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第6章 王族との接触
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門を開ければ、先に彼らが入ってしまうため、裏門からという話になった。
でも、こちらも馬車で移動しているものだから、その話をしている間に二人に見つかってしまった。
「セフィリア! 一体、どういうことなんだよ!? 君は本当にランシード殿下と婚約するつもりなのか!? 僕がいるのに?」
窓から外を覗いた時に、デスタと目が合ってしまい、彼は馬車の近くにやって来て叫んだ。
何をふざけたことを言ってるのかしら。
ランシード様も同じことを思ったのか、呆れた顔で話しかけてくる。
「書類だけ渡して、セフィリアも今日は一緒に迎賓館に泊まろう。荷物は持ってきてもらえば良い」
「そうですね」
そのうち、お父様が腹を立てて、二人共を追い返しそうな気もする。
でも、それまで待っているのも面倒だった。
「セフィリア! 君はランシード殿下といつ知り合ったんだ!?」
「そうですよ! あなたはわたくしと婚約していたはずです! それなのに、わたくしと婚約破棄をしてすぐにランシードを殿下と婚約だなんて、わたくしが目を離した好きに浮気していたとしか考えられません!」
デスタだけでなく、ロビースト様までもがやって来てしまった。
どうして、ロビースト様まで来ているのかしら?
ランシード様は二人を見て大きくため息をつくと、馬車の窓を開けて叫ぶ。
「ラソウエ公爵、セフィリア嬢に暴力をふるったのは誰です? 命の危険があると感じられる女性を保護しようとしないほうがおかしいでしょう」
「ランシード殿下は誤解しておられます! 愛があれば暴力だとは言いません! 愛があるからこそのしつけです」
「何を言ってんだよ」
ロビースト様の発言に、ランシード様の声色がシード様の時のものに変わった。
「え? セフィリアはラソウエ公爵に暴力をふるわれていたのか? なんて酷いことを!」
「浮気して二股かけようとしていた人に言われたくありませんね!」
デスタが非難すると、ロビースト様が食ってかかた。
二人が言い争っている間に、ディエル様が話を付けてくれたようで、馬車が動き出す。
それと同時に開門され、一台分の馬車が通れるスペースができた。
このままいけば、書類だけじゃなく、わたしたちも中に入れそうだわ。
ラソウエ公爵家の馬車もロイアン伯爵家の馬車も、乗ってきた人物が馬車に乗っていないので動けない状態になっている。
「えっ? あ、ちょっと待ってくれ、セフィリア!」
「セフィリア嬢! 許しませんよ!」
デスタとロビースト様の叫ぶ声が聞こえた。
二人を無視して、ライシード様に尋ねる。
「どうして、ロビースト様がここにいるんでしょうか」
「さあね。もしかしたら、君の姉が戻ってきているのかもしれないな」
「まさか」
あれだけ、ロビースト様に執着していたんだもの。
帰ってきたりしていないはず。
そう思っていたけれど、屋敷に入ってすぐに、わたしの目の前にお姉様が現れた。
別れてそんなに日にちが経っていないのに、少し痩せているように見えた。
今まで着ていたドレスに余裕ができているのでわかる。
でも、それよりも驚いたことがあった。
ピンク色の丈の長いドレスのせいで足は見えない。
でも、お姉様は足を悪くしたのか、車椅子に乗っていた。
お姉様の口の端は切れたのか真っ赤になっていて、目の下には青あざが出来ていた。
片目はまぶたが腫れ上がり、ほとんど瞳が見えない状態になっている。
「セフィリア、ごめんなさい。助けて。私、このままじゃ殺されてしまうわ」
お姉様は涙を流して、わたしに助けを求めてきた。
でも、こちらも馬車で移動しているものだから、その話をしている間に二人に見つかってしまった。
「セフィリア! 一体、どういうことなんだよ!? 君は本当にランシード殿下と婚約するつもりなのか!? 僕がいるのに?」
窓から外を覗いた時に、デスタと目が合ってしまい、彼は馬車の近くにやって来て叫んだ。
何をふざけたことを言ってるのかしら。
ランシード様も同じことを思ったのか、呆れた顔で話しかけてくる。
「書類だけ渡して、セフィリアも今日は一緒に迎賓館に泊まろう。荷物は持ってきてもらえば良い」
「そうですね」
そのうち、お父様が腹を立てて、二人共を追い返しそうな気もする。
でも、それまで待っているのも面倒だった。
「セフィリア! 君はランシード殿下といつ知り合ったんだ!?」
「そうですよ! あなたはわたくしと婚約していたはずです! それなのに、わたくしと婚約破棄をしてすぐにランシードを殿下と婚約だなんて、わたくしが目を離した好きに浮気していたとしか考えられません!」
デスタだけでなく、ロビースト様までもがやって来てしまった。
どうして、ロビースト様まで来ているのかしら?
ランシード様は二人を見て大きくため息をつくと、馬車の窓を開けて叫ぶ。
「ラソウエ公爵、セフィリア嬢に暴力をふるったのは誰です? 命の危険があると感じられる女性を保護しようとしないほうがおかしいでしょう」
「ランシード殿下は誤解しておられます! 愛があれば暴力だとは言いません! 愛があるからこそのしつけです」
「何を言ってんだよ」
ロビースト様の発言に、ランシード様の声色がシード様の時のものに変わった。
「え? セフィリアはラソウエ公爵に暴力をふるわれていたのか? なんて酷いことを!」
「浮気して二股かけようとしていた人に言われたくありませんね!」
デスタが非難すると、ロビースト様が食ってかかた。
二人が言い争っている間に、ディエル様が話を付けてくれたようで、馬車が動き出す。
それと同時に開門され、一台分の馬車が通れるスペースができた。
このままいけば、書類だけじゃなく、わたしたちも中に入れそうだわ。
ラソウエ公爵家の馬車もロイアン伯爵家の馬車も、乗ってきた人物が馬車に乗っていないので動けない状態になっている。
「えっ? あ、ちょっと待ってくれ、セフィリア!」
「セフィリア嬢! 許しませんよ!」
デスタとロビースト様の叫ぶ声が聞こえた。
二人を無視して、ライシード様に尋ねる。
「どうして、ロビースト様がここにいるんでしょうか」
「さあね。もしかしたら、君の姉が戻ってきているのかもしれないな」
「まさか」
あれだけ、ロビースト様に執着していたんだもの。
帰ってきたりしていないはず。
そう思っていたけれど、屋敷に入ってすぐに、わたしの目の前にお姉様が現れた。
別れてそんなに日にちが経っていないのに、少し痩せているように見えた。
今まで着ていたドレスに余裕ができているのでわかる。
でも、それよりも驚いたことがあった。
ピンク色の丈の長いドレスのせいで足は見えない。
でも、お姉様は足を悪くしたのか、車椅子に乗っていた。
お姉様の口の端は切れたのか真っ赤になっていて、目の下には青あざが出来ていた。
片目はまぶたが腫れ上がり、ほとんど瞳が見えない状態になっている。
「セフィリア、ごめんなさい。助けて。私、このままじゃ殺されてしまうわ」
お姉様は涙を流して、わたしに助けを求めてきた。
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