先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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神城 颯という後輩:05

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「……またやっちゃったよ……」

駅前の表示が、すでに「運行終了」を示していた。

「あはは...また、うち来ます?」

颯が、自然なトーンで言う。
断る理由は今日もなくて
そのままふたりで並んで歩き出した。

室内は前と変わらず整っていて

どこか落ち着いた空気が流れていた。

「ごめん。シャワー、借りてもいい?」

「どうぞ。タオルはこの前と同じ場所にあります」

風呂から戻ると

颯はラグの上でストレッチをしていた。

脱力した表情で仰向けになって
静かに呼吸を整えている。

「先輩って、ほーんとシルエット綺麗ですよね」

「はは。それはどーもっ。」

「目に入っちゃいます。」

呆れたように笑いながら
コンビニのアイスを手に取る。

テレビもつけず、音も少ない夜。

ふたりは無言のまま
ゆるやかに時間を過ごした。

「……そろそろ寝ようかな…。」

「はい」

短い会話のあと、電気が落とされた。

*  *  *

朝。
柊は、薄明かりの差し込む天井を
ぼんやりと見上げていた。

喉が乾いて、キッチンで水を飲む。

その途中で、ふと足が止まった。

……ゴミ箱。

中には、明らかに使われた

ティッシュが山になっていた。

昨日の夜、そんな場面はなかったはずだ。

前に来たときも
同じようなことがあった気がする。

なんとなく、違和感だけが静かに胸に残った。

「おはようございます」

颯がカーテンを開けて
朝の光を部屋に引き入れる。

「……ありがとう。
 少ししたら、行くわ」

「もう行っちゃうんですか?」

「うん。ちょっと会社寄っていくよ。」

柊が鞄を肩にかけると
颯が玄関まで見送ってきた。

そして、ドアを開ける前に小さな声で言った。

「また……来てくださいね?」

顔を上げた颯は、寝癖の残る髪と

あどけない笑顔を見せていた。

……可愛い、と思ってしまった。

その一瞬、自分の中の何かがわずかに揺れた。

「……じゃあね。
 泊めてくれてありがとね。」

そう言ってドアを閉めたあとも

柊はなぜかすぐには歩き出せなかった。
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