待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!

風見ゆうみ

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24  侵入する

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 二階の屋根に登りやすそうな場所を探し、そこから私とルーは屋根に登ると、あまり音を立てないように気を付けて、静かに屋根の上を移動した。
 私達が目的の家の近くに来たのを確認すると、エロさんが見張りの男達に絡みに行く。

「おーおー、こんな遅くに何してんだ? 見かけねぇ顔だけど、ナンパか? こんな時間に? 明るい時間でもひっかかる奴はいねぇんじゃね?」
「なんだと!」

 血の気の多い人間が多いのか、簡単に挑発にのってくれ、男二人はエロさんに襲いかかっていく。

「行くぞ」
「はい」

 エロさんの事は気になるけれど、任せて大丈夫なのだと信じて、家から家の屋根に飛び移り、目的の建物の屋根に飛び降りた。
 屋根の上から下を見下ろすと、エロさんが2人を片付けて、私にウィンクした後、注意を引き付けるため、家の扉を叩いた。
 そして、出てきた相手に先程のように、うざ絡みする。
 見張りの男達が倒されているのが見えるように、わざと自分の後ろに積み重ねていた。
 それを見た、一階にいたと思しき男達が数人出てきた。
 
「リアラ」

 エロさんが気になってみていると、小さな声でルーに名を呼ばれ、慌てて振り返る。

「ごめんなさい」
「あいつは大丈夫だから」

 優しく頭を撫でられたので、ときめいてしまったけれど、こんな所で何を考えているのかと、自分の額を軽く叩く。

「大丈夫です。いけます」

 屋根の上から身を乗り出して、窓から中が見えるかを確認する。
 ありがたい事にカーテンはされておらず、1つ目の部屋には休憩しているのか、ガラの悪そうな男達が5人ほどで酒盛りをしていた。
 三角の屋根を足元に気を付けながら移動し、隣の部屋を覗いてみる。
 さすがにこっちはカーテンがしめられていたけれど、きっちりとはしまっておらず、隙間から中を見ると、明かりがついていて、ミュラーが倒れているのが見えた。

「…!」

 気を失っているのか、ミュラーは目を閉じている。
 猿轡をかまされ、足と手首はロープで結ばれていた。
 シャツには血の跡のような赤い大きな染みが出来ていて、怒りで頭に血が上りそうになった。

 ミュラーの姿は運良く見えたけれど、中に見張りがいるのかどうかは、今の段階では見えなかった。

 でも、やるしかないわよね?

「どうするつもりです?」
「そろそろ2階の奴らも外が騒がしい事に気付くだろう。一階に降りていったところで侵入する。派手にやれば、エロの方に行く人間も減るだろ。だからわざと音をたてる」
「わかりました」

 隣の部屋の方にまた移動し、まだ酒盛りをしているかどうか確認すると、さすがに外の様子に気が付いたらしく、男たちが慌ただしく部屋から出ていく所だった。

「やるぞ」
「はい!」

 ルーの言葉に返事を返すと、ルーは屋根にぶら下がったかと思うと、人がいなくなった部屋の窓枠を思い切り蹴り飛ばした。
 元々、古い家で長い間、人が使っていなかったせいなのか、窓は木枠ごと部屋の中に落ち、床に落ちた窓ガラスが派手に音を立てた。

 ルーが中に入ったあと、私も屋根にぶら下がり、振り子のように反動をつけて、割れた窓ガラスを少しでも踏まないように中に入ろうとしたけれど、さすがに無理だった。

「おっとと」
「大丈夫か?」
「はい!」

 よろけた私の身体をルーが支えてくれた。
 ここは、いつもならときめく所なんだけど、今はそうもいかなかった。

「何だお前ら!」

 音を聞きつけた男達が、私達の入ってきた部屋にやって来て叫び、そして私を見て続ける。

「お前! お前を探してたんだ! よくも兄貴を!」

 どうやら、私がかかと落としをして差し上げた男性は、彼の兄弟なのか、もしくは、親しい人物らしい。
 ちなみに、兄貴と呼ばれた彼は、今は牢屋の中だ。
 貴族に手を出そうとしたのだから、出てくる事は難しいだろう。

 男は殴りかかってきたけれど、私とルーはひらりと交わして部屋を出る。
 
「おい! 逃げるな!」

 交わされた男は身を翻して、私達の方に向かってきたけれど、ルーが開いていた内開きの扉を閉めるふりをして、突進してきた男の身体に向かって、勢い良く扉を開いた。
 男は扉に体当りした形になり、鼻を打ったのか、鼻をおさえてうずくまる。

「うふふ。私に用事があったみたいですけど、私にはないんです。それではさようなら」

 そう言って、私の言葉に鼻をおさえながら顔を上げた男の額に踵で蹴りを入れ、後ろにのけぞった男の顎に、今度はつま先で蹴りを入れた。

「ま…、待て…」
「待つわけないでしょ」

 後ろにヒックリ返った男の急所を蹴ってから、笑顔で手を振った。
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