先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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跨る支配:04

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「……えへへ。先輩の息が荒い。」

そう囁いたあと、颯は微笑みながら
膝の上でわずかに身をずらす。

その動きは、まるで獲物に触れる寸前の
猫のように静かでしなやかだった。

「嗅いでください…僕の、肌。」

そう言いながら
そっと鎖骨のくぼみを
柊の鼻先へ近づける。

その瞬間──ふわりと
吐息が柊の頬にかかる。
温かく、甘く、湿っている。

「……んぁっ……」

聞こえた。
颯の呼吸音。
鼻にかかるような高い息づかい。

柊の皮膚が触れるたび、かすかに吸って
ゆっくりと吐いていた。

ふっ──
すぅ──

そのリズムが
柊の心音と絡み合っていく。

ふたりの呼吸が
同じ空気の中で重なっていく。

▶︎

「ん……っ。」

もう一度小さく漏れたのは
颯の本音かそれとも演技か。
その境界はもう曖昧だった。

柊は、もう逆らえなかった。
ゆっくりと顔を寄せ
鼻先を鎖骨の
柔らかな肌に押し当てる。

そのとき、颯がぴくりと
小さく息を吸う音がした。

「……ぁ……」

反射的に跳ねるような呼吸。
自分から
さらに肌を押しつけてくる。

「ね……嗅げましたか?」

「僕の匂い……
 ちゃんと、届いてます?」

問いかけるような吐息が
耳をかすめた。
柊の喉が、ごくりと鳴る。

「……うん……やっと……
 ……嗅げた……」

その声に、颯の呼吸が
さらに深くなる。
吸って──吐いて──

柊の鼻先にかかる
その“音”すら
快感のようだった。

「んっ……先輩
 喉鳴らしましたね」

「もっと……もっといっぱい
 嗅いでください。
 奥まで……ぜんぶ、染み込ませて。」

「……」

すぅ……っ、ん……ふぅ……

「……普段は仕事ができて……
 爽やかで……イケメン...。
 みんなに慕われている……先輩。」

ずぅ……っ、くん……んっ……

「……そんな先輩が……
 部下の僕の……
 匂いを欲しがって……
 夢中になってる……」

んく……くっ……

その言葉の熱に
柊の身体がびくりと反応する。

ふたりの吐息が絡み
香りが混ざり合い、
皮膚と皮膚の距離が
限りなくゼロに近づいていく。

▶︎

「……ふふ、そんなふうに嗅がれたら……」

颯の声が
耳元でとろけるように落ちてくる。

「……本当に我慢してたんですね。」

頬が、鼻先にそっとすり寄る。
すでに差し出された肌が
さらに寄ってくる。

「そんなに一生懸命……
 匂い、吸い込んで」

「可愛すぎて
 ずっと見てたくなっちゃいます。」

言葉と吐息が交じり合い
柊の鼓膜を優しく濡らしていく。

柊は、もう目を閉じていた。
ゆっくりと、深く
香りを吸い込むたび、
心まで満たされていく感覚があった。

鼻先が微かに震える。
喉が静かに鳴る。

それだけのことで
颯は、微笑みながら囁いた。

「もっと、貪るように
 嗅いでください。
 誰も見てませんから……」

「僕の匂いで……
 先輩の中全部染めてあげます。」
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