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39、落ち込むヘタレ
しおりを挟む下を向いたままのミレーユの次の言葉を待っていると、少し落ち着いたのかまた話し始めた。
「別に虐めようだとか、アルベルト殿下から引き離そうとは欠片も思いませんでしたのに……」
ただ話しをしたかったそうだ。兄上がああだったから、自分の話しは聞かなくても令嬢の話しならば聞くだろうと思ったそうだ。けれど引き合わせるどころか、顔を見ることさえできなかったらしい。
同じ王城の中にいると言うのに……とは言っても、兄上が令嬢をほぼ監禁していたことを考えれば、しょうがないことだったのかもしれない。
「まぁ…あれだ。あれだったからな。兄上は…」
半月程前に発表された兄上の所業…というか処遇。
罪の内容までは発表しなかったけれど、関係各者には…詳しく聞きたい者には包み隠さず……とはいかなかったので、ほどほどボカシて話しをした。幽閉している兄上を一般人が暗殺する…というのは難しいかも知れないが、無いことはないかも知れない。なので、復讐を思いつかないように…と祈りつつ話した。
もちろんミレーユには包み隠さず話した。
今後のこと……いまだ進展はないけれど、俺との今後もしかして…ということもあるし、最初…かどうか分からないけれど、公の立場で貶められたのは彼女が最初だ。聞く権利はもちろんあるだろう。そう思って話しをした。
自分で手配した兄上の色々を考えて溜息をつく。
腹違いとはいえ、今まで兄上と呼んでいた人を裁く準備を、自分で手配したことを少し気に病んでいる。
自分から言い出した事なのに落ち込む自分がヘタレだな…と思った。
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