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第三章

52 アーダルリア神聖国

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「白い街、白い服、どこもかしこも白いとくれば・・・・・・」
「ええ、アーダルリア神聖国でしょうね」
レインがそっと地図に指を這わすと、
「他国と積極的に交易を『望まない』国です。ですが・・・・・・」
「ああ、『自国の利益』だけは恐ろしいほどに執着し、我がフィルハートが『帝国』であり他国からの信頼などが厚いのを嫉んでいてな」
皆が表情を曇らせ、眉間にとんでもない皺を寄せている。
「つまり『自国については内情を開示しないが、他国については執着が凄まじい』と捉えていいんだな?」
「つまりも何も『その通りだ』というしかないのが現状だな」
俺は溜息をもちろん吐いたわ。
だってな、

「自分勝手な国だな。そんなの他国の協力など仰げないだろに」
「全くド正論だ。どの国も神聖国との交易は絶った状態だ。『自国』に利益をもたらさず、害悪だけが入国するのだからな」
ん????んんん???
「ちょっと、待ってちょうだい。「害悪」って何を現しているのかしら?病原菌、宗教、それとも・・・・・・・・精神論?」

精神論

菖蒲がそう言葉にした瞬間、フィルハートの者たちは顔を思いっきり顰めたのだ。


「『宗教』と言えば宗教なのだ。だが、彼らは『精神論』だと主張していてな。魔国を一方的に敵視していた我々が言えることではないのだが、他人種を『否定』するんだよ、神聖国は」
「ふ~~~ん、俺たちが最も嫌う『差別』をね~~~」
俺の言葉に、ジオルドとジルフォード、それに団長たちは反論できず表情を隠し、そして、想像だにしない行動を取ったのだ。


ガバリ

「「「「「!!!!!?????」」」」」

彼らは俺たちに頭を下げたのだ。
あのプライドの高い、王子たちが。騎士たちが、だ。

思わず近くにいた菖蒲と目を合わせ、丁度斜め左にいる桃季に目配せするも、首を横に振るだけ。

「スイレンたちのおかげで目が覚めた。我々は今までとんでもないことを続けていたのだと」
「何が『帝国』だ。何が『被差別国』だ!俺たちがそれを行っていたんだと思うとどうにかなりそうだ!!」

ああ、そう受け取ったか・・・・・・・・。

「あのさ、ジオルド、ジル、顔を上げろよ」
「「・・・・・・・・」」
王族に頭を下げさせた俺って、第三者から見るとただの『極悪人』か『王族の失態を呷った一人』としか映らなくね??
「まじで、頭上げろ。話ができん」
「あ、ああ・・・・・・・・・・・・・・」
漸く、聞く体勢になったのでとりあえずソファへ促す。
トボトボと歩を進める様はなんと滑稽なことか。
これが俺の伴侶かと思うと・・・・・・
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