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第一章

唐揚げのお弁当と、元上司③

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それでも二年間、必死に耐えた。私のことを認めてくれる人だっていたし、仕事のスピードや出来を褒められると嬉しくて。

だけどそれが気に入らなかったのか、ますます嫌味や嫌がらせをされるようになった。



こう言われると、どうしても反論できない。

嫌がらせも、証拠までは残らない小さなものばかり。

上の人に訴えようかと勇気を出したこともあったけど、多分部長は私が言うずっと前から、気付いていたんだと思う。

ーー大ごとにしないでほしい

そんな空気を読みとって、私は「どうして何もしてくれないんだ」という言葉を、静かに飲み込んだ。

中心にたって私に嫌がらせをしている三ノ宮さんは、私より年上で会社に長く在籍しているし、仕事だってきちんとこなす人だ。

私と彼女を比べたら、どちらが残った方が会社のためになるのかなんてすぐに分かる。

お昼休み、誰もいない廊下の隅っこ。いつものその場所にパイプ椅子を出して、私は自分の作ったお弁当を広げていた。

辛い会社の中で、唯一楽しみだったこの時間。

ある日おにぎりを一口食べた瞬間、ポロポロと涙が溢れて止まらなくなって。

(私もうこれ以上、頑張れないや)

一度そう思ったら、もう止められなかった。

その勢いで次の日すぐに部長に「辞めます」と進言したら、一言だって引き止められはしなかった。

私はやっぱり、この会社に必要のない存在だったみたいだ。

そして本日、私山田来未は正式に会社を退職したというわけです。

急だったから周りに迷惑をかけたことだけが、心残りだし申し訳ない。

だけどもう、疲れてしまった。

(ごめんなさい)
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