17 / 43
17 エンジン停止
しおりを挟む
巡視船かみしまのエンジンが完全に停止した。
「船長! 予備エンジンもダメです。ブリッジ内、予備バッテリー稼働します」
「エンジンは全てダメか……」
航海長の由井は機関科と何度も連絡をとっているが、メインエンジンも予備のエンジンも再開の目処が立たないと知らされる。
「機関長と伊佐さんが、機関室に篭っているらしいですが、彼らの指示がないとエンジン再スタートはできないと」
「佐々木さんと伊佐さんが? なにか原因を掴んだのでしょうか」
「船長どうしますか。このままでは操舵不能、潮に流されるだけ。最悪は民間船と衝突です。 SOS発信しますか!」
船長の松平は、顎髭を親指のはらで弄りながら考えた。小型船ではないため、オールで方向を変えるなんてできない。なにしろこの巡視船かみしまは、石垣海上保安部で最も大きな船である。助けを呼ぶにも相応の大型船か、タグボートが必要だ。仮に、SOSを出したところであのデンジャーゾーンが待っている。他の船をみすみす危険にさらすわけにはいかない。
(自分たちで、何とかするしかない……最悪の事態はこの船だけで終わらせるしか、ない)
「日の出までの時間は?」
「えっと、約三時間です!」
「錨を下ろせ」
「え! 錨を、下ろすんですか!」
「潮に流されるのはまずい。エンジンスタートできるまでここで待つ。歌川くん、二人のところに行って状況確認を頼む。由井くん。総員に連絡を。全員、ライフジャケット装着せよ」
船長の命令は絶対である。
歌川は松平に素早く敬礼をすると、ライフジャケットを手にして船橋を飛び出した。航海長の由井は船内マイクを手に取る。
『緊急連絡、緊急連絡。総員、ライフジャケット着用しそのまま待機せよ。繰り返す! 総員、ライフジャケット着用し、そのまま待機せよ』
「巡視船かみしま、錨を下ろせ」
「錨をおろせーっ」
由井のマイクを握る手は震えていた。工作船らしき船や、こそこそ瀬取りする船、排他的経済水域に侵入しようとする船に遭遇したことはあった。しかし、今回のような原因不明で操舵不能な事案が、自身の船で起こるなんて今日の今日まで想像していなかった。
「航海長」
通信長の江口が入ってきた。
「なにかありましたか」
「いろいろと繋がらなくなりつつありますので、通信にモールスも考えなければなりません」
「しかし、電気が……」
「万が一のために、バッテリーを何台か積んでいます」
「なるほど」
「いつまでこの状態が続くのか分かりませんので、最小のエネルギーでやりたいのです。まあその前に、通信する事があればですが」
「我々も予備バッテリーは最低限の使用にとどめます」
レーダーもモニターも消えた。それでも船橋は妙に明るかった。空にはチカチカと光る星、遠くには満ちようとする月が雲を抜けてこちらを見ている。淡い光が海面に反射して、船内は青白い光に照らされていた。
白い船体に紺色のラインが走る巡視船かみしま。
外から見ればまるで、広い海に浮かぶ幽霊船のようであろう。
「由井くん、航空科を呼んでくれ」
「はい」
船長の松平はそう言うと、腕を組んだまま夜明け前の海を見つめていた。
船長は最悪の状況から最良の案を出さなければならない。この巡視船かみしまが持つ能力を、生かすも殺すも船長しだいなのだ。
◇
一方で歌川は、ライフジャケットを身につけながら船内を急ぎ足で進んでいた。虹を見たときから歌川はずっと落ち着かない状態だった。嫌な予感がすると言ったものの、自分自身その嫌な感触をうまく説明できなかったのだ。
虹とともに姿を現した綿津見、その晩に無数の怪しげな灯火が海に出現した。
(このおかしな現象を説明してくれよっ。ワダツミもなんかメッセージくらい残せよ。嫌なんだよ、あいつ以上の怪奇現象なんてさ!)
苛立ちを抑えられないまま、階段を駆け下りた。
「歌川さん! 歌川さん!」
食堂付近で歌川を呼ぶ声がした。
「誰です? 何かありましたか!」
「歌川さんっ」
ドンとぶつかる勢いで現れたのは、主計科主任の虹富まどかだった。慌てふためいた声色で、歌川の両腕をがっしりと掴んだ。
「虹富さんじゃないですか。待機しろとの命令でしたが」
「電源が落ちたから、冷蔵庫が心配で! 中、ダメになってしまう。どうしよう。みんなの食事が」
「ああ、もう。こんな時に食事の心配ですか。僕は行かなければならないところがあるんです。止めないでください」
「こんな時だから心配するんですよ! だって、私たちは皆さんの命と健康を預かる主計科です! じっと寝て待て! と仰るんですか」
「冷蔵庫は開閉しなければ数時間は持つでしょう。主計長にご相談いただけまんか!」
「もう、もう、もう! 歌川さんの、ばかー!」
虹富は歌川の掴んだ腕を上下になんどか振り回し、ばかと吐き捨ててどこかに消えてしまった。歌川は虹富の衝動を突然ぶつけられて、唖然とした。
「は? ばか? 誰が……」
もっと他に掛けるべき言葉があっただろうか。いや、自分は決して間違った対応はしていない。主計科の職務は主計科で解決すべきだ。「うん」と、歌川は自分を納得させて再び機関室に向かった。
「まったく、僕は忙しいんだ。伊佐さんを支えなければ僕がこの世界にいる意味がなくなる。明日の食事なんて心配している暇はないんですっ」
歌川は虹富の乙女心など知る由もないのである。
―― 歌川さんの、ばかー!
それでも彼女の声は、歌川の心に小さな刺し傷を残していた。
◇
「バッテリーは使えそうですか」
「通信長、大丈夫です。でも、この時代にモースルなんて理解できる船舶がありますか。日本国内ならともかく、外国船ともなると……」
「信号灯なら万国共通だ」
「でもそれって、もうSOSしかないですよね。この状況ですと」
「巡視船かみしまの現在地、どこか分かっていますか。海図を広げて、分かる人は指をさしてください」
通信長の江口は眼鏡のふちに触れ、部下たちの指の動きを見ていた。彼らは迷いなく全員が同じ場所をさした。潮の流れもきちんと読み込んだ適切な場所である。
「うんそうだね。先ほど錨が下されました。しばらくはここに留まることになるでしょう。このラインの先は明後日、海上自衛隊佐世保基地の護衛艦と訓練をする場所です」
―― 沖大東島
海上自衛隊佐世保基地が管轄している、実弾訓練も可能な海域である。
「護衛艦はソマリアの任務を終え、ここを通過して……」
「江口通信長! 彼らは我々のすぐ近くを!」
「はい。おそくとも、明日の昼過ぎには通過します」
「海上自衛隊となら、なんらかの通信が可能ですね。しかも護衛艦は、我々の船よりはるかに大きい」
「もっともこのSOSは、最後の手段です。海上保安庁のプライドにかけて、ギリギリまでもがきます。佐々木さんを信じて」
「はい!」
通信科は通信科で、あらゆる場面を想定していた。
巡視船は船長だけの力では動かせない。機関科だけでも操舵できない。航海科、通信科、それらをサポートする主計科と全ての職員の力が必要なのだ。
それぞれにプロフェッショナルとしての誇りがある。
どんなに難解な事件でも、どんなに過酷な現場に遭遇しても、全員で乗り越える。
それが巡視船かみしま乗務員の使命なのだ。
「とりあえず、周辺警戒です。見張りはストロボを付けてくださいね。とはいえ、落ちないことが肝心です」
ストロボは海に落下した時にオレンジ色に点滅し、落ちた位置を救助員に知らせることができるアイテムだ。
「はい。では、行ってきます」
錨を下ろしたからといって安全ではない。危険水域から脱した後ということもあり、他の船も航行が可能な場所である。怪しげな灯火が海に浮かんでいるとはいえ、それが消えたら暗闇と化す。
巡視船かみしまは今、電灯が消された状態だ。他の船舶との衝突事故を起こしてはならない。
今は人の眼が、何よりも重要なのだ。
十分ごとに見張員は交代することにした。緊急事態であるため、普段の当直勤務では危険すぎる。短い間隔で船外の様子を確認し、報告をさせる。それは、見張員の安全確認にもなるからだ。
万が一、海に落下した場合はいち早く発見し救助しなければならない。
誰一人として、欠いてはならない。
全員で、家族のもとに帰るのだ。
『かみしま前方、異常なし』
『かみしま右舷、異常なし』
『かみしま後方、異常なし』
左舷だけは立ち入りが許されていない。
あの光りはまだ、燈っているのか……。
「船長! 予備エンジンもダメです。ブリッジ内、予備バッテリー稼働します」
「エンジンは全てダメか……」
航海長の由井は機関科と何度も連絡をとっているが、メインエンジンも予備のエンジンも再開の目処が立たないと知らされる。
「機関長と伊佐さんが、機関室に篭っているらしいですが、彼らの指示がないとエンジン再スタートはできないと」
「佐々木さんと伊佐さんが? なにか原因を掴んだのでしょうか」
「船長どうしますか。このままでは操舵不能、潮に流されるだけ。最悪は民間船と衝突です。 SOS発信しますか!」
船長の松平は、顎髭を親指のはらで弄りながら考えた。小型船ではないため、オールで方向を変えるなんてできない。なにしろこの巡視船かみしまは、石垣海上保安部で最も大きな船である。助けを呼ぶにも相応の大型船か、タグボートが必要だ。仮に、SOSを出したところであのデンジャーゾーンが待っている。他の船をみすみす危険にさらすわけにはいかない。
(自分たちで、何とかするしかない……最悪の事態はこの船だけで終わらせるしか、ない)
「日の出までの時間は?」
「えっと、約三時間です!」
「錨を下ろせ」
「え! 錨を、下ろすんですか!」
「潮に流されるのはまずい。エンジンスタートできるまでここで待つ。歌川くん、二人のところに行って状況確認を頼む。由井くん。総員に連絡を。全員、ライフジャケット装着せよ」
船長の命令は絶対である。
歌川は松平に素早く敬礼をすると、ライフジャケットを手にして船橋を飛び出した。航海長の由井は船内マイクを手に取る。
『緊急連絡、緊急連絡。総員、ライフジャケット着用しそのまま待機せよ。繰り返す! 総員、ライフジャケット着用し、そのまま待機せよ』
「巡視船かみしま、錨を下ろせ」
「錨をおろせーっ」
由井のマイクを握る手は震えていた。工作船らしき船や、こそこそ瀬取りする船、排他的経済水域に侵入しようとする船に遭遇したことはあった。しかし、今回のような原因不明で操舵不能な事案が、自身の船で起こるなんて今日の今日まで想像していなかった。
「航海長」
通信長の江口が入ってきた。
「なにかありましたか」
「いろいろと繋がらなくなりつつありますので、通信にモールスも考えなければなりません」
「しかし、電気が……」
「万が一のために、バッテリーを何台か積んでいます」
「なるほど」
「いつまでこの状態が続くのか分かりませんので、最小のエネルギーでやりたいのです。まあその前に、通信する事があればですが」
「我々も予備バッテリーは最低限の使用にとどめます」
レーダーもモニターも消えた。それでも船橋は妙に明るかった。空にはチカチカと光る星、遠くには満ちようとする月が雲を抜けてこちらを見ている。淡い光が海面に反射して、船内は青白い光に照らされていた。
白い船体に紺色のラインが走る巡視船かみしま。
外から見ればまるで、広い海に浮かぶ幽霊船のようであろう。
「由井くん、航空科を呼んでくれ」
「はい」
船長の松平はそう言うと、腕を組んだまま夜明け前の海を見つめていた。
船長は最悪の状況から最良の案を出さなければならない。この巡視船かみしまが持つ能力を、生かすも殺すも船長しだいなのだ。
◇
一方で歌川は、ライフジャケットを身につけながら船内を急ぎ足で進んでいた。虹を見たときから歌川はずっと落ち着かない状態だった。嫌な予感がすると言ったものの、自分自身その嫌な感触をうまく説明できなかったのだ。
虹とともに姿を現した綿津見、その晩に無数の怪しげな灯火が海に出現した。
(このおかしな現象を説明してくれよっ。ワダツミもなんかメッセージくらい残せよ。嫌なんだよ、あいつ以上の怪奇現象なんてさ!)
苛立ちを抑えられないまま、階段を駆け下りた。
「歌川さん! 歌川さん!」
食堂付近で歌川を呼ぶ声がした。
「誰です? 何かありましたか!」
「歌川さんっ」
ドンとぶつかる勢いで現れたのは、主計科主任の虹富まどかだった。慌てふためいた声色で、歌川の両腕をがっしりと掴んだ。
「虹富さんじゃないですか。待機しろとの命令でしたが」
「電源が落ちたから、冷蔵庫が心配で! 中、ダメになってしまう。どうしよう。みんなの食事が」
「ああ、もう。こんな時に食事の心配ですか。僕は行かなければならないところがあるんです。止めないでください」
「こんな時だから心配するんですよ! だって、私たちは皆さんの命と健康を預かる主計科です! じっと寝て待て! と仰るんですか」
「冷蔵庫は開閉しなければ数時間は持つでしょう。主計長にご相談いただけまんか!」
「もう、もう、もう! 歌川さんの、ばかー!」
虹富は歌川の掴んだ腕を上下になんどか振り回し、ばかと吐き捨ててどこかに消えてしまった。歌川は虹富の衝動を突然ぶつけられて、唖然とした。
「は? ばか? 誰が……」
もっと他に掛けるべき言葉があっただろうか。いや、自分は決して間違った対応はしていない。主計科の職務は主計科で解決すべきだ。「うん」と、歌川は自分を納得させて再び機関室に向かった。
「まったく、僕は忙しいんだ。伊佐さんを支えなければ僕がこの世界にいる意味がなくなる。明日の食事なんて心配している暇はないんですっ」
歌川は虹富の乙女心など知る由もないのである。
―― 歌川さんの、ばかー!
それでも彼女の声は、歌川の心に小さな刺し傷を残していた。
◇
「バッテリーは使えそうですか」
「通信長、大丈夫です。でも、この時代にモースルなんて理解できる船舶がありますか。日本国内ならともかく、外国船ともなると……」
「信号灯なら万国共通だ」
「でもそれって、もうSOSしかないですよね。この状況ですと」
「巡視船かみしまの現在地、どこか分かっていますか。海図を広げて、分かる人は指をさしてください」
通信長の江口は眼鏡のふちに触れ、部下たちの指の動きを見ていた。彼らは迷いなく全員が同じ場所をさした。潮の流れもきちんと読み込んだ適切な場所である。
「うんそうだね。先ほど錨が下されました。しばらくはここに留まることになるでしょう。このラインの先は明後日、海上自衛隊佐世保基地の護衛艦と訓練をする場所です」
―― 沖大東島
海上自衛隊佐世保基地が管轄している、実弾訓練も可能な海域である。
「護衛艦はソマリアの任務を終え、ここを通過して……」
「江口通信長! 彼らは我々のすぐ近くを!」
「はい。おそくとも、明日の昼過ぎには通過します」
「海上自衛隊となら、なんらかの通信が可能ですね。しかも護衛艦は、我々の船よりはるかに大きい」
「もっともこのSOSは、最後の手段です。海上保安庁のプライドにかけて、ギリギリまでもがきます。佐々木さんを信じて」
「はい!」
通信科は通信科で、あらゆる場面を想定していた。
巡視船は船長だけの力では動かせない。機関科だけでも操舵できない。航海科、通信科、それらをサポートする主計科と全ての職員の力が必要なのだ。
それぞれにプロフェッショナルとしての誇りがある。
どんなに難解な事件でも、どんなに過酷な現場に遭遇しても、全員で乗り越える。
それが巡視船かみしま乗務員の使命なのだ。
「とりあえず、周辺警戒です。見張りはストロボを付けてくださいね。とはいえ、落ちないことが肝心です」
ストロボは海に落下した時にオレンジ色に点滅し、落ちた位置を救助員に知らせることができるアイテムだ。
「はい。では、行ってきます」
錨を下ろしたからといって安全ではない。危険水域から脱した後ということもあり、他の船も航行が可能な場所である。怪しげな灯火が海に浮かんでいるとはいえ、それが消えたら暗闇と化す。
巡視船かみしまは今、電灯が消された状態だ。他の船舶との衝突事故を起こしてはならない。
今は人の眼が、何よりも重要なのだ。
十分ごとに見張員は交代することにした。緊急事態であるため、普段の当直勤務では危険すぎる。短い間隔で船外の様子を確認し、報告をさせる。それは、見張員の安全確認にもなるからだ。
万が一、海に落下した場合はいち早く発見し救助しなければならない。
誰一人として、欠いてはならない。
全員で、家族のもとに帰るのだ。
『かみしま前方、異常なし』
『かみしま右舷、異常なし』
『かみしま後方、異常なし』
左舷だけは立ち入りが許されていない。
あの光りはまだ、燈っているのか……。
10
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。
「だって顔に大きな傷があるんだもん!」
体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。
実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。
寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。
スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。
※フィクションです。
※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる