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第15話 お断りします
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ローリーの家に行ったジェインの事が気になって、夜の内に彼の家に連絡を取ろうかと思ったけれど、非常識だろうと思ってやめておいた。
もし、ジェインに何かあったとしたら、逆にこちらに連絡が来るはずだし、何の連絡もないという事は、ジェインは何事もなく家に帰ったという事だから。
次の日の朝、教室でジェインが来るのを待っていると、ジェインはいつもと変わらない様子で登校してきた。
「おはよう、ジェイン」
「おはよう、リリアーナ」
立ち上がって挨拶をした、わたしの様子を見て、昨日の事を知りたがっている事に気付いてくれたのか、ジェインは苦笑する。
「リリアーナにローリーからの伝言を預かってるんだ。内容が内容だから、あまり人に聞かれたくない。放課後、空いてる日はあるか?」
「今日でも大丈夫よ! ジェインは昨日は大丈夫だった? ローリーに何か言われたりしなかった?」
「ああ。ローリーも元気そうだったよ。精神的には辛そうだったけどな。じゃあ、今日の放課後、少し時間をくれるか?」
「もちろん!」
ジェインが元気そうなのでホッとしてから首を縦に振った。
そして、放課後の教室でジェインから話を聞く事になった。
本当はカフェとかに行ってもいいんだけど、デートだと勘違いされても困るし、誰もいなくなった教室で話す事にした。
変に怪しまれても困るので、扉は大きく開いたままで、廊下から見えやすいようにしておいた。
わたしの席の男子生徒はジェインとは仲が良いので、その人の席に座ったジェインと向かい合って話す。
「ローリーからの伝言ってどんな事なの?」
子爵夫妻の話を軽く聞いてから、本題に入ると、ジェインはなぜか眉を寄せた。
「どうかしたの? 言いにくい事?」
「言いにくい事というか、何を考えてるんだって言いたくなる様な事だな」
そう言ってから、ジェインが尋ねてくる。
「絶対にリリアーナが聞いたら腹が立つ事だと思うから言わない方が良くなってきた。大体、考えたら何で俺がこんな事をリリアーナに伝言しないといけないんだ」
ジェインはとりあえず、話だけしようと思っていたみたいだけれど、わたしを前にしたら、言うのも嫌になってきたみたいだった。
「でも、ジェイン。あなたが教えてくれなかったら、ローリーがわたしに手紙なりなんなり送ってくるんじゃないかしら?」
「ローリーには、リリアーナには伝えたって嘘をついたらいいんじゃないか?」
「それに対する、わたしからの返事を求められたら何て答えるの?」
「嫌がってたって言おうかなと」
「もう! ジェインのその様子だと、ローリーにはすぐにバレると思うわ! つかなくても良い嘘をつく時のジェインはすぐに顔に出るんだから! わたしの事は気にしなくていいから、ローリーが何を言っていたか教えてくれない?」
ジェインはかなり躊躇っている様子だけれど、いつか聞く事になるなら、ローリーの口からではなくジェインから聞いた方がマシだと思ったので、ジェインが話し出すのを待っていると、観念した様に大きく息を吐いてから口を開く。
「ローリーはエルダン男爵令嬢の事で責任を取らないといけないという事は理解したらしい」
「それは良かったわ」
「だけど、リリアーナの事も諦められない」
「そんな事を言われても困るわね」
「だから、その」
「何?」
ジェインはわたしから視線をそらして、ぼそりと言った。
「愛人になってほしいって」
「……は?」
「いや、だから、やっぱり言うのを止めようと思ったんだよ! 本当にごめん!」
「聞こえなかったわ。もう一回言ってくれない?」
「いや、だから、ローリーはリリアーナの事を一番に思っているから、誰にも渡したくないらしくて…、でも、エルダン男爵令嬢を妻にしないといけないなら、この国は一夫多妻制は認めていないけど、愛人は認めてるっていう事で、愛人になってほしい…って事らしい」
「…ふざけないでほしいわ!」
わたしがバンッと机を叩いて言うと、ジェインが手を合わせて謝ってくる。
「本当にごめん! 一応、怒ってはおいたけど、リリアーナが望んでるはずだって言われた以上、こんな事でも言った方が良いのか迷ったんだよ」
「ジェインが謝る事じゃないわよ! 世の中には愛人でも良いから好きな人と一緒にいたいと思う人もいるし、それに、その人の考え方だから本妻が許すなら良いと思うけれど、わたしはお断りだわ! ジェインがわたしにその事を伝える事を断ってもどうせ手紙を送ってくるだけなんだから、ジェインは謝らなくていいわ! ローリーに直接そんな事を言われていたら殴っていたかもしれないもの。第三者であるジェインに教えてもらえたから暴力をふるわずに済んだんだから! 手紙で書かれても本人の顔を思い出すから絶対に嫌だし!」
「ローリーに何て答えておけばいい?」
「もちろん、お断りします、という返答しかないわ」
この時は、ジェインの方からローリーにその答えを伝えてもらう様にお願いしたのだけれど、腹の立つ事に、ローリーはジェインが嘘をついていると思い込み、そのせいでジェインに迷惑をかける事になるのだった。
もし、ジェインに何かあったとしたら、逆にこちらに連絡が来るはずだし、何の連絡もないという事は、ジェインは何事もなく家に帰ったという事だから。
次の日の朝、教室でジェインが来るのを待っていると、ジェインはいつもと変わらない様子で登校してきた。
「おはよう、ジェイン」
「おはよう、リリアーナ」
立ち上がって挨拶をした、わたしの様子を見て、昨日の事を知りたがっている事に気付いてくれたのか、ジェインは苦笑する。
「リリアーナにローリーからの伝言を預かってるんだ。内容が内容だから、あまり人に聞かれたくない。放課後、空いてる日はあるか?」
「今日でも大丈夫よ! ジェインは昨日は大丈夫だった? ローリーに何か言われたりしなかった?」
「ああ。ローリーも元気そうだったよ。精神的には辛そうだったけどな。じゃあ、今日の放課後、少し時間をくれるか?」
「もちろん!」
ジェインが元気そうなのでホッとしてから首を縦に振った。
そして、放課後の教室でジェインから話を聞く事になった。
本当はカフェとかに行ってもいいんだけど、デートだと勘違いされても困るし、誰もいなくなった教室で話す事にした。
変に怪しまれても困るので、扉は大きく開いたままで、廊下から見えやすいようにしておいた。
わたしの席の男子生徒はジェインとは仲が良いので、その人の席に座ったジェインと向かい合って話す。
「ローリーからの伝言ってどんな事なの?」
子爵夫妻の話を軽く聞いてから、本題に入ると、ジェインはなぜか眉を寄せた。
「どうかしたの? 言いにくい事?」
「言いにくい事というか、何を考えてるんだって言いたくなる様な事だな」
そう言ってから、ジェインが尋ねてくる。
「絶対にリリアーナが聞いたら腹が立つ事だと思うから言わない方が良くなってきた。大体、考えたら何で俺がこんな事をリリアーナに伝言しないといけないんだ」
ジェインはとりあえず、話だけしようと思っていたみたいだけれど、わたしを前にしたら、言うのも嫌になってきたみたいだった。
「でも、ジェイン。あなたが教えてくれなかったら、ローリーがわたしに手紙なりなんなり送ってくるんじゃないかしら?」
「ローリーには、リリアーナには伝えたって嘘をついたらいいんじゃないか?」
「それに対する、わたしからの返事を求められたら何て答えるの?」
「嫌がってたって言おうかなと」
「もう! ジェインのその様子だと、ローリーにはすぐにバレると思うわ! つかなくても良い嘘をつく時のジェインはすぐに顔に出るんだから! わたしの事は気にしなくていいから、ローリーが何を言っていたか教えてくれない?」
ジェインはかなり躊躇っている様子だけれど、いつか聞く事になるなら、ローリーの口からではなくジェインから聞いた方がマシだと思ったので、ジェインが話し出すのを待っていると、観念した様に大きく息を吐いてから口を開く。
「ローリーはエルダン男爵令嬢の事で責任を取らないといけないという事は理解したらしい」
「それは良かったわ」
「だけど、リリアーナの事も諦められない」
「そんな事を言われても困るわね」
「だから、その」
「何?」
ジェインはわたしから視線をそらして、ぼそりと言った。
「愛人になってほしいって」
「……は?」
「いや、だから、やっぱり言うのを止めようと思ったんだよ! 本当にごめん!」
「聞こえなかったわ。もう一回言ってくれない?」
「いや、だから、ローリーはリリアーナの事を一番に思っているから、誰にも渡したくないらしくて…、でも、エルダン男爵令嬢を妻にしないといけないなら、この国は一夫多妻制は認めていないけど、愛人は認めてるっていう事で、愛人になってほしい…って事らしい」
「…ふざけないでほしいわ!」
わたしがバンッと机を叩いて言うと、ジェインが手を合わせて謝ってくる。
「本当にごめん! 一応、怒ってはおいたけど、リリアーナが望んでるはずだって言われた以上、こんな事でも言った方が良いのか迷ったんだよ」
「ジェインが謝る事じゃないわよ! 世の中には愛人でも良いから好きな人と一緒にいたいと思う人もいるし、それに、その人の考え方だから本妻が許すなら良いと思うけれど、わたしはお断りだわ! ジェインがわたしにその事を伝える事を断ってもどうせ手紙を送ってくるだけなんだから、ジェインは謝らなくていいわ! ローリーに直接そんな事を言われていたら殴っていたかもしれないもの。第三者であるジェインに教えてもらえたから暴力をふるわずに済んだんだから! 手紙で書かれても本人の顔を思い出すから絶対に嫌だし!」
「ローリーに何て答えておけばいい?」
「もちろん、お断りします、という返答しかないわ」
この時は、ジェインの方からローリーにその答えを伝えてもらう様にお願いしたのだけれど、腹の立つ事に、ローリーはジェインが嘘をついていると思い込み、そのせいでジェインに迷惑をかける事になるのだった。
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