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しおりを挟む「エドワード様・・・私は・・・。」
突然のエドワード様に何を言っていいかわからず言葉がでてこない。
あんなに会いたかったのに。会って話がしたかったのに。
今のユキ様との会話を聞かれていたかと思うと何を言っていいのかわからなくなる。
「誤解です。」と言いたい。「違います。」と言いたい。
でも、「逃げたい。」と少なからず思ってしまった自分がいる。
「知ってたよ。レイチェルが必死に努力して私の隣にいようとしたことも、レイチェルが皇太子妃に向いていないことも。」
「えっ・・・。」
「なら、別れてあげなさいよ。」
エドワード様の目が優しくなった・・・?
以前みたいに優しい眼差しで私を見ているエドワード様。
エドワード様は私が心の奥底で思っていたことに気づいていたようだ。
ふわっとエドワード様の暖かい手が私の髪に触れた。
「わかっていたんだ・・・。わかってはいたのだが、それでも、手放せなかったんだ。だから、妊娠させて私の側においておこうと思ったんだ。そうすればレイチェルは私から逃げられないだろうと思った。」
「え?」
「はあ!?なにそれ!!」
エドワード様は私が逃げられないように私を妊娠させたというの?
私が皇太子妃という重圧に負けて逃げ出さないように。
そんなことのために・・・。
そんなことしなくても、私はエドワード様の隣にいるのに。
「さいてーよ。最低だわ!」
ユキ様の口から低い声がもれた。今まで聞いたユキ様の声の中でも一番低い声。
あきらかにエドワード様を軽蔑しているような声だ。
「っていうか!ゲームと違うわ!!なんで、レイチェルが妊娠してるのよ!!そんなこと私は知らない!!おかしいわ!マコトも知っているの!?」
ユキ様が「違う。」「違う。」と何度も繰り返す。
ゲーム?
ゲームって私が時々見たあの夢のこと?
「マコトも知らないだろう。まだ極少数にしか言っていない。あまり周りに告げてまわらなくてよかったと思っている。」
エドワード様は淡々と告げる。
ユキ様は不敬罪と言われてもおかしくないことを言っているが、エドワード様はそのことについてはなにも言わなかった。
私はあまりのことに声すら出せなかった。
本当ならば聞きたい。
私を側に置くために妊娠までさせたのに、今になって私を無視したり、冷たくなったのは何故って。その理由を確認したい。
でも、それを確認するのが怖い。怖くて仕方がないのだ。
「・・・どちらにしろ、レイチェルが貴方のそばにいることはよくないわ。エドワード、レイチェルを逃がしてあげてちょうだい!!」
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