先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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満員電車で発情させられて:04

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年が明けてからしばらくすると
社内は一気に慌ただしさを
取り戻していた。

各部署の打ち合わせ
提案資料の準備
取引先への挨拶回り――
そして、外回り。

柊も、連日スケジュールに
追われるように
出張や営業に出る日々が続いていた。

もちろん、颯も同行する。

会議室では隣に座り
移動中の車内では助手席に乗り、
ビルのロビーではそっと飲み物を手渡す。

そんな時間が
何気なく積み重ねられていく中で――

“あの日々”が、少しずつ、再開していった。

きっかけは些細だった。

営業終わりの帰り道
満員電車の中。

人波に押されながら
柊は吊り革に手を伸ばし
隣にいる颯をちらりと見た。

颯は、変わらず人懐こい顔で
少し身体を寄せてくる。

駅を出る直前
どさくさにまぎれるように
柊の手首に指先が触れた。

「……まだ、残ってますね」

「……なにが……」

「正月前に、つけたやつ。
 ほら、首元……」

そう言って、颯はさりげなく
柊のネクタイの緩みを見やる。

「もう消えたと思ってたんですけど、
 この間、ふとしたときに見えたんです。
 うっすらと……色の薄い痕が」

「…………」

「また欲しいなら言ってくださいね。
 僕、ちゃんと覚えてますから。
 それを付けられた時の
 先輩の....欲しがってた顔....」

「……」

電車のアナウンスが流れる。
柊は前を見据えたまま、小さく息を呑んだ。

騒がしい車内。
誰もふたりの会話なんて気にしていない。

けれど、耳もとで囁かれる
颯の声だけが、妙に鮮明だった。

「……ほんと、ずるいですよ。先輩」

「なんで……」

「黙ってるくせに、すぐ反応するところ」

柊は目を伏せ
吊り革を握る手に力を込めた。

その指先がわずかに震えていたのは、
立ち疲れのせいじゃない。
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