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番外編
その後のマコト2
しおりを挟む「マコト様。マコト様は何か悩み事でもあるのでしょうか。私でよろしければ話を聞かせてください。」
ライラにはそっとしておいて欲しいと言われてしまったが、マコト様もライラも私にとってはどちらも大事な存在だ。
二人がいなければ今の私はなかったのだから。
マコト様は私の問いかけに気づいたようでやっと私と視線を合わせてくれた。
「レイチェル様。私はなにか、レイチェル様に心配されるようなことをいたしましたでしょうか?」
「いいえ。でも、マコト様が物思いに耽っているように思えて・・・。そのままにしたら消えてしまうのではないかと思ってしまったのです。」
「・・・そうでしたか。私としたことが。職務怠慢ですね。」
そう言ってマコト様は少しだけ寂しそうに微笑んだ。
私はマコト様のそんな笑顔が見たいのではない。
嬉しそうな笑顔が見たいのだ。
「職務怠慢なんてそんなことはありません。もし、マコト様に憂いがあるのならば取り除いてあげたいのです。」
必死に懇願する私に、マコト様は困ったように首を傾げた。
「・・・これは私の問題なんです。レイチェル様のお気持ちだけ受け取っておきます。」
マコト様はそう言って笑顔を見せた。
どうやらこれ以上は踏み込ませてはくれないようだ。
でも考えてみれば、もしマコト様の中にエドワード様の魂が混ざり合ってしまったとして、身体はマコト様でマコト様の中にエドワード様がいる。そんな状態を想像してみたら自分がいかに残酷なことをしているのかということに気づかされた。
「マコト様、申し訳ありませんでした。でも、私になにか出来ることがあればいつでもおっしゃってくださいね。私はマコト様の力になりたいのです。きっと、エドワード様もそう思っているはずです。」
「ありがとうございます。レイチェル様。その時はお願いいたしますね。」
私はマコト様に謝るとマコト様と少し距離を取った。
本当は部屋から出ていきたい気分ではあるが、ここは私の部屋なのだ。
そして、マコト様はエドワード様が戻ってくるまでの私のお目付け役。
私は勝手にマコト様から離れることができないのだ。
ヤキモキした気持ちでマコト様を見つめる。
どうやったら皆幸せになれるのだろうかと思いながら。
しばらく時が経ってから、唐突にマコト様がエドワード様と私にお願いをしてきた。
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