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38 大事な事を忘れてました
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招待の手紙を受けてから数日後、私達はサナトラを経由して、マヌグリラに入国する事にしたため、何の挨拶もせずに素通りしていくわけにはいかず、サナトラの国王陛下、アスラン王太子殿下に挨拶を済ませたあと、この日はサナトラの宿で一夜を過ごす事になった。
ちなみにマヌグリラはサナトラの隣国で、世界で8カ国ある内の一番小さな国だった。
私達の国、アダルシュから向かうとなると、サナトラか、もう一カ国を経由しないといけない位置にある。
地理が苦手なことがバレてからは、ユウヤくんが夜に時間を割いてくれて、地理だけじゃなくて歴史などについても教えてくれたので、だいぶ知識がついたと思っている。
まあ、ユウヤくんやラス様みたいに本をまるまる暗記する頭はないけど。
あまり目立って動きたくないからと、今回の旅は私とリアの侍女さん各二人と、馬車の台数分の御者さん、それから護衛は騎士団の人ではなく、ユウヤくん達の知り合いだという、見た目は人と変わらないけれど魔族のイケメン兄弟の二人が、私達と一緒に旅をしてくれている。
今晩は自由時間という事で、いつものメンバーで晩ご飯を食べに行くことにして、宿の人がおすすめだという店に入り、運ばれてきた料理に舌鼓をうっていたのだけど、ラス様とリアが話している内容が耳に入ってきて、ついつい聞いてしまう。
「そういえばラス様」
「なんでしょう?」
「あれを送ってきた人って、お姫様の護衛騎士でしたっけ?」
「その話をちょうどしようと思ってました」
丸テーブルを囲んで、私の隣がリアとユウヤくんなのだけど、リアの隣はユウマくんではなく、わざわざラス様が座ったから、何か話したい事があるんだろうな、とは思ってたんだけど、やっぱり何かあったのかな。
ユウマくんも気になるみたいで、リアに話しかけた。
「あれってなんだよ」
「ん? 言ってなかったっけ?」
「何をだよ」
「果たし状をもらってたの」
リアがけろりとした表情で答える。
「果たし状?!」
私も初耳だったので、ユウマくんと一緒に聞き返してしまった。
「あ、そっか。ユーニはユウヤくんと先に戻ったから、あの時に言えてなかったんだ」
「どういう事?」
「ほら、お茶会の件でラス様の執務室で、ユウヤくんも一緒に話をしたでしょ?」
「そういえば、リアちゃんだけ残ってたな」
ユウヤくんがその時を思い出したのか、私を見て続ける。
「あの、マーガレット嬢の話をした時だよ」
「あ、そっか。リアも気になる手紙があるって言ってたもんね」
私もなんとか記憶を掘り起こして頷いた。
「果たし状ってどういう事だよ」
「そのまんま。ユウマくんを賭けて剣で戦えって手紙が来たの。というか、普通に平民相手に騎士が剣で戦えなんて理不尽すぎない?」
ユウマくんがもう一度聞きなおすと、リアが眉間にシワを寄せて答える。
「リアが剣をたしなんでるのを相手は知ってるって事か?」
「いや、調べたところ、リアさんが騎士団の練習に混じっている事は城内より外には漏れ出していないようですから、相手が誰であれ確実に勝てると思ったんでしょうね。まあ、それだけ自信があるのかもしれませんが」
ユウマくんの言葉をラス様は否定すると、リアを見て続ける。
「まあ、リアさんは普通のお嬢さんとは違いますから、思っている結果にはならないでしょうけど」
「それ、褒め言葉ですよね?」
「そうですね。ただ、過信して無茶はしないでください」
「承知しました!」
リアは明るく言うけど、私は心配でしょうがない。
隣に座るリアの袖を引っ張って言う。
「剣で戦ったりするの? なんかもっと危なくないのでできないの?」
「知らない。なんにしても決闘の件はラス様からお断りしてもらったから大丈夫よ」
「そうなんですか?」
リアの言葉を聞いて、今度はラス様に聞くと、つまんでいた魚のフライを食べ終わったあと答えてくれる。
「リアさんは一般の女性ですので、騎士である女性と決闘なんでできません、という旨のお返事を丁寧に書かせていただきました」
「そうなんですね。で、リア、その後は何か連絡が来たりしたの?」
「そういえば、何も連絡はなかったけど、その話をしようと思ってた、って、ラス様はさっき、言っておられましたよね?」
リアがラス様の方に振り返ると、ラス様は頷いてから口を開く。
「先程、アスラン王太子殿下から連絡をいただきまして、どうやら私達に連絡されていないイベントがある事がわかりました」
「どういう事だ?」
ユウヤくんが眉間にシワを寄せて聞き返すと、ラス様は周りを気にしてから、テーブルに身を乗り出し小声で言った。
「どうやら、殿下達をかけてのゲームをするようです。アスラン王太子殿下は、公平性を見極める為の第三国のゲストとして呼ばれたようです」
「殿下って、どの殿下だよ」
今度はユウマくんが聞くと、
「あなた達に決まってるでしょう」
呆れた顔をしてラス様が答えた。
「オレもかよ」
ユウマくんはリアの話を聞いているから、ありえない事もないけど、ユウヤくんは何でなんだろう?
と、そこまで考えて思い出した。
ユウヤくんはお姫様に好かれてるんだっけ。
「ゲームってどんなのだろ?」
「そこまではアスラン王太子殿下も聞いていないようです。ただ、チーム戦、もしくはペア戦になるのではないか、と思言われておられました。まあ、詳しい話はこんな所ではしにくいので、リアさんには後ほど改めて説明いたします」
私達のテーブルの周りに人が多く入りだしたので、ラス様はそこで話題を強制的に打ち切った。
それから数日後、私達はサナトラを抜け、マヌグリラに入国、そして、また1日ほどかかって、マヌグリラの王都に入った。
私とリアはまだ婚約者状態だし、しかも平民という事で、国賓扱いは断わったため、ユウヤくんとユウマくんは城内に部屋が用意されたけれど、私達は自分達で部屋を探さないといけなかった。
マヌグリラの陛下に到着の挨拶を済ませた私達は、城外で待っていたラス様や侍女さん、護衛の人達と合流した。
「護衛に付いてくれている彼らもいますから、身の安全は大丈夫にしても、二人を野放しにするわけにはいきませんので、私も同じ宿に泊まります」
ラス様の言葉を聞いて、私とリアはホッと胸をなでおろしたけど、すぐに何かひっかかって聞き直した。
「野放しにする、って言いました?」
「いいえ。聞き間違えでは?」
「言ってたぞ」
ユウヤくんがラス様を指さして言う。
ラス様はユウヤくんを睨んだあと、私とリアに向かって笑顔で言う。
「お二人で大人しくしていられますか?」
「無理ですね」
「無理だと思います」
リアと私の順番で答えて、大きく首を横に振る。
「ユーニに手ぇ出すなよ」
「あなたじゃあるまいし・・・・・」
「リアにも手ぇだすなよ」
「お前ら兄弟が王族じゃなかったら、今、確実に殴ってる」
人目があるからか、ラス様は握った拳をなんとか身体の横に戻して続ける。
「リアさんは特に大人しくしておいてくださいよ」
「はーい」
そうリアが頷くのを見て、私はふと、何かがひっかかった気がした。
なんだろう。
なんか大切なことを忘れているような?
マヌグリラの王族の人に、リアの実力を知られてはいけない。
第一王子はアスラン王太子殿下を暗殺しようとしていた間抜けな二人のうちの一人・・・。
って・・・。
「ああ!!」
「どうした?!」
突然、叫んだせいで隣にいたユウヤくんが驚いて、私に聞いてくる。
皆の視線が自分に集まったのを確認してから答える。
「大変な事を思い出した」
「なんだよ?」
「第一王子ってアスラン王太子殿下を狙ってた人なんですよね」
「そうですが、何か?」
ラス様が小首をかしげる。
あの時、ラス様は少し遅れてきたから、余計にわからないんだろう。
リアに視線を送ると、不思議そうにしたあと、気がついたらしく口に手を当てた。
「やばいわね」
「一体、なんなんだよ」
呟いたリアにユウマくんが尋ねると、リアが答えた。
「私、考えたら第一王子の前で暴れてるかもしれない」
「はあ?」
男性陣三人の声が綺麗にそろった。
ちなみにマヌグリラはサナトラの隣国で、世界で8カ国ある内の一番小さな国だった。
私達の国、アダルシュから向かうとなると、サナトラか、もう一カ国を経由しないといけない位置にある。
地理が苦手なことがバレてからは、ユウヤくんが夜に時間を割いてくれて、地理だけじゃなくて歴史などについても教えてくれたので、だいぶ知識がついたと思っている。
まあ、ユウヤくんやラス様みたいに本をまるまる暗記する頭はないけど。
あまり目立って動きたくないからと、今回の旅は私とリアの侍女さん各二人と、馬車の台数分の御者さん、それから護衛は騎士団の人ではなく、ユウヤくん達の知り合いだという、見た目は人と変わらないけれど魔族のイケメン兄弟の二人が、私達と一緒に旅をしてくれている。
今晩は自由時間という事で、いつものメンバーで晩ご飯を食べに行くことにして、宿の人がおすすめだという店に入り、運ばれてきた料理に舌鼓をうっていたのだけど、ラス様とリアが話している内容が耳に入ってきて、ついつい聞いてしまう。
「そういえばラス様」
「なんでしょう?」
「あれを送ってきた人って、お姫様の護衛騎士でしたっけ?」
「その話をちょうどしようと思ってました」
丸テーブルを囲んで、私の隣がリアとユウヤくんなのだけど、リアの隣はユウマくんではなく、わざわざラス様が座ったから、何か話したい事があるんだろうな、とは思ってたんだけど、やっぱり何かあったのかな。
ユウマくんも気になるみたいで、リアに話しかけた。
「あれってなんだよ」
「ん? 言ってなかったっけ?」
「何をだよ」
「果たし状をもらってたの」
リアがけろりとした表情で答える。
「果たし状?!」
私も初耳だったので、ユウマくんと一緒に聞き返してしまった。
「あ、そっか。ユーニはユウヤくんと先に戻ったから、あの時に言えてなかったんだ」
「どういう事?」
「ほら、お茶会の件でラス様の執務室で、ユウヤくんも一緒に話をしたでしょ?」
「そういえば、リアちゃんだけ残ってたな」
ユウヤくんがその時を思い出したのか、私を見て続ける。
「あの、マーガレット嬢の話をした時だよ」
「あ、そっか。リアも気になる手紙があるって言ってたもんね」
私もなんとか記憶を掘り起こして頷いた。
「果たし状ってどういう事だよ」
「そのまんま。ユウマくんを賭けて剣で戦えって手紙が来たの。というか、普通に平民相手に騎士が剣で戦えなんて理不尽すぎない?」
ユウマくんがもう一度聞きなおすと、リアが眉間にシワを寄せて答える。
「リアが剣をたしなんでるのを相手は知ってるって事か?」
「いや、調べたところ、リアさんが騎士団の練習に混じっている事は城内より外には漏れ出していないようですから、相手が誰であれ確実に勝てると思ったんでしょうね。まあ、それだけ自信があるのかもしれませんが」
ユウマくんの言葉をラス様は否定すると、リアを見て続ける。
「まあ、リアさんは普通のお嬢さんとは違いますから、思っている結果にはならないでしょうけど」
「それ、褒め言葉ですよね?」
「そうですね。ただ、過信して無茶はしないでください」
「承知しました!」
リアは明るく言うけど、私は心配でしょうがない。
隣に座るリアの袖を引っ張って言う。
「剣で戦ったりするの? なんかもっと危なくないのでできないの?」
「知らない。なんにしても決闘の件はラス様からお断りしてもらったから大丈夫よ」
「そうなんですか?」
リアの言葉を聞いて、今度はラス様に聞くと、つまんでいた魚のフライを食べ終わったあと答えてくれる。
「リアさんは一般の女性ですので、騎士である女性と決闘なんでできません、という旨のお返事を丁寧に書かせていただきました」
「そうなんですね。で、リア、その後は何か連絡が来たりしたの?」
「そういえば、何も連絡はなかったけど、その話をしようと思ってた、って、ラス様はさっき、言っておられましたよね?」
リアがラス様の方に振り返ると、ラス様は頷いてから口を開く。
「先程、アスラン王太子殿下から連絡をいただきまして、どうやら私達に連絡されていないイベントがある事がわかりました」
「どういう事だ?」
ユウヤくんが眉間にシワを寄せて聞き返すと、ラス様は周りを気にしてから、テーブルに身を乗り出し小声で言った。
「どうやら、殿下達をかけてのゲームをするようです。アスラン王太子殿下は、公平性を見極める為の第三国のゲストとして呼ばれたようです」
「殿下って、どの殿下だよ」
今度はユウマくんが聞くと、
「あなた達に決まってるでしょう」
呆れた顔をしてラス様が答えた。
「オレもかよ」
ユウマくんはリアの話を聞いているから、ありえない事もないけど、ユウヤくんは何でなんだろう?
と、そこまで考えて思い出した。
ユウヤくんはお姫様に好かれてるんだっけ。
「ゲームってどんなのだろ?」
「そこまではアスラン王太子殿下も聞いていないようです。ただ、チーム戦、もしくはペア戦になるのではないか、と思言われておられました。まあ、詳しい話はこんな所ではしにくいので、リアさんには後ほど改めて説明いたします」
私達のテーブルの周りに人が多く入りだしたので、ラス様はそこで話題を強制的に打ち切った。
それから数日後、私達はサナトラを抜け、マヌグリラに入国、そして、また1日ほどかかって、マヌグリラの王都に入った。
私とリアはまだ婚約者状態だし、しかも平民という事で、国賓扱いは断わったため、ユウヤくんとユウマくんは城内に部屋が用意されたけれど、私達は自分達で部屋を探さないといけなかった。
マヌグリラの陛下に到着の挨拶を済ませた私達は、城外で待っていたラス様や侍女さん、護衛の人達と合流した。
「護衛に付いてくれている彼らもいますから、身の安全は大丈夫にしても、二人を野放しにするわけにはいきませんので、私も同じ宿に泊まります」
ラス様の言葉を聞いて、私とリアはホッと胸をなでおろしたけど、すぐに何かひっかかって聞き直した。
「野放しにする、って言いました?」
「いいえ。聞き間違えでは?」
「言ってたぞ」
ユウヤくんがラス様を指さして言う。
ラス様はユウヤくんを睨んだあと、私とリアに向かって笑顔で言う。
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「無理ですね」
「無理だと思います」
リアと私の順番で答えて、大きく首を横に振る。
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「リアにも手ぇだすなよ」
「お前ら兄弟が王族じゃなかったら、今、確実に殴ってる」
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「はーい」
そうリアが頷くのを見て、私はふと、何かがひっかかった気がした。
なんだろう。
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マヌグリラの王族の人に、リアの実力を知られてはいけない。
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って・・・。
「ああ!!」
「どうした?!」
突然、叫んだせいで隣にいたユウヤくんが驚いて、私に聞いてくる。
皆の視線が自分に集まったのを確認してから答える。
「大変な事を思い出した」
「なんだよ?」
「第一王子ってアスラン王太子殿下を狙ってた人なんですよね」
「そうですが、何か?」
ラス様が小首をかしげる。
あの時、ラス様は少し遅れてきたから、余計にわからないんだろう。
リアに視線を送ると、不思議そうにしたあと、気がついたらしく口に手を当てた。
「やばいわね」
「一体、なんなんだよ」
呟いたリアにユウマくんが尋ねると、リアが答えた。
「私、考えたら第一王子の前で暴れてるかもしれない」
「はあ?」
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