーに一目で恋に落ちる筈だったのに…。
私という出る事のなかった存在が邪魔をしているのだろうか?
ケヴィンの気持ちは嬉しい。けれどクラウスの顔がチラついてしまう。好意を寄せられる度に、やっぱり私はクラウスが好きなのだと改めて思い知る。
クラウスには好きな人がいるのに…。
ケヴィンもヘクターも同じ様に思ってくれているのかと思うと胸が苦しくなる。
はっきり告げよう。気持ちに応えられない。と…。
そう決意してバルコニーから会場へ戻ろうと振り向くと、知らない人が千鳥足でやって来た。
この人、相当酔ってるっ!
その男は身体中からアルコールの匂いがして、フラフラと此方へやって来る。
距離を置いて通り過ぎようとした瞬間、その男の手が伸びて来た。
「お嬢さん、こんな所で一人で何してるのかな?」
「…今、会場へ戻る所です。手を離して下さいっ!」
「どうせ男を誘おうとでもしていたんだろう?さあ、こっちで一緒に過ごそうじゃないか!」
無理矢理掴まれた手は逃げ出そうと踠いて抵抗する程にギリギリと強くなり、アルコールの匂いをさせながら男は私を自分の方へ引き寄せ様としていた。
「チッ、さあ来るんだ!」
「…っ…離してっ!!」
誰か!!
助けて!
そう思って目を瞑った瞬間、強い力で引かれたと思うと、誰かがその男と私の間に割って入って私は背中で庇われた。
「だ、誰だ!邪魔をするなっ!!」
「俺の知り合いに何か用か?」
「!?」
私を背に庇う様に立っていたのはさっき別れたばかりのヴァルだった。
「こ、此奴は俺とー。」
「俺と?何だ?」
尚も私を連れ去ろうとするその男の腕をヴァルが掴み、力を込めながら射抜く様な目でその男を見る。
ヴァルからの殺気でガタガタと震えだす男は、ヒッ…!と情けない声を上げるとフラフラと走り去って行った。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます…ヴァル様助かりました。」
私を気遣う様に見るヴァルは、私が名前を呼んだ事に驚いて目を軽く見開いた。
「…俺、お嬢さんに名乗ったか?」
「いいえ。先程ハンカチを貸してくれた方がヴァル様とお呼びしていたので…。勝手にすみません。」
「ああ、そうか。けどお嬢さん、バルコニーは暗いから危険だぞ。」
「気を付けます。ヴァル様はどうして此処へ?」
「…賑やかな場所は苦手なんだ。」
「そうなんですね。おかげで助かりました。」
「まあ、怖がらせた詫びが少しは出来たか?」
「ふふ、もう怖くないです。…っ!!」
ヴァルの目がほんの少し柔らかな物になった優しい雰囲気になった時、私は腕に痛みを覚えて眉を寄せた。
「どうした?…見せてみろ。」
「…っ!」
「…腫れてるな。彼奴…捕まえたておけば良かった。」
あの男に強く掴まれていた腕は赤く腫れ上がっていた。その腕の赤くなった場所にそっと触れたヴァルは逃した事に静かな怒りを覚えていた。
「マーガレットから離れろ。」
「「!!」」
声のした方を振り向くと、肩で息をしながら殺気を隠そうともしないクラウスが私とヴァルの方へやって来た。
「クラウス…。」
「あんたは…。(エリオット派の奴か…。)」
「…マーガレットから手を離せ。」
突然現れたクラウスに驚く私の前まで来ると、低く唸る様な声でそう言って腕に触れていたヴァルの手を引き離した。
「…っ!」
「マーガレット?」
「お嬢さん!大丈夫か?」
引き離された衝撃に晴れていた場所から痛みが走って顔を顰めると、心配するヴァルに驚くクラウス。
「マーガレット怪我を…?」
「大丈夫ですよ。」
私の腕が腫れているのに気付いたクラウスは、壊れ物を扱う様にそっとその腕を取った。
クラウスは眉を寄せて私の腫れている腕を見ている。
「連れが来たならもう大丈夫だな。俺は行くぞ。」
「あ…ありがとうございました!」
私とクラウスを交互に見たヴァルは、小さく息を吐くと会場の方へと体を向けた。
「…貴族の坊ちゃん。お嬢さんが大事なら目を離さない事だな。」
「っ!」
「お嬢さん、早く手当してもらうんだぞ?」
横目でクラウスに告げたヴァルに、更に眉を寄せたクラウス。
ヴァルは私にお大事に、そう言って今度こそ会場へと消えて行った。
何とも言えない空気の中、先に動いたのはクラウスだった。
「…痛むか?」
「…いえ、大丈夫よ。」
「…すまない。俺が無理矢理引き離したから…。」
クラウスは気遣う様に私の腕に手を添えると、眉を下げた。
ヴァルの先程の様子から私を助けたのだと察してくれたのだろう。
勘違いして、慌てて腕を引き離した事に酷く申し訳なさそうだ。
けれど、掴まれていたのは肘から上の方だ。
ヴァルが腫れた所から離れた手首の方を掴んでくれていたから、クラウスが引いても直接の腫れとは関係ない。多少の振動はあるけれど…。
「ふふ…。」
「マーガレット?」
いつも冷静なクラウスの意外な一面を見て、くすぐった様なムズムズと胸の奥が疼く様な感覚に笑みが零れた。
そんな私を不思議そうな目で見るクラウスに、
ああ…。愛しい。
素直にそんな気持ちが柔らかく自分の中に押し寄せて来た。
そんな気持ちを誤魔化す様に、私は一呼吸置いてクラウスに向き合う。
「大丈夫ですよ。それよりも、お帰りなさい。」
「…ああ、ただいま。」
クラウスが私の所へ急いで来てくれたのを思い出してそう告げると、クラウスは眩しい物を見る様に目を細めて微笑んだ。
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