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28、拉致監禁系?

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ミレーユの後ろ盾等々の手回しを頼み、ひたすら筆算をし、気がつけば外は暗くなりかけていた。そして…そろそろ夕食の呼び出しが来る頃かとペンを置いた。


少し前に筆算をした紙も処分して、誰が来ても違和感がないようには片付けた。次期国王候補…まだ正式ではないけれど王太子となった今、今までのようにプラプラしてはいけないのは解っている。


今、こうしている間にも護衛はいて、扉に二人、天井に一人、窓の外に一人といった具合に、目に入らずとも常に4、5人はついている。以前もついていたが、常に付いているのは一人だった。


まぁ、公にしていないだけで俺には魔法があるし、剣技でも遅れは取らないつもりだけど、どんな手練が来るのか分からないから気が抜けない。


まぁ…あとはハニートラップか。
そこは一般的に考えれば要注意な所だけど、俺には効かない…。と、格好良く決めてみたが、理由はなんとも情けない事情だ。


色々と上手くいって、ミレーユが俺を受け入れてくれるのが一番の解決策だけれども、上手くいかない場合……ミレーユが俺を受け入れてくれなければ、将来的な事も考えれば、多少強引な事も考えないといけないんだろうか……だんだん憂鬱になっていく思考を止められずにぼーっとしていると、ノックの音と共にトマスが入ってきた。


「殿下、執務お疲れ様でした。逃げ出してしまわれるのではと危惧しておりましたが、アルベト殿下とは違うようで安心致しました」


だいぶトゲがあった気がするが…まぁいいや。それより…兄上は抜け出していたのか?
疑問に思って聞くと、とんでもない報告が上がった。


「廃嫡後の手続き後、話しがしたいというメイドや使用人がおりまして、時間をとって聞いてみたのですが……」


兄上はあの男爵令嬢を事実上監禁していたらしい。


兄上はどこかのパーティーで令嬢を見初めたらしく、取り巻きの一人に彼女を呼び出すよう指示し、後にほぼ拉致に近い状態で城に連れてきたようだ。そして無理やり関係を持ち、それを盾に令嬢に婚姻を承諾させた…らしい。


「ご令嬢の家の者はなんと?」


男爵家ではいきなりいなくなった令嬢を探していた時、城から書状が届き『第一王子と婚姻するのでこのまま城に留まる』とあったらしい。身分違いで苦しむのは娘の方だと、何度か城にも来て面会を望んだが叶えられず…手紙も送ったが返事もこず…。


とうとう婚約発表までしてしまったので、諦めて娘の幸せを祈ろう……そんな風になんとか納得していたそうだ。


「思っていたよりゲスいな…他にも色々出て来そうだな……」


俺の兄上は犯罪者だったようだ。
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