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10、かね予定通りです
しおりを挟む「ミレーユ様、これは如何しますか?」
小さな家と小さな店。
店自体は小さいけれど、これでも色々と手広くやっている。
手作りだけれど人形、アクセサリー、布小物、ドレスの装飾品や手作りのお菓子まで。
前世の記憶を思い出しまだ数年…
何かあっても大丈夫なように……なんてやっていたものが本当に役に立つとは思わなかった。
出来れば役に立つ未来など来て欲しくはなかったのだけれど、来てしまったものはしょうがない。
そう心の中で思いながらも溜息が出てしまう。
成人の祝いのパーティー日。
何もかも諦めて会場に向かったはずだったのに、出会ってしまった…彼に。
本当の事を言うと、前世の自分がなぜ死んだのかは分からない。
前世の記憶を思い出したと言っても、所々虫食い状態の記憶だ。
ただ、あの人の記憶だけはしっかり覚えている。
結婚の約束をした、好きだった彼。
あの日前世の名前で呼ばれ、思わず振り向いてしまったけれど、あの人は全部覚えていたりするのだろうか?なぜ、二人この世界に生まれ変わったのか、理由を知っていたりするんだろうか?
聞きたい…話したい……そして、傍にいたいと思う。
もう叶わない事なのかもしれないけれど。
「まだ、公爵家の人間がウロウロしているのかしら…」
私を道具としか見ていない両親は、婚約破棄された私を慰めるわけもなく勘当した。
そして何を思ったのか、数日たった今は私を探しているという話を聞いた。
いくら頼まれても、あそこにはもう帰らないけどね。
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