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第三章

9 寝取りの提案

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だが、それをすらりと躱す青龍殿。
「当たり前だろうが?こやつの国にお前らを連れて行くことは出来ぬ。瘴気がバーミリアや焔なぞ非にならんくらい汚染されている国のようだからな」
「「えっ???どうしてそんなことが・・・・・・・」」
「それは、スイに聞くかレギウスに聞くかしろ」
「俺は話さん。そのスイというお方が話してくださるまで、俺の口からは話さない、人間風情にはな」
「ほ~~~レギウス、スイを敬うか!よいよい!お前の方がスイの伴侶に相応しい!!スイに話しておく!」
「「青龍殿!!」」
「ふ、冗談ではない。できる者をスイの傍に置きたいと思うは親心だ」
「「ぐっ!!」」
失態を回復するにはそれ相応の態度と覚悟、そして栄誉が必要だ。
一体何時になれば認められるのか、正直不安しかないのが憎いところだ。
「それよりも、魔王国でスイは力を使う。だが、その場に身体を合わせる者がいなければ、あやつは快楽を苦痛と捉え、狂い死んでしまう。それだけは避けねばならん!だが、お前らを連れて行くことは絶対に出来ぬ。あの国に入国しよう者ならお主ら一人残らず狂うだろう」
「ならば、なぜあの国の者たちは狂っていないのですか?」
「それにスイがこの世界に来たときに『秘薬』を入れた湯に浸かっていたのですが、それでは駄目なのでしょうか?」
「ジルフォードの問いの答えは、それは魔族であるからだ。『魔』の力、つまり『黒』に対する能力は人間共より高い。そして、そこにいるレギウスが自らの身体を使い、瘴気を自分に集めていたから何とか持ちこたえられていたに過ぎない」
「ああ、そういうことだ。だが、俺ももう正直限界だった。俺の身体はあちこち瘴気で肌の色が変色し、息も上がるのが早くなり、呼吸が苦しくなることもしばしばだったのだ」
「本当によく堪えた。その褒美にスイを抱かせてやる」
「いえ、青龍殿、それはスイ殿次第でございます。私如きがかの者に触れるなど、あってはならぬことだと思っております」
「はっはっは!気に入った!!!スイには伝えておく。あやつも『嫌』とは言うまい。現状を冷静に見れるあいつならばな」
「はっ!そのときは誠心誠意愛情を持って、優しく愛させて戴きます」
「うむ、それでよい」
と、納得されてしまった!!!
「ジオルドの問いの答えだが、使用は『否』だ。あまりの瘴気の濃さにあの秘薬ではとてもではないが、反動は拭いきれまい。ましてやそれを使おう物なら、逆に反発して副作用は強化されてしまう可能性だってあるのだ」
「つまり、『性』を中に取り込んだ方がスイの『身』としては一番安全だということでしょうか?」
「その通りだ。漸く理解出来たようだな」
指輪を取りに戻ろうとした足は縫い止められたかのように前に進まない。
「何をしている二人とも?早く取ってこないか?もう時間はないのだぞ」
青龍殿のこのひと言で、足をやっと前に出せ、そして、「廊下を走るな!」という兄上の言葉など聞こえないくらいの猛スピードで自室へと駆け抜けたのだった。
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