9 / 70
9、アホの子なの?
しおりを挟む違う方からの切り崩しっていうとあれか。噂の男爵の令嬢か。
過去、王である父も引っ掛かり、その子…王太子候補である兄上まで引っ掛かるお決まりな展開過ぎて、この国の将来が不安だと思うのは俺だけなのか…。
思わず考え込んでしまいそうになった時、後ろから聞き慣れた…それでいて久しぶりに聞く声がした。
「殿下、お久しぶりでございます。後ほどお話がございますので、詳しくは後ほど……」
そう言って、男爵令嬢の件の報告を始めた。
それによると、これまたお決まりなラノベ展開だった。
曰く、男爵家当主の落胤であった令嬢は、この世界では珍しい聖魔法の適性があった。
それを見た、正妻との間に子がない男爵は養女として彼女を迎え入れた。そして、成人のお披露目のパーティーで、他意か故意か定かではないが、王子に近づき耳障りのいい言葉を囁き、そしてミレーユに害意のある噂を流し、婚約破棄宣言と共に断罪したらしい。
「で……彼女は…ミレーユはどうなった…」
一番確認しなければいけない事だ。
お決まりな展開なら追放か?
あの公爵家なら王家が何も言わなくてもやりかねない。
「ミレーユお嬢様の身柄の安全確保はしてございます。ご令嬢であることが勿体ない才をお持ちでございます。その件につきましても後ほどゆっくり……では」
そう言って物音も立てず去っていったトマスを見て、彼の国での職を聞いた。
「彼は暗部に所属している。元はお前の母が拾った子供だった。恩返しだと言って、妃が亡くなったあとはお前に付きたいと言っていたのでな…」
王に嫌々付けられたものだと思っていたから驚いた。
「お前が隣国にあやつを伴わなかった時の怒りようは最悪であった。お前も覚悟しておくとよいぞ」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
278
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる