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5 こんなに君の事が好きなのに(ニールside) 

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※ ニールの心の中?です。胸糞悪くなる可能性がありますので、読み飛ばしていただいても大丈夫です!
  怖いものみたさで、ちょっと気になる、もしくは、胸糞悪くなるかもしれないけど、自分で感情をコントロールできる、という方のみ、読んでいただけますと光栄です。
 その際、ニールに対する暴言はまだ良いのですが、ヒロインへの悪口、作者の注意喚起が甘かったせいで胸糞悪くなった、こんなものを書く作者が悪いなどという苦情はご遠慮くださいませ。あくまで読むのは自己責任という形でお願い致します。








 ララベルよりも2つ年上のニールは、彼女の事が昔から好きだった。
 彼女を初めて見たのは、彼が7歳の時。

 父に五大公爵家の子供達を紹介してもらった時だった。

 その時はもうすでに、ララベルはソフィアと仲良しで、一緒に手を繋いで彼の前に現れた。
 ソフィアも可愛らしかったが、彼はララベルが本当に可愛いと思った。
 一目惚れだったのだ。

 長い年月をかけて、彼女にふさわしい男になったつもりだった。
 7年かかってやっと、ニールはララベルの婚約者の座についた。

 これからは幸せな日々が送れると信じていたニールだったが、一年後、ララベルと一緒に出た夜会で、ミーデンバーグ兄妹と再会した。

 その時に、彼は気付いた。
  
 ララベルが、フィアンにだけ、他の人間には見せない表情を見せる事に。

 ニールはそれを見て、嫉妬した。

(ララベルは、あの男が好きなのか!? 彼女は俺のものなのに! どうして、ララベルはあんな男がいいんだ!?)

 フィアンはニールと同じ年だった為、昔から、ニールは彼と比べられていた。

 名門の公爵家の父、戦闘に優れた部族長の娘の母を持つフィアンは、頭もよく、武術に長けたオールマイティな人間だった。
 その為、父にはよく彼と比べられて、ため息を吐かれていた事もあり、一部の男子から、フィアンがゴリラと揶揄されている事を知っていたニールは、この時から、フィアンの事をゴリラと呼ぶ事に決めた。

「ララベル」

 ソフィア達の会話に夢中になっているララベルに声を掛けると、慌てて、彼女はニールの元へと戻ってきて、彼に謝罪する。

「ごめんなさい。久しぶりだったものですから、長話をしてしまいましたわ」
「いや、いいんだ。話したいなら話してくればいい」
「何を言っていらっしゃいますの。本日の夜会はあなたと」
「うるさい! 俺が嫌なら、あの男の所へ行けばいいだろう!」
「…あの男? 何を言っていらっしゃいますの?」

 13歳のララベルは、この時、ニールが自分の気持ちに気付いたなどと思っていなかった為、真剣に聞き返していた。
 それに気が付かない彼は、ララベルに向かって叫んだ。

「あっちへ行け! 君の顔なんて見たくもない!」
「一体、どうされたと言うんですの?」
「…何を揉めているんですか」

 ララベルと親しい他の公爵家の跡取りが話しかけてきたため、ニールはララベルを、彼の方に突き飛ばして叫ぶ。

「気分が悪くなりましたので、彼女をお願いできますか」
「女性を突き飛ばすだなんて、紳士のやる事ではありませんよ」
「いいのよ、ワイアット」
「ですが」

 ララベルは、ニールの方を見て力なく微笑む。

「お身体をお大事になさって下さいね」
「うるさい!」

 そう叫んで、ニールはララベルをその場に残して、会場から去った。
 この出来事について、ミーデンバーグ公爵家からとワイアットの家であるレストバーン公爵家からメフェナム家に苦情がいき、それから、ニールはララベルとの夜会の出席を成人するまで禁じられる事となった。

 素直になれない彼は、彼女への気持ちは募っていくばかりだったが、謝罪も出来ないまま、月日が過ぎていった。

 そして、今度は、自分に何の関心も持ってくれない、ララベルを責めるようになる。

(俺はこんな気持ちになっているのに、ララベルはどうしてわかってくれないんだ!?)

 年に何度か会う事があっても、ララベルは笑顔を見せてくれるが、あの時、フィアンに見せた様な笑顔を彼には見せてくれなかった。

 それが当たり前だという事にも気付けなかった。

(どうしたら、ララベルはわかってくれるんだ? そうだ! 普通、婚約者が浮気をする様な事をしていたら、嫉妬するはずだ!)

 彼はこれを名案とばかりに思い、彼が18歳になった頃から、女遊びを始める様になった。

 けれど、全く、ララベルに嫉妬の様子はなかった。

(どうしてだ!? どうして嫉妬しない!?)

 彼は悩み、そして考えた。

(そうか。目の前で浮気しないからわからないのか!)

 いくら、自分の住む土地で浮気しても、ララベルの住んでいる場所は遠すぎる上に、情報統制のため、領地から自分の情報が流れていないのだと気が付いた。

 そして、あのカフェでの出来事に繋がる。

 あのカフェをララベルがよく利用している事を知っていて、ララベルの予約が入った時には連絡をいれる様に、店の人間を買収していた。

 けれど、彼の願いは叶わなかった。

 浮気している彼を見つめる、ララベルの目には嫉妬というより、嫌悪感しか見えなかった。


(どうしたら、君は俺を好きになるんだ…。こんなに君の事が好きなのに…)

 あの日、ニールはララベルが去ったカフェで頭を抱えていたのだった。

 
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