待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!

風見ゆうみ

文字の大きさ
27 / 34

25  お姫様抱っこされる

しおりを挟む
 廊下に出ると、狭い所でルーがミュラーがいた部屋から出てきた男を相手にしていた。
 相手はナイフを持っていたけれど、ルーは男の懐に入り、眉間、鼻、口に流れるようにパンチを入れたあと、だらりと垂れ下がった男の手をつかみ、手をひねりあげてナイフを落とさせた。
 
 私がそのナイフを階段の方に蹴り飛ばすと、音を立てて一階に落ちていった。
 廊下は狭いので、ルーと男一人が向かい合うだけで、道は塞がれてしまうので、どうしようか迷っていると、ルーが意識がなくなりかけている男をつかみ、私に道を開けてくれたので、急いで通り抜けるた。
 扉は開いたままだったので、部屋の前に立って確認すると、部屋の中にはまだ、男が2人残っていた。
 1人は気を失っているミュラーの首にナイフを当てていた。
 そして、もう1人は相手が私だったことに驚いたのか、目を見開いたあと、にやりと笑った。

「やっぱりこいつを捕まえて良か」

 男が言い終える前に、間合いを一気に詰めて、喉にグーパンを入れて黙らせると、喉をおさえてかがんだ男の頬をめがけて回し蹴りをする。
 男の身体がよろけて、ミュラーにナイフを突きつけていた男の方に倒れ込んだ。

「な、なんて、女だ! げほっ」

 咳き込みながら、蹴られた男は続ける。

「話をしていた途中だったんだぞ!」
「別に話を聞く必要ないでしょ? なんで、あなたが話し終わるまで待たないといけないの?」

 律儀に答えてから、折り重なって倒れている男達に近付くと、下敷きになっている男の手を踏みつけて、ナイフを手からはなさせる。
 すると、上になっていた男が尻もちをついた状態で、私の足をつかもうとしたので、腕をつま先で蹴り上げたあと、がら空きになった顔面に膝蹴りを入れた。
 男の鼻に膝が入ったため、鼻血が飛び散り、私の膝丈のドレスのすそについてしまった。

「ああ、また怒られちゃうわ」

 帰って、このドレスの汚れを見られたら、また侍女に呆れた顔をされてしまう。
 そんな事を思っていると下敷きになっていた男が下から這い出ると、私と戦う事は諦めたのか、立ち上がってルーの方に行こうとするものだから、足を引っ掛けた。
 たたらを踏んだけれど、しぶとくそのまま部屋から出ていき、背中を向けているルーに襲いかかろうとしたけれど、気付いていたルーが横蹴りで対応した。
 腹を蹴られて、勢いで部屋の中に戻ってきた男の髪の毛を今度は私が後ろからつかんで、両足の膝の裏側ににつま先で蹴りを入れて引きずり倒し、つかんでいた髪をはなすと、移動してから、男の横腹に蹴りを入れた。
 
 あんまり同じ所を強く蹴って、内臓が破裂したりしたら大変だしね。
 戦場ではないんだし、さすがに令嬢が人殺しするわけにはいかないわ。
 
「大丈夫か?」

 私よりも多く人数をさばいてくれたルーが部屋の中に入ってきて、私が倒した男二人の顎を蹴って、確実に失神させたあと尋ねてきた。

「大丈夫です。うーん、でも、もうちょっとパワーが欲しいですね」
「もう十分だろ。君は強いと思う」
「でも、一発では倒せないんですよ」

 ルーに答えたあと、ミュラーのうめき声が聞こえて、慌てて、ミュラーの方に振り返った時だった。

「ボス、お嬢! 上に1人上がったぞ!」

 エロさんの声が聞こえ、開けっ放しにしていた扉の方に振り返ると、廊下に筋肉隆々の大柄な男が立っていた。

「エロの奴、めんどくさがってわざわざ、こっちにふってきやがったな」

 ルーが呆れた顔で呟く。
 それと同時、私の中で試してみたかった、もう1つの事を思い出し、ルーに言った。
 
「また、受け止めてもらえます?」
「何するつもりだ」

 ルーが呆れた表情のまま私を見る。

「シンプルな攻撃です」

 そう言って、私は扉から1番遠い、窓の方へ足を進める。

「おい、逃げるつもりか!」

 叫んできた男に対し、私は手を伸ばして言う。

「ちょっと、まだこっちに来ないで」
「はあ?」
「こっちから行くから! ルー! お願いしますね!」
「だから、何をするつもりなんだよ!?」
「飛び蹴りです!」

 もうちょっと助走が欲しいところだけど、たぶんいける!
 走り出し、ちょうど扉の前でうつ伏せに倒れていた男の大きな背中を踏み台にして、ジャンプした。

 大柄な男だったため、狙っていた男の顎は無理だったけれど、みぞおちにうまく入ったらしく、男はうめき声を上げて後ろに倒れた。

「まったく!」

 そして、私が地面に落下する前に、ルーが前回とは違い、立ったまま両手で受け止めてくれた。

 きゃーーー!
 私、ルーにお姫様抱っこされてる!!
 ああ、駄目。
 顔がにやけてしまう。

「なあ、リアラ」
「…なんでしょう?」

 上目遣いでルーを見上げると、彼が首を傾げた。

「君は蹴りが成功すると、にやける癖でもあるのか?」
「そんな訳ないでしょう!」

 鈍感にもほどがあるんじゃない!?
 でもまあ、そんなところも好きなんだけど…。
しおりを挟む
感想 50

あなたにおすすめの小説

【完結】結婚しておりませんけど?

との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」 「私も愛してるわ、イーサン」 真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。 しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。 盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。 だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。 「俺の苺ちゃんがあ〜」 「早い者勝ち」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\ R15は念の為・・

【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」 今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。 ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。 「リリアーナ、だからごめんってば」 「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね

との
恋愛
離婚したいのですか?  喜んでお受けします。 でも、本当に大丈夫なんでしょうか? 伯爵様・・自滅の道を行ってません? まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。 収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。 (父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる) ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

【完結】チャンス到来! 返品不可だから義妹予定の方は最後までお世話宜しく

との
恋愛
予約半年待ちなど当たり前の人気が続いている高級レストランのラ・ぺルーズにどうしても行きたいと駄々を捏ねたのは、伯爵家令嬢アーシェ・ローゼンタールの十年来の婚約者で伯爵家二男デイビッド・キャンストル。 誕生日プレゼントだけ屋敷に届けろってど〜ゆ〜ことかなあ⋯⋯と思いつつレストランの予約を父親に譲ってその日はのんびりしていると、見たことのない美少女を連れてデイビッドが乗り込んできた。 「人が苦労して予約した店に義妹予定の子と行ったってどういうこと? しかも、おじさんが再婚するとか知らないし」 それがはじまりで⋯⋯豪放磊落と言えば聞こえはいいけれど、やんちゃ小僧がそのまま大人になったような祖父達のせいであちこちにできていた歪みからとんでもない事態に発展していく。 「マジかぁ! これもワシのせいじゃとは思わなんだ」 「⋯⋯わしが噂を補強しとった?」 「はい、間違いないですね」 最強の両親に守られて何の不安もなく婚約破棄してきます。 追伸⋯⋯最弱王が誰かは諸説あるかもですね。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 約7万字で完結確約、筆者的には短編の括りかなあと。 R15は念の為・・

【完結】婚約破棄の次は白い結婚? ちょっと待って、それって私可哀想すぎると思うんだけど・・

との
恋愛
婚約破棄されるって噂を聞きつけたけど、父親から 【命に関わるから我慢しなさい】 と言われ、言いたい放題の人達に文句も言わず婚約破棄を受け入れたエリン。 ところが次の相手は白い結婚だ!と言い出した。 えっ? しかも敷地内に恋人を囲ってる? 何か不条理すぎる気がするわ。 この状況打開して、私だって幸せになりますね。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 大幅改訂しました。 R15は念の為・・

【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ

との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。 「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。  政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。  ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。  地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。  全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。  祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済。 R15は念の為・・

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】離婚しましょうね。だって貴方は貴族ですから

すだもみぢ
恋愛
伯爵のトーマスは「貴族なのだから」が口癖の夫。 伯爵家に嫁いできた、子爵家の娘のローデリアは結婚してから彼から貴族の心得なるものをみっちりと教わった。 「貴族の妻として夫を支えて、家のために働きなさい」 「貴族の妻として慎みある行動をとりなさい」 しかし俺は男だから何をしても許されると、彼自身は趣味に明け暮れ、いつしか滅多に帰ってこなくなる。 微笑んで、全てを受け入れて従ってきたローデリア。 ある日帰ってきた夫に、貞淑な妻はいつもの笑顔で切りだした。 「貴族ですから離婚しましょう。貴族ですから受け入れますよね?」 彼の望み通りに動いているはずの妻の無意識で無邪気な逆襲が始まる。 ※意図的なスカッはありません。あくまでも本人は無意識でやってます。

処理中です...