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しおりを挟む「レイ様、お食事をお持ちいたしました。」
「え?あ、ありがとうございます?」
ガラガラとワゴンを引きながらメイドが、やってくる。
ワゴンの上にはどうやら食事が乗っているらしかった。とても良い匂いが漂ってくる。
ぐーーーっ。
「あっ。」
自分では気づいていなかったが、どうやらお腹が空いていたようだ。
あれからどれだけの時が経っていたのだろうか。
「どうぞ、お召し上がりくださいませ。」
メイドはそう言って、食事の用意をしてすぐに下がっていく。
「待ってください。あの、私どれくらいここで寝ていたんでしょうか?」
「………丸一日寝ておりました。」
綺麗な礼をすると、メイドはそう言って部屋から出ていった。
どうやら、あのメイドに、私は嫌われているようだ。
視線がとても冷たかった。
丸一日も寝てしまっただなんて、それほど痺れ薬が強かったのだろうか。
用意された食事はパン粥だった。そうだよね、丸一日寝ていたのだから、胃に優しい食べ物を用意してくれたようだ。
スプーンで口にパン粥を運ぶ。
「………美味しい。」
冷たい視線とは異なり、用意された食事はとても美味しかった。少々量が物たりなかったけれども。
「食べ終わりましたか。それでは、下げさせていただきます。」
食べ終わってスプーンを置くとすぐに先程のメイドが来て、空の食器を下げていった。
なんとも躾が行き届いているようだ。
「あの、エドワード様は?ご無事ですか?」
「申し訳ございません。お答することは出来ません。」
エドワード様の姿をキョロキョロと探すが見当たらなかったので、メイドに声をかけてみる。しかし、望んだ解答は得られなかった。
「あの、じゃあ私はなぜここにいるか知ってたら教えてくださるかしら?」
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