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12.5 (マーニャside)
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レイジが自分の父親に頼んで面会してもらえる様にしたからか、思っていたよりも早くに、マーニャはアザレアの婚約者候補達に会う事が出来た。
(双子なのに、あまり似ていないのね。まあ、二人とも顔は整っているし、レイジ様よりも良いわね。しかも実家は公爵家だもの…。でも、どちらかが継ぐわけでもないのよね)
ブロット公爵家の別邸の応接室で、向かい側に並んで座る2人を見て、マーニャは思った。
「アザレアのお姉様なんですね。会えて嬉しいです」
にこやかに微笑んでくるショーに、マーニャも笑顔を返す。
「こちらこそ、お会いできて嬉しいです」
「あの…、よろしく、お願いします」
トーリの方はゴニョゴニョと、なぜか恥ずかしがるような素振りで俯き、マーニャの方を一切見ずに言った。
「どうしたんだよ、トーリ。失礼じゃないか。今まで、人にそんな挨拶をする様な事はなかっただろ?」
「……うるさい」
「本当にどうしちゃったんだよ」
(あら、もしかして、トーリ様って…)
マーニャは気を悪くした様子もなく、笑みを浮かべたままトーリに話しかける。
「もしかして…、トーリ様は女性が苦手なのでしょうか?」
「それは…いや、そうじゃなくて、あなたの事を意識してしまっているというか…」
「あら! それは、どういう事なのでしょうか?」
口角が上がってしまいそうなので、マーニャは両手で口を隠してから、驚いたふりをする。
「なんでも…、ないです」
トーリはちらりとマーニャの方を見たけれど、すぐに視線をそらしてしまう。
(公爵令息のくせに女性慣れしていないなんて変わっているわね。こういうタイプを相手にしたら、あとで鬱陶しいことになりそうな気がするわ)
「おい、トーリ、どうしたんだよ。君はそんなタイプの人間じゃないだろ? まさか、君…」
ショーが呆れた様な顔をしてトーリを見ているのを見て、マーニャは優しい笑みを浮かべてトーリに話しかける。
「良いんですよ。そのような反応をされる方には何人もお会いしていますから」
「…そう言っていただけると助かります」
トーリはまた、目を合わせないまま、マーニャに頭を下げた。
(もう、この男はアウトね。こういうタイプはアザレアの好きそうなタイプじゃないわ。どちらかというと、彼女の好きなタイプは…)
「トーリが申し訳ございません」
「お気になさらないでくださいませ。私を見て緊張してくださっているだなんて光栄ですわ」
マーニャは機嫌良く、そう答えてから、ショーに問いかける。
「アザレアはお二人にご迷惑をかけていませんか?」
「とんでもない。それにアザレアはとても可愛いので、迷惑を掛けられたとしても気になりません」
「お前はアザレア嬢と仲が良いもんな」
トーリが顔を上げて、ショーに話しかけると、ショーは笑顔で頷く。
「そうだね。このままいくと、僕がアザレアの婚約者になるよ思うよ」
(やっぱりね!)
ショーの言葉を聞いたマーニャは心の中で叫んだ後、ショーに向かって微笑みかける。
「そうなんですね。では、ショー様から見たアザレアのお話を聞かせていただきたいですわ」
「もちろんです。よろしければ、まずは、マーニャさんのお話も聞いてみたいのですが」
「あら、私のですか!?」
お互いのターゲットが決まった瞬間だった。
トーリが俯いているのは恥ずかしがっているからだと、マーニャもショーも信じ込んでいた。
マーニャは男性がこんな反応になる事は日常茶飯事だったし、ショーにしてみれば、こんな姿のトーリを見る事が初めてだったからだ。
まさか、2人が見ていないところで、トーリが嫌そうな顔をしていただなんて事に、彼女達が気付くはずもなかった。
(双子なのに、あまり似ていないのね。まあ、二人とも顔は整っているし、レイジ様よりも良いわね。しかも実家は公爵家だもの…。でも、どちらかが継ぐわけでもないのよね)
ブロット公爵家の別邸の応接室で、向かい側に並んで座る2人を見て、マーニャは思った。
「アザレアのお姉様なんですね。会えて嬉しいです」
にこやかに微笑んでくるショーに、マーニャも笑顔を返す。
「こちらこそ、お会いできて嬉しいです」
「あの…、よろしく、お願いします」
トーリの方はゴニョゴニョと、なぜか恥ずかしがるような素振りで俯き、マーニャの方を一切見ずに言った。
「どうしたんだよ、トーリ。失礼じゃないか。今まで、人にそんな挨拶をする様な事はなかっただろ?」
「……うるさい」
「本当にどうしちゃったんだよ」
(あら、もしかして、トーリ様って…)
マーニャは気を悪くした様子もなく、笑みを浮かべたままトーリに話しかける。
「もしかして…、トーリ様は女性が苦手なのでしょうか?」
「それは…いや、そうじゃなくて、あなたの事を意識してしまっているというか…」
「あら! それは、どういう事なのでしょうか?」
口角が上がってしまいそうなので、マーニャは両手で口を隠してから、驚いたふりをする。
「なんでも…、ないです」
トーリはちらりとマーニャの方を見たけれど、すぐに視線をそらしてしまう。
(公爵令息のくせに女性慣れしていないなんて変わっているわね。こういうタイプを相手にしたら、あとで鬱陶しいことになりそうな気がするわ)
「おい、トーリ、どうしたんだよ。君はそんなタイプの人間じゃないだろ? まさか、君…」
ショーが呆れた様な顔をしてトーリを見ているのを見て、マーニャは優しい笑みを浮かべてトーリに話しかける。
「良いんですよ。そのような反応をされる方には何人もお会いしていますから」
「…そう言っていただけると助かります」
トーリはまた、目を合わせないまま、マーニャに頭を下げた。
(もう、この男はアウトね。こういうタイプはアザレアの好きそうなタイプじゃないわ。どちらかというと、彼女の好きなタイプは…)
「トーリが申し訳ございません」
「お気になさらないでくださいませ。私を見て緊張してくださっているだなんて光栄ですわ」
マーニャは機嫌良く、そう答えてから、ショーに問いかける。
「アザレアはお二人にご迷惑をかけていませんか?」
「とんでもない。それにアザレアはとても可愛いので、迷惑を掛けられたとしても気になりません」
「お前はアザレア嬢と仲が良いもんな」
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